笠置・布目ダム 東近江

 飛鳥寺 [奈良]


'07 6月21日(木)
バイクで橿原市の奈良医大病院に行き、帰りに明日香村に寄ってきた。(6/21)

昨年から数回訪れているが、バイクでの散歩という程度で石舞台周辺で
休憩し、県道15号や国道169号に向かうパターンだった。

今回は飛鳥寺を参拝すると決めた。
万葉文化館の駐輪場にバイクを置き、文化館のよく手入れされた
庭を通って飛鳥寺へ。

ちなみにこの万葉文化館の「資料室」は快適な小図書室で
受験生の喧騒から免れている数少ない公立図書館。
穴場ですぞ>図書館愛好無為退職者同盟同輩諸氏(^^)

近くの農家と見間違うくらい小さな寺である。
京都の大徳寺の頭塔のひとつ龍源院とほぼ同じ規模。
京都・奈良の大寺院にはないアットホームな雰囲気。
「寺院」ではなくて「お寺さん」という呼称がふさわしい。
実際、龍源院ではお寺の子供が渡り廊下で遊んでたし。

飛鳥寺は何を隠そう、あの大法隆寺よりも前に建立された日本最古の
仏閣である。
もっとも建立当時の伽藍は今はない。現存していれば当然法隆寺の
世界最古の木造建造物というタイトルは奪取しているハズ。
しかし、飛鳥寺には日本最古の仏像飛鳥大仏(釈迦如来坐像609年)が
現存する。

三門をくぐるとちょっとした庭、そしてすぐ本堂横の玄関である。
拝観料300円を払い、靴を脱いで上がるとすぐ本堂に連なる。
他に拝観者はなく、板張りの床に座ると目の前に飛鳥大仏サマが
私を見、微笑んでいらっしゃる。

私が座ったのを見澄まして、本堂入り口で所在なげにイスに座っていた
寺の方(寺男というと失礼か)が、横ににじり寄りきて説明してくれる。

由来や両脇侍の焼失、表情が左右からの見方で変わること、等。
私も一応プロ(笑)であるからして、法隆寺の釈迦三尊の釈迦像との
比較論等でしばらく談。・・・うむ。
お寺で仏様談義に花を咲かせるトシになっちゃったか(^^;

同じ鞍作鳥(鳥仏師)作ではあるが、法隆寺のお釈迦様の方は
はるかに洗練された優美な表現になっている。
そのアルカイックスマイルはすでに飛鳥大仏でも健在ではあるが、
微笑みというよりは何かを言おうとしている風情である。
実際の生身の人間の表情を飛鳥仏により感じる。
鞍作鳥という仏師の作風の変化もここで見られるような気がする。

と、ぶつくさ言っていると「勝手なことをいいよって」
という声が聞こえる。
はっとして見上げると、飛鳥のお釈迦様が
おだやかに苦笑してらっしゃるのである。

以前にバンコクの寺で合掌したとき、
「好きなようにしたらいい」
と私に言ってくれた仏様がいらっしゃった
のを思い出した。
仏様の微笑みは私にはどうしても「苦笑」
に見えるのだ。

われわれ衆生が犯す所業の一切を
「またばかなことをしおって」
と「苦笑」する仏様がいる。
その「苦笑」を見ると、自分のこれまでの
おろかしい生や、今かかずりあっている
ばかばかしい日常も「まあ、よしとするか」
となんとか「肯定」してくださっているように
思えてしまうのである。

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ここしばらく京都や奈良の大寺院の拝観の案内をする機会が多かった。
雨の大徳寺だけを例外として、何処に行っても観光客の洪水から
逃れることができなかった。
特に中・高校生の修学旅行グループの暴力的な多さ。

小学生はガイドさんや先生に引率されている団体だからやり過ごせばいい。
しかし、中・高校生のグループは何処でもはびこり、例外なくうるさい。
ま、例外はあって礼儀正しく、熱心に拝観している生徒もいるのだが、
全体として仏の慈悲のごとく、三千世界にあまねく、薮蚊のごとく
修学旅行生は偏在しているのである。

明日香を歩いて気がつくが、この中高生の喧騒がここにはない。
やっと心静かに仏サマをご拝観することができる。

ここにして仏像は単なる美術品ではなく、信仰の対象であるということを
私は再認識せざるを得ない。
京都・奈良の観光寺院は果たしてお寺としての役割をちゃんと担っている
んだろうか?
団体客を次から次へと呼び込むのではなく、入場制限を設けるとかすべき
では?
ついでにいうと、南禅寺の石庭でじっくり鑑賞しようとすると、とたんに
流れてくる、妙なバックグラウンドミュージックと解説アナウンス。
うるさいんですよ。石庭の静謐をかき混ぜる、どんな必要があるのかい?

あまりにも経済原理を優先させてませんか?

学校も、何が何でも京都・奈良でもないでしょう?
東京・大阪であんたとこの生徒を訓練した方がよほど教育的だと思うが。

もうひとつついでにいうと、一日観光券で満員の市バスを乗り継ぎ、
やっとお寺に着いたら、横に滑り込んだタクシーから涼しい顔して降りてくる
修学旅行生徒には本当にむかつく!   ←ちょっと逆うらみか(苦笑)

とにかく、いいかげんにせんか!

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はっ!と、ここでお声が・・・

「あのなぁ、『心遠ければ、地自ずから偏なり』というもんだ。
やかましいから仏の声が聞こえないって、それはあんたの心根が
さもしいからじゃないんかい?」

あ、すんません・・・


origin: [飛鳥寺参拝] 2007/6/22(金) 午後 3:56
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