高野龍神スカイライン・白浜 野迫川村

 潮岬・熊野灘 [和歌山]


'08 7月7日(月)

白浜の宿舎で朝5時に目が覚めてしまった。
晴天。
もったいないのでそのまま玄関を出、下の三段壁に散歩に行く。

絶壁の飛び込み台でステップしようとしたが止められた。
今でもここから向こう側に行く人はいるんだろうか? 私なら古式豊かに熊野灘から補陀洛行きにするが。

6時に宿舎の温泉が開き、昨夜にひきつづき再度入浴。
さすが塩からい湯質。
結局7時半には潮岬を目指し出発。

7月7日月曜早朝である。
南国の朝の涼しさの中をバイクで駆け抜ける爽快感。

本日はR42を「行けるところまで行く」予定。

海岸線に沿って蛇行する道路で、カーブを曲がりきれば次の浜がみえ、また曲がれば山の間に 入っていく。
海あり山あり、トンネルだ、鉄橋だ、楽しいな、という変化に富んだルート。
道端に蘇鉄の木がよく目に付き、いかにも南国風である。

ただ絶え間なくカーブが続き、過激に景色も変化するので長距離走ると疲れる気もする。
R42は主要な生活道路でもあるので、地元のおばあちゃんが自動車の一団を後ろに引き 連れ、50ccでゆうゆうと真ん中を走っている光景もよく見かける。

日置川大橋を渡ったところ。

すさみ町道の駅イノブータンランドの近辺。
今回は私のCB400SSの写真をよく撮った。
もうすぐ新車と代替わりする予定なので、記念撮影をしておきたいという心理があったのかも。

日本のモン・サンミッシェル(ウソ^^;)江須崎の日本童謡公園を散歩。
公園内を歩くとセンサーが反応してスピーカーから童謡が流れてくるしくみ。
ちょっとうるさい。
それに「みかんの花咲く丘」(だったっけ?)が壊れていてガーガーというのみだった。
童謡的な蒼い海白い船の光景。

公園内にある「エビとカニの水族館」は無料だというのでしばらく開館を待つ。
しかし9時になっても開かない。
あきらめて次に行く。
職員さんどうしたん?月曜の朝寝坊?
朝の快晴が続き、かなり暑くなってきている。
5時起きの頭が重たくなってくる。
トンネルの暗闇にはいるとふらふらと対向線に吸い寄せられていく気がする。
この場合走行中に一人で童謡を怒鳴る。

潮岬着10時。
本州最南端の海を見下ろす白い灯台。
一人で童謡を怒鳴ろうとしたが、走行中ではないのでちょっと遠慮して飲み込む。

ところが、串本大橋から大島を見ると雲がかかっている。
なんと濃霧である。

太平洋の湿気と紀伊半島の寒気がぶつかって霧になる。
そしてトルコ海軍の軍艦が沈没してしまうのである。
(←説明省略) 慰霊塔に合掌。
大島縦断道路の果てはトルコ領になっていた。
絨毯屋が店開きをしていた。

中公新書「トルコのもう一つの顔」の著者小島剛一氏を思い出した。
25年前にフランスで合唱団に入ったら、日本人がいてフランス人にフランス語の言い間違いを たしなめていた。
あの語学の天才は今でも世界をほっつき歩いているんだろうか?
ここから古座、勝浦、太地と熊野灘はずっと霧だった。
道路に濃霧注意報。
おかげで涼しくなり、眠気も消えていった。

白浜から潮岬は南国ムードいっぱいだったのだが、熊野灘側に入ると古来からの日本の漁村の 雰囲気が残ってるような気がする。
そして紀伊半島の霊気と熊野の山岳信仰、海の補陀洛浄土信仰等の古い土俗の聖地の名残。
その線の果ては伊勢に収斂していく。

しかし、想念上の古代とはうらはらに新宮市に入ってしまうと大きなショッピング センターとかが多くなり、まったく町の雰囲気になっていく。
新宮や熊野は昔から貧しい漁村ではなく、熊野古道上の門前町だったのだろう。

R42は完全に産業道路となり、このままR42をたどるより山側のルートに逸れていきたい という気がしてくる。

熊野川。
ここより三重県熊野市。
ここからR168に逸れればやがて奈良県側の大峰・大台原の間に出られるはずだ。
しかし、もう少しR42をたどればすぐ道の駅が2つある。

道の駅「紀宝町ウミガメ公園」で昼食。
ウミガメも泳いでる。
 
ビタミンAをうな丼で補給し、ウミガメを見ていると気力が回復。
このままR42の行く末を確認してやろうと決意する。
1時出発。

もう一つの道の駅「パーク七里御浜」は、昼食時でなんだかトラック基地的様相だったので パス。

R42の道路案内板に「松坂105km」との表示が出始める。
R42は熊野を出ると山側に迂回し、急に山岳道路風になっていく。

南紀でもすさみ町あたりの道路では山側のがけ崩れの補修工事をよくしていたが、 三重県側の山岳部分では数箇所片側通行規制をしていた。

尾鷲市に向かう途中の大又トンネルを貫けた辺りの山と谷の構図は大迫力の絶景だった。
しかし、高速で交通が流れているのでちょっと停まれない雰囲気。

景色を堪能しようとすると、カーブでセンターラインぎりぎりを高速で回り込んでくる 対向車が目の前を横切る。
時速70キロで減速もせずカーブに突っ込んでくる大型トラックの腹を見るのも大迫力。

道の駅海山でコーヒー休憩。
奈良ナンバーのBMW K1200が入ってくる。
話を聞こうかと思ったが、ライダーの装備服装が隙なく決まっていて、Tシャツの上に 簡単な長袖シャツをボタンもかけずひっかけただけの、すそひらひら状態で走っている 私にはあまりに閾が高く、遠くで見ているしかなかったのであった。

しかし、この人はほぼ同じルートで走行していて、その後2つの道の駅でも会ったのだった。

R42は紀伊長島で再び熊の灘沿岸を走った後、内陸部に上がっていく。

道の駅紀伊長島マンボウ駐車場にて。
手前ウチの400 後にK1200。
 
道の駅奥伊勢きつつき館。

左端に小さくウチの400
右端にK1200。
 
山間に突然高架道路の橋げたが現れれる。
紀勢自動車道大宮大台IC

この道路の直線が誘惑的。

結局R42は海岸線や山を縫って走っていて直線部分が殆ど無かったのだ。
そして平日だったからか、産業道路としてそれなりの交通量があった。
この紀勢自動車道の入り口の、車の影もない直線コースには心理的にソソられますね。

R42最後の道の駅奥伊勢おおだい。
実はこの施設は電気量販店、トップバリュー、その他がひしめく大ショッピングセンター内 にある。
田舎道にポツンとある道の駅を見慣れてきたのでかなりの違和感があった。
 
しかし、駐車場でセキレイが遊んでいた。

近寄っても逃げない。
手を差し出すと寄ってくる気配さえある。
ショッピングセンター内とはいえ、ここは大台原の入り口である。
 
ここでR42と最終的に別れ、三重県道31、422でR166へと回帰しに行く。
県道31でやっと交通量が減り、R42から来た車はかなり飛ばしていく。
負けずに追いかけると急に前の車が減速する。
パトカーがちょっとしたカーブに隠れて停まっていた。

県道31号付近のとある谷。
目の覚めるようなきれいな谷間だった。
白浜付近が南国のハワイの雰囲気があるとすれば、三重県のこのあたりの 山の明るい緑はどことなくヨーロッパ的。

県道422は完全に山道でR166に出るまで小一時間かかった。
午後5時半。
R166に出れば後は高見峠を越えるだけ。
奈良県に帰還するいつもの道だ。
夜になるまでには家に帰れるだろう。

R42で紀伊半島を反時計回りに半周し、頭の中の地理感覚がつながった部分がある。
ウチの400もどうもご苦労さん。
origin: [白浜から紀伊半島を半周して還る] 2008/7/9(水) 午前 4:24
高野龍神スカイライン・白浜 野迫川村