エクセレバンに行く(AixLes.. フランクフルト郊外の村で雨..
[所用でパリ、フランクフルトでバイク]

   そしてストラスブール

2009/8/15(土) 午後 2:25

やがて見慣れたVosgeの
低い山並みが見え、
丘の上にはにょっきりと
モン・サントオディール修道院。

ああ、また帰ってきたようだ。


いつもの見慣れた景色があり、落ち着ける自分の部屋がある。
(↑まあ、昨年2週間自炊しただけだけど。)
一人旅がおっくうになるのは、レストランに入らねばならないということもある。
根っからの自炊人間の私は、日本でもどこかで食べるとなると、なかなか決められず途方にくれてしまう。
近くのスーパーで買い物をし、部屋で調理して好きなように食べられるストラスブールの宿舎の気楽さよ。
やっといつもの下宿に帰れるのだ。

ストラスブール駅から近道して宿舎。

何かの間違いで三ツ星ランクの建物の方に予約が入っている。
58ユーロだったので、昨年と同じ学生用スチュディオと勘違いしていた。
夏の特別料金・しかも週末割引で通常の半額の設定だった。

部屋は完全にホテル仕様。
清潔に磨かれていて気持ち
がいい。
食器・鍋一式の他、冷蔵庫・
電子レンジまである。
バスタブも明るい。
昨年の部屋はシャワー、
しかもカーテンが無かった。

うわぁ、これで58ユーロかい!
なんていうコストパーフォーマンス!


いそいで荷物を置いて、近くのショッピングセンターのスーパー、ギャラリーグルマンへ。
今日は土曜日、日曜はスーパーも閉まってしまう。

果たして2日分以上の食料を買い込んでしまった。
今晩と明日で食べきれるワケはないが、まあいい。
レストランに一回行くより安いし、スーパーで食料をあさるという日常行為が精神を安定させる。

冷蔵庫に野菜類を入れ、夕刻の散歩に出る。

この町の全ての通りを知っている。
犬が電柱に自分の匂いをつけていくように、私は自分の記憶をそれぞれの町角に残していた。
自分のテリトリだぞ、というように。
やはり、この町の沈んだ
運河の色や、どことなく
くすんだ建物の重なりが
私に親しい。
この空気を呼吸しながら
過ごしたのだ。
懐かしい町に帰ってきた。


どうして2日も回り道を
してたのか?
最初からここにくれば
良かったのに。
別れた恋人に久しぶりに会いに行くように照れくさく、あるいはひょっとして昔と同じように迎えてくれるのかどうか心配だったのか?


いつでも帰ってくればいい。
私の「故郷」なんだから。


観光シーズンの町の中心カテドラルには行かない。
運河のほとりを歩いて
BNS(ストラスブール国立
図書館)や大学本部の方
を散歩する。
冬の昨年にはなかったが、
運河に架かる橋の欄干
には花がかざられている。


もう余計な思い出は付け
加えないでおこうとは思う
のだが、昨年の滞在では
以前には無かったトラム
に乗って郊外の学校に行った。

トラムを見ると郊外の町筋が
思い浮かぶ。


いや、10年ほど前に来たときには既にトラムウェイはあった。
しかし、夜で乗り方がわからず乗らなかった。

「乗りたかったぁ・・」と同行したヨメが言ったか。

その時は駅前のibisに泊まり、ケンカして延泊し、翌日貸し自転車で二人でライン川の堤防を走り、右岸のドイツから帰ってきた。
今では私の回想のストラスブールの唯一の「生存者」というわけだ。
おっと、ヨメに電話しておこう。

ホテルに帰って館内のWifiの使用を申し込む。
「24h、5ユーロ」「え?メールチェックするだけなのに?」
「一時間券、今切らしているので」「マクドなら無料ですよ?」
といってると「内緒だよ」と言って24h券タダでくれた。
このホテルのコストパーフォーマンスには文句のつけようもない。

---
穏やかな日曜日の朝になった。
ここ2,3日テレビの天気予報に脅かされていたのだが、一向に嵐はやってこない。
散歩に出かける。

日曜日の町の静けさ。
本物の日曜日の雰囲気
につられて、やたらとのん
びり歩いてしまう。
正月でも店が開いている
国からきたので、普段は
町をゆっくり歩く
ことなんてないのだが。


昨夜はもう閉まっていた
大学前のカフェ・Brantで
カフェオレを飲む。


開いていた町の食料店で
ミルクを買って帰る。
1.5リットル1.04ユーロ。
乳製品の安さ。


ホテルに帰って昼食と昼寝。
5時から夕方の部。

先ず駅に行って明日のフランクフルト行き切符を買う。
いよいよ明日は最終目的地。
やれやれ。

トラムに乗って少し郊外を回る。

途中で検札隊が乗り込んでくる。
4人一組。
後ろで一人捕まっている。
なかなかの検挙率のようだ(笑)。


終点のRobertsau/Boeklinで降り、あてもなく・・いや、やはり昔住んでいた下宿の方へと・・・
かなり遠かったが。

橋の根元に昔ビストロがあった。
自転車で走りながら、このつまらないビストロで働いている未来を見たことを思い出した。
そのようにしてまで居続けたかったのか。

もいちど昔住んでいた下宿を確認し、大家(当時は父親の代)の名も同じことを確認。
挨拶するほどのことはない。
30年も前の下宿人が来ても・・


懐かしいこの住宅街を散歩し、近くのOrangerie公園に。

時は日曜日。

夏の日曜日の夕刻を公園で
過ごす人たち。


今でもできることならここで住み続けたいと思う。
ここでサマージャンボ、13日抽選だったかな?
とよこしまな考えがチラリと(^^)

ベンチに座り、しばし郷愁
をもて遊ぶ。


中央の館の屋根にコウノトリの巣。


EU議会場が見える橋からトラムで帰る。


自分が青春を過ごした場所の記憶は風化しない。
もうあの時の誰もいないのだが、記憶の中ではみんな、にぎやかにその辺を歩いている。
もう新しく記憶を付け加えることなんてしなくてもいい。
これからは回想の中に人生を住み替えてゆき、ゆっくり生きて静かに死んでいくだけだ。

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