白馬・八方(1) 白馬・八方(3)

 白馬・八方(2) [長野]


'10 10月17日(日)
(4)栂池自然園ハイキング 10.17(日)
9時にホテルの栂池送迎バスに乗る。
昨日駅に向かえにきてもらった年配の運転手のマイクロバスで、客は我々二人だけのようだ。
乗り込もうとしてサイフを忘れてきたのに気がつく。
ヨメも部屋のキーを持って出ていない。運転手氏にレセプションで合鍵の手配をしてもらい部屋まで帰る。
栂池パノラマコースと自然園の割引前売り券もありますよ、ということでレセプションで購入。やっと出発。
やれやれ。
 
快晴の朝。
白馬八方の町を出たところで「ここからの眺めはいいですよ」との教示。
岩岳スキー場リフト乗り場手前の橋上から、ひろびろとした川床を通し、一直線上に白馬岳が朝日に輝いている。
↑これはゴンドラから撮影した白馬岳
「うわ!」「すごい!」
突然出現したさすがの北アルプス。荘厳ですらある高山のたたずまい。
栂池自然園行き、単なる植物園のハイキングコースだと思っていたが、このような壮麗な山岳のふところなのである。
多少、観光目的を定められず一日をどう過ごすか?という問題に悩まされていたのだが、これではっきりした。
山を見に行くのだ。
これ以降ヨメと二人で心置きなくはしゃぎまくる。
栂池パノラマコース、ゴンドラとロープウェーを乗り継いで海抜2000メートル近くまで一気に上昇。快晴で空の青と屹立する山肌の白のコントラストが絵に描いたように見事だった。
 
栂池自然園は広大な湿地で、板張りの遊歩道が整備されているが中間からは適度な登りのトレッキングコースにもなっている。パンフレットによれば一周4時間。午後2時にふもとにホテルから迎えが来る予定なのでゴンドラ・ロープウェーの下りの時間を入れれば、そんなにゆっくりはできない勘定である。とにかく、急ぎ気味に一番奥の「展望湿原」に行く。
快晴だったのだが、さすがは山の天気というか、行く手の方向にガスが満ちてくる。後ろは快晴。行く手に白馬岳があるハズだがガスで覆われてしまった。
なかなか歩きごたえのある遊歩道で、難航しているグループもある。私も日頃歩かないので足がすぐ疲れるのだが、スタスタ行ってしまうヨメをおいかけて居るうちに調子が出てくる。
すぐ疲れるが、それからの持久力が実は私の持ち味なのである。

 

4、5年前にノルウェー・スタバンゲルのフィヨルド見学に行った時を思い出す。
一時間を越える急な岩道の登りにリタイアするハイキング客も多かったが、自分でも意外なくらい山道には持久力があり、帰りは大声で鼻歌を歌いながら半分バテてしまったヨメを連れて下ってきた。ヨメは当初は元気なのだが、案外持久力に欠ける。まあ、何も考えないで走り出すタイプというか(^^;
遊歩道は二人で並んで歩かれるとすれ違えない幅しかない。ヨメはちょいとスローな先行グループがスキを見せ、すれ違うマージが見えた途端ずかずか追い抜いていく。しかたがないので私も「すみません」とか言いながら抜いていく。
公称片道2時間の道程を半分くらいの時間で踏破し「展望湿原」着。

しかし、あたりは見事にガスで覆われ、ベンチは晴れ間が現れるのを待つ見物客で一杯。すでに弁当を広げている組もある。しばらく様子を見るがあきらめてもう少し尾根道をたどる。
少し登るとここにも小規模な展望台があり、空いているベンチもあった。小休止。持参のコーヒーを飲んで時間を待つ。
しばらくするとガスが薄れる気配があり、ちらりと白い山頂の形が見えてくる。
見物人の感嘆の声。
途中で追い抜いた時、2,3言挨拶した、ヘンに日本語のうまい西欧系中年カップルが、やっとここまで追いついてきて「あれが白馬岳?」と訊ねてくる。

なんとか白馬の姿が雲の上に浮かび上がり、シャッターの音がそこここで響く。
山頂が白いのは雪ではない。不毛な岩石である。
実は遠くからは万年雪と見えたのだ。近くでみると陰影があり、滑らかな雪原ではないと分かる。
 
白馬岳の写真も撮れたので先を急ぐ。
白馬岳を背にして進む角度になるので時々後ろを振り返る。今は完全に姿を現しているのだが、今度はこちらの山腹の木が邪魔で、枝越しにしか見えない。
やがて一番小規模な第3の展望台に到達するが先客2組で満員だった。ここからは逆側の山腹を下る道になるので白馬岳の見納めになる。
少し逆側斜面を下りかけたが、「もう少し見る!」とヨメがUターンして展望台に戻っていく。「いつまでも見ていたい気がするなぁ」とか。確かに。
空の中にそびえる高山の壮大な光景は、見るものに何かしらの快いカタルシスを与え、日常に流れているのとは違った、別の時間が厳然と存在していることを感じさせる。
 
予定よりかなり早いペースで登りきったので、復路はゆっくり遊んで帰る。おかげで行きに追い越した中年西欧系メタボカップルにも追い抜かれる始末。
 
 
下りのゴンドラはそんなに込んでいなかったので、二人でコンパートメントを占拠できた。登ってきた時には白馬岳に気をとられて気がつかなかったが、下り向き方向で見下ろす光景は高度があり、思いもかけない見事な紅葉の原が眼下に拡がっていた。
奮してゴンドラを揺するヨメ。
 
この人、つり橋とかゴンドラとか高いところに登るとやたらと揺するクセがる。
少々高所恐怖症気味の私としてはヨメを抑えるのに必死というところ。
栂池パノラマウェーの料金はかなり高いが、この空中浮遊の時間で充分モトとれます。堪能しましたよ。
 
ゴンドラを降りると、ちゃんとホテルの迎えのマイクロバスが待っていた。途中の川筋で写真を取ろうと、停車してもらおうとしたが、もう雲が広がっていて北アルプスは完全に隠れてしまっていた。
 
(5)白馬駅にて
ホテルのマイクロバスで八方バスセンターまで送ってもらい、ぶらぶらと白馬駅まで歩いく。
セメント工場のベルトコンベアーのような二列のオリンピックジャンプ台が八方尾根の中腹に見えている。
駅近くの広場で開催中の地元の「農業フェア」でヨメはリンゴを値切って買う。ご当地のスーパー見学。
「おばんざい」が惣菜コーナーにおいてあったりする。
 
白馬駅で翌日の特急券の手配。
松本からのドン行は停車駅が多くてまいった。
特急は大糸線一日一本の「あずさ」のみ。松本から特急「信濃18号」で名古屋まで。
駅前の観光案内所の職員嬢に明日の予定の相談に乗ってもらう。
栂池自然園でアルプスの眺望を堪能したので、定番の八方池までのトレッキングは二番煎じかと思い、他の目玉を挙げてもらう。しかし、八方アルペンウェイは尾根づたいでまた違う光景を期待できるらしい。
やはり八方尾根トレッキングとしておこう。
 
少し駅前をあるいたが目ぼしい店もなし。
うろうろしていてバスに乗り遅れ、また観光案内所の担当嬢が白馬東急ホテルのマイクロバスを手配してくれる。

足湯に漬かっているうちやってきたのは、先ほど八方バスステーションまで連れて行ってくれた若い運転手だった。「すんません、またお手数かけます(^^;」

 
夜、温泉に入ってしまうと出かけるのがめんどくさくなり、ホテルディナー案は空中分解、スーパーで買ったカップ麺とリンゴ等で食事を済し、早々と眠ってしまう。


origin: [白馬・八方紀行(5)(6)] 2010/10/26(火) 午後 2:44
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