エクセレバンに行く(Aix Les Bains, Haut savoi)

2009/8/11


これがフランスの「倉橋溜池」といわれるエクセレバン。
山と湖のこの清冽な構図。
パリの雑踏ではなく、私が見たかったのはこういうヤツだね。


前回の夏のパリでは、そのような事情でかなり心理的にしんどかった。
実は仕事上でも第2次フリーター時代に突入していたのだった。
すぐ列車に乗ってアヌシー経由でシャモニーに行った。
夏のアヌシーの木陰でのんびりと時を過ごしてる人々を見、それでなんだか救われた。
↑うまく観光気分に持ち込めたという意味。

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朝パリのホテルで、まだ暗いうちに目が覚めもう寝付けない。
テレビを付けてしばらく見ていたが、今日の予定を決めていなかった。
天気予報では週末にかけてフランスは雨らしい。
暑いのはいやだが、雨も困るなぁ。

高いがホテルのWifiネット(Orange)に接続して今晩の宿を探す。
何もアイデアがなければストラスブールに行くつもりで東駅近くのホテルにしたのだが、よく知っている場所に逃げ込むようで、それも不甲斐ない。
ネットで安宿を探しをし、ええい、とばかりエクセレバン(Aix Les Bains)の予算内ホテルを予約。
アヌシーの手前にあり、前から気になっていた湖だ。
駅から遠そうだが、湖に面しているようだ。

レセプションで2泊の清算。
ここの公式部屋代は69ユーロ。
「ええと、インターネット割引で49ユーロ。インターネットですねぇ。」
「それに便利だし。日本からでもすぐ予約できるし。」
「え?日本で予約したんですか?」とか、カウンターで会話。
気分もよくリヨン駅に向かう。

さて今度はフランス国鉄
のシニア割引特典を試
そうと、窓口で並んだが、
先ず一年有効のシニア
割引カードを49ユーロ
出して購入しなければ
ならないのだった。
それにフランス国鉄だけ
しか通用しないらしい。
しかたがない正規料金
で購入。
これなら自動券売機で
さっさと午前中の列車を
買うべきだった。
臨時窓口も開設されていたのだが、バカンスシーズンである。
窓口で並ぶと小一時間は待たされる。

駅前を歩いてみると次第に空が曇ってくる。
どうやら雨かい。
うむ、やっぱりそううまくはいかないようだ。


夕方、エクセレバン着。
駅構内の案内書で町の地図をもらい、ホテルの住所を教示してもらう。
駅から遠いが湖のほとりというロケーションは間違いない。
歩いて30分くらい?
まあ、しかたない。

アヌシーに行く途中に見える
この湖の静かなたたずまいが
印象に残っていた。
山間の鄙びた静かな湖だった。


駅前(実は駅裏)住宅街を抜け、ようやく湖畔道路に行き着く。
湖の対岸にはローヌアルプス山系がそそり立つ。
ここで大失敗に気がつく。

ホテルに通じる湖畔道路は
国道で、歩道がない。
この道が直接湖を囲っている。
静かな景色とは裏腹の
交通騒音。
おまけに今日は金曜日。

レセプションのおじさんは
それでも親切に愚痴を
聞いてくれた。
貸し自転車、バスの便、
その他情報を仕入れるが、
やはりバス停は途中の
ローターリーまでいかない
とない。
やれやれ、30分歩いて
町まで往復せんと。


荷物を置いて、できるだけラフな恰好をして出かける。
ちっぽけな浜の湖水浴場。


隣に、隔離されて白いフェンスに囲まれ整備されたビーチがあり、ゲート番がいる。
有料公園かと思い、とにかく入ろうとする。
ゲート番の少女が「?」とたずねるので「単純散歩」と応える。

「閉まってます」
「何時まで?」
「いいえ、ここはプライベートビーチです。一般用はちょっと向こうにあります。」
知ってらい、今そこから歩いてきたんだい。
「プライベート」の意味を考えるがよくわからん。

やっと駅に到着したが、すでに駅にある貸し自転車の店は閉まっている。
もう6時過ぎ。
到着してすぐにここで自転車を借り、荷台に荷物をくくりつけてホテルまで行ったらよかったのか。
とにかく、車がないとどうにもならないホテルだった。

スーパーか店屋をさがして駅から中心街に上がる。
駅裏住宅街とは違う。
綺麗に整備されてにぎわう
町並み。
やがて綺麗な緑地を抱えた
贅沢そうな建物にカジノとの
表示がある。


あ、そうか!ここにいたってやっと理解する。
ヨーロッパによくある、金持ちが湯治にくる劇場やカジノもある保養地なんだ。
ドイツのバーデンバーデンのような。それがAix Les Bains のBainの意味だった。
ああ、そうだったのだ。
鄙びた山間の温泉かとばかり考えていたのだが、いたってスノッブなところである。
小さい町だが、壮大な国立
温泉場と言う建物もある。
「プライベートビーチ」だって
あるだろう。

よく見れば老人達がゆっくり
と町をそぞろあるいている。


正体がわかって安心した。
実は「湖に面したホテル」で失敗しているので、単に湖の景観だけしかないのなら、
完全に空振りになってしまうところだったのだ。

ということで、勇んで町の
観光に励む。
うん、観光的に小綺麗な
町である。


外のレストランのテラスで
夏のながい夕刻を楽しむ人々。
久しぶりにまともな食事が
できそう。


綺麗に整備され、花で
一杯の公園で休憩。
ためしにパソコンでWiFiの
スキャンをしてみると、
エクセレバン市の網がある。
アクセスし、問われるままに
住所氏名を入力すると、
その場でパスワードを発行
してくれ自由に使える。
なんと、公園内に無料ホット
スポットがあるのだ。
ブログにスポンサーから
のコメントがひとつ。
つつしんで返事する。


中心街を二回ほど周ってレストランを物色するが、結局惣菜屋兼中華レストランで焼き飯・豚煮・チキンサラダと青島ビール。
箸をもらって久しぶりにご飯を食べる。
現金の所持が少なかったので一応カードで支払えるか確認し、ビールをもう一杯。


すっかり夜になって長い道のりをビールの力で帰還。
休憩して夜の湖の畔でじっと暗い湖面を見ているのもいい。
ときどき稲光が走る。
どうやら天気予報どおり雨・嵐になるようだ。
明日の予定決めないとなぁ。困ったもんだ。
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朝食7:30、私の他には誰もいず。
カウンターのおじさんと天気の話。
「今日はどう?」「さ、降るか降らない。荒れ模様ってことさ。」
湖は静かだが曇っているか。

部屋に帰り、何だか知らないが接続できた無料網でホテルの検索。

もういいか。ストラスブールに行く。

昨年2週間過ごしたキッチン付きホテルを予約。
58E・・まあまあ予算内。

チェックアウトして湖畔道路を歩き出す。

なんだ、晴天じやないか。

もう一泊して貸し自転車で
対岸まで行ってみても
良かったが。
以前アヌシー湖を自転車で
一周したので、もういいだろう。


記念写真を撮り、

バカンス客で一杯の列車
に乗り、

リヨン経由でストラスブールに発つ。

2009/8/11(火) 午前 9:02