台風下千日前・宗 木津川落合上ノ渡..
[静かな生活]

木津川渡船

2022/9/23(金)22:14

'22 9月20日(火)
5時、一日中ピアノを弾いているワケにもいかんだろ、と散歩に出る・・・
いつものように都心から遠ざかるように・・・西成まで。
あれだけ嫌っていた大阪ミナミのゴミゴミした下町が、今となっては茫洋と漂ってきた人生の必然的帰結を感じさせ、ただ懐かしく、このようにしてこの地を歩けることにほのかな幸福感さえ抱かせる・・・・
それに西成区の西地帯はそれなりに浪速筋や高速道路が整備され、すこし広々とした清潔な町筋風にもなっていたので。

ま、しかし今日は鶴見橋商店街まで行くのはやめとこう。
今工交差点に出る43号交差点で西に向かい木津川を渡るコースに変更・・・
すでに南海汐見橋線の線路を越えるともうガキの私の世界ではない。
春に散歩した大正区の千島公園が地図上では川向のすぐお隣という位置関係で、その距離を確認したくなった。

真っすぐ西下するとやがて長大な高速道路の橋梁が見え、急に川沿いに産業港湾施設の古びた産業都市大阪が見え始める。
地図を確認すると木津川を渡るにはこの道路しかないようだ。
長大な高速・普通道路橋の下側をよく観察すると、どうやら階段が見え歩道部分もあるようだ。

それにしても古い少々危なっかしい長大な歩道橋部分。
下が簡易な、得体のしれない覆いで覆われ、雨水が溜り、継ぎ目がめくれ・・
そこを自転車がかなりのスピードで走り抜けていく、渡川する歩行者は殆どいないようだ。

木津川岸辺は土手道も堤の土塁の雑草も無く産業施設や倉庫がぎっしり。
・・あんなモンで川が渡れるハズはないので橋じゃないよな・・・

その橋の下をよく見れば船が一隻・・そうか、あれが木津川の渡しに違いない。
いつか、数十年前に一度だけアレで渡った記憶だけがある。
何か地下帝国を横断するような・・何故か私には見知らぬ異国の地下に潜るようなイメージの記憶だけがある。

木津川大橋を渡りきると突然、大正区の全くの下町が出現する。
狭い車道兼用の道に間口の狭い二階建て住宅が連なり、人や自転車が往来し・・
それも私の大阪の一方の記憶どおりの町場だった。
却って対岸の西成区の西側地帯が寂れて空き地の多い、ただの不便な放置地区なので、大正区のコチラが商業都市大阪の典型的な下町の顔で今もあるわけだ。

幹線道路まで出ずにしばらく歩くとやがて大規模団地と大規模ショッピングエリアに行きつく。
奈良でお世話になったカルビ一番からコーナンまで、地区の帰艦ショッピングセンターという趣。そして最後に日帰り温泉「こうわの湯」まで。
一風呂700エンで浴びてもいいか、とか思ったが、やはり先ほどの木津川の渡しが気になる。

ここが落合上渡船場。
大正区千島と西成区津守を結んでいる。

やはりこれはバスの代わりではなく、橋の代わりで無料で夜9時台まで運行している。

待合所のベンチに腰かけて出航を待つ。

やがて出航5分前ころから徐々に人が集まってくる。
しかし歩行者は居ず、私の他はすべて自転車と。

「お待たせしました。出航します。どうぞ。」
木津川の渡し、落合上渡船場出航。

対岸の西成区津守渡船場はすぐ目の前(^^; 距離にして100メートルか。

あの時も多分夕刻から夜だったのだろう。
大正区のにぎやかな下町から淋しいエアポケットのような西成区西地帯へ。
木津川の渡しは今も日常にぽっかり開いた異次元への細い通路だった。

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