フランクフルト 湖南湖東

 大杉谷 [三重]


'09 8月25日(火)
涼しくなった。
では久しぶりにソロツーリング。

朝より赤バイクを引き出す。
8月は旅行に行ったし、土日はヨメの公道研修で近隣周回、それにどうにも暑いので夕方の散歩しかしてなかった。

さてと。しかしちと眠い。このところ睡眠時間が不定だった。
昼寝スポットの記憶スキャン。
せっかくだから「県外」という条件を入れる。
三重か滋賀。
適当に名阪道路に乗り、走っていると三重県の奥伊勢フォレストピアを思い出した。
あそこなら静かで眠れそうだ。

R166高見峠超えで奈良から三重。R422に分岐して山を越え県道31に。
奥伊勢フォレストピア。
ややっ、車が多い。
初夏の頃にやってきて、公園内の川のせせらぎを聞きながら良く眠れた記憶があったのだが。
まだ夏休み。子供連れの家族で一杯だった。

少々アテが外れたが、川の上流に向かうとすぐ誰もいなくなる。
幼児連れの家族は群がる習性があるらしく、ヒトケのない方向には行かないものらしい。

つつがなく、川床にキャンピングチェアーを設置、持参の昼食を取り、昼寝を決め込む。
昼寝スポットの選定は難しい。便利な道路沿いでは車がうるさいし、全くの潅木の中では虫に悩まされる。
適当な見晴らしと広さが必要だし、できれば整備されてトイレ使用可が好ましい。
ダム湖の公園が常にねらい目。

奥伊勢フォレストピアはそんなに広くないが、川原の岩場の床が広くて陣地をとりやすい。
しかし、もちろんそれだけでココまでは来はしない。

ここから宮川ダム、大杉谷渓谷を探検しにいくのだ。

地図で見るとこの宮川ダムより数本の道が伸び、奈良県大台ケ原ドライブウェー、和歌山県内のR42へ
降りていけるようにも見える。
ただし、奈良県側には車通行禁止、和歌山へは「現在崩落により通行禁止」とある。
今調べるとこの辺り、日本3大秘境のひとつらしい。
いかにも怪しい道筋。楽しそ。
ヨメにそれとなく、別れのメールを入れて覚悟して出発。

終点がどうしょうもない山中行き止まりの不幸な国道R422と、谷向こうを並行して走る地域道路
双方とも路面良く、快適に裏大台ケ原の谷筋を走行できる。
途中の橋でつないで双方の道路を交互に走るのも可。
秘境とはいうもの、結構村落がにぎやかにつづく谷間である。

やがてR422が山中に逸れていき、県道53が宮川沿いを引き継ぐが、てきめんに路面の
メンテナンスが悪くなる。

宮川ダム湖。ここから以降すれ違う車なし。
県道603和歌山方面はやはり通行止め。

さらに湖面に沿って褶曲した道をたどる。
路面には木切れや石、葉っぱが散在し、あまり通る車もないように見える。
地図にある宮川第三ダムまで行こうと思うのだが、果たして行き着けるのか不安になる。
もちろん携帯電話も通じない地域。コケても助けは来ない。

引き返そうという声や行ける所までいってやれという声で決着がつかないまま、バイクは停まるのが
メンドくさそうに、じりじりと2・3速で移動していく。

案の定、というか宮川第三ダム・大杉渓谷まで達しない部分で「通行止め」。
やれやれ、私が優柔不断なので道路が決着をつけてくれた。帰ろう帰ろう。

途中の「六十尋の滝」で写真休憩。
道からは見えない位置にあり、往路では気が付かなかった。
少しばかり山棚に踏み込み、あたりはもう薄暗い。

魔はこんなところに潜んでいた。

出発しようとして赤バイクのセルを入れてもエンジンがかからない。
昨日、2回エンストしてからスターターの調子おかしくなった。

ニュートラルの位置でセルを押すと問題なくエンジン始動できるので、今日はそのまま
出てきた。
多分、ステー格納検出のセンサーが誤動作していると思われる。

その上この赤バイクにはちょっとクセがあり、時折2速からギアを降ろしてもディスプレイの
現在のクラッチ状態が消え、ニュートラルに入らなくなることがある。
この場合はちょっとエンジンを吹かせて回転数を上げると、どちらかにディスプレイ表示され、
正常に戻る。

しかし、先ほど停車したとき、2速のままステーを出してエンジンを切っちゃったのだ。
エンジンを始動させるにはニュートラルに入れなければならない。
しかし、ここでいつもの悪いクセが出、ニュートラルに入らなくなった。

ニュートラルに入れるにはエンジンを吹かさねばならない。
そのエンジンを始動させるにはニュートラルに入れねばならない。
みごと完全ジレンマ達成ですね。はい。

道路不通状態の人跡未踏、携帯電話も通じない「秘境」で、よくもまあ。

多少あせりはする。しかたない。
赤バイク放置し3時間ほど歩いて谷間の村まで行くか。
とか考える。しかし腹減ったなぁ。

と、打開策を思いめぐらし、多少の焦りを払拭、心頭滅却平常心で左足を振り下ろすと手ごたえあり。
切っていたエンジンキーを入れると見事ディスプレイに緑のN(ニュートラル)。
うむ。おどかしやがって。

以降、夜に入って思いもかけぬ寒気の中を逃げるような帰宅途上、休憩時には必ずニュートラルにしてからエンジンを停止させたのはもちろんだ。

思い出した。
フランクフルトで借りたF800STにもこのクセがあり、足ギアを踏むと突然ディスプレイのギア表示が消えてしまうことがあった。
ギアをもう一度踏みつけるか、一旦上げてから降ろすと表示が回復するのだが。

BMWのこのクラス特有の欠陥かも。
こういうとき、ディラーが近くにないので実に困る。


origin: [秘境大杉谷(三重県)で遭難未遂] 2009/8/27(木) 午前 0:40
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