白馬・八方(3) 大宇陀

 和佐又山(泊) [奈良]


'10 11月6日(土)
11月6日(土)
この週末はヨメが実家泊のローテーションで、今年始めたこの新シリーズ、第三回は私の単独キャンプ
となった。私は行こうと思えばいつでも出かけられるのだが、何となく平日はお仕事・勉学、
レジャーは週末というような標準サラリーマン的な気分が未だ残っている。
↑というのは真っ赤なウソ。
ただ世間の気分に当方が主体性もなく同調し、週末だな、どっか行こうかな・・というような流れになるわけだ。
先週大阪梅田の好日山荘で追加購入した携帯燃料や、近所の西友調達したインスタント非常食等バッグに
詰め、テントその他一式並べていると、このままいつでも野営(キャンプ)に出れるなぁ、というヤル気が
満ちて来はするが。
一人ではなんとなく面倒だし、もう晩秋で山は寒そうだし、とか思っているうちに土曜の昼は過ぎてしまう。
しかしどうも外は快晴らしい。
それでは一応ソロキャンプ用の荷物をまとめバイクに搭載し、効率的な荷造りの研究でもするか。
試行錯誤の末、何とか荷造り完了したのが午後2時半。
せっかくだからこの装備で一回りしてこよう、と、とりあえず走り出したのだった。
前々回に下北山村からの帰りに見つけた看板に「和佐又山スキー場」というのがあり、キャンプ場もあるようだ。ちょいと調べてみると奈良県で2つしかないスキー場の一つらしい。
といってもリフトもない極小スキー場で、現在でもスキー場として営業しているのかは不明だった。
キャンプ場としての情報も少ないが、とにかくキャンプはできるようだ。
少なくともお子様が川遊びをするようなファミリーキャンプではなさそうだ。面白そうじゃないか。
 
何となく、↑ソコ見に行くつもりで走り出したが、出た時間が遅く、明日香・吉野経由でR169に出
、伯母谷のループを回るともう4時。
一時間もすると暗くなる。引き返すには遅すぎるなぁ。やはりキャンプかな。
 
和佐又谷のトンネルの手前を右折すると大台ケ原進入口、トンネルを抜けて右折すると和佐又山登山口。
行って始めて分かるのだが、トンネルを抜けたところはブラインドカーブになっていて、対向車が見えない。
非常に危険な反対車線横断。
初めてなので、トンネルの出口すぐに和佐又山進入口があるとは知らず、看板を見、あわてて急カーブで右折。あぶないなぁ。

バイクで山道を登ること15分。途中大台ケ原方向の山並みが見えるが、一瞥するだけで先を急ぐ。
この程度の山ではもう驚かないのだ(^^;
キャンプ場着4時半。
山小屋(和佐又山ヒュッテ)の前にゲレンデとおぼしき芝生広場。
テントが数張り点々と。なるほど、冬のゲレンデをフリーサイトのキャンプ場に転用しているようだ。
佐和又山スキー場ゲレンデのフリーサイトと佐和又山ヒュッテ
ヒュッテでキャンプ申し込み。
実直な山小屋風である。誰も居ないが古い木のテーブルの食堂。
厨房に声をかけると調理中の老嬢が応対に出てくれる。
「キャンプ?最近は寒くなって・・」と最初にオドかされる。
キャンプサイト:一人630円+バイク駐車料630円。計1260円也。
山小屋前のゲレンデの他、上にもキャンプサイトがあり「皆そっちに登って行ってる。
まあ、あんまり多くもないけど。」
山小屋の前の広場より、上方の眺めのよい所の方がいいに決まっている。
プラスティック板のキャンプ許可番号札をもらって、車止めをすり抜けバイクで上のゲレンデに上がる。
眺めのよいちょっとした丘の上はすでに数組が占拠して満員。
眺望はないが、だだっ広い広場があり、水場の近くに一組だけがテントを張っていた。
広場の中央奥に居を構える。
 
水場とトイレ以外には何もない。ワイルドなサイトである。
実はこのサイト内のトイレは汚いので、途中にあるバンガローサイトのトイレを専ら利用した。
コチラは有料で協力金一回100円とあったが、小用の度に100円はないな、と勝手に決める。

ここはファミリーキャンプ場ではなく、大普賢岳(1779m)に登るベースキャンプとして利用している人が大半のよう。
翌朝、一組だけ子供連れの組を見たが、よく飼いならされた子供達で、ギャーギャー騒ぐ気配はまったくなかった。
父親は晩秋の高地だというのに半ズボン姿。西欧系人種にはこの手の方は多い。
子供のしつけを言えば、日本に限らずアジア系家族はどこでも甘すぎると思っている。
こちらのご家族のMammyは日本人のようだ。

その他の大人達も静かで、おとなりさんは焚き火をしていたが穏やかな話し声が聞こえるだけだった。
 
下のゲレンデに降り山小屋で電話を借りる。
携帯電話の電波は来ていない地域なので、ヨメに今夜は外泊する旨伝えておかねば。
しかしなかなかヨメは出ない。
長期戦になるだろうと、山小屋の食堂の隅に陣取り、持参の本を読む。
テントを設置してしまえば暗闇の中で何もすることがないのだ。
食堂であたたかい夕食の匂い。
カレーライスとか味噌汁とか。
ここで夕食を用意してもらってもいいのだが、せっかくインスタント食品を調達してきたので、
テントで食べることにする。ウチにもレトルトカレーくらいは持ってきている。
午後7時、やっとヨメに連絡がつく。
「ちょっと出来心でキャンプに来た。」「そう。」別に驚いた様子はない。
「そこどう?」「ちょいとワイルドなところだよ。じゃね。」
さあ、テントに帰って夕食にしよう。
 
新品の携帯燃料は火力も強く頼もしいのだが、残念ながらクッカーの中にパックライスは入らなかった。
台所の手鍋を持ってくるのを忘れたのだ。結局、カップラーメンと乾燥かゆのみ。
人間はカップラーメンさえあればまず死ぬことはない。
食後、またすることがないので山小屋の風呂に入りに行く。400円。
9時まで入浴可。見事に木製の湯船だった。山小屋風で温泉とはまた違った味がある。
食堂のポットからお湯をもらって帰る。
 
10時前入浴後の勢いで就寝。

寒気で目が覚める。まだ1時半か。
ありったけの衣料を着込み、使い捨てカイロを大量に投入する。
しかし、せんべい寝袋の下から地の冷たさが伝わってくる。
やはり、100円ショップのシートを何枚重ねても晩秋の山肌の冷たさは遮蔽できない。
本格的なマットと寝袋は要るなぁ。
 
外に「クィーン」というよく響く啼き声がして、大型動物の気配。
フンもサイトにあったので鹿だろう。それにしてもなんで夜間に行動するのか?
満天の星空や啼き声の主を見たくもあったが、寒くてテントのファスナーを開ける気にならない。
 
iPhoneでフランスクルチュールのポッドキャスト番組2000ans d'histoireを聞く。
一話30分。アルザス・ロレーヌの割譲、アルジェリアの親仏レジスタンス(?)Harkisの話・・・
2、3話聞いてるうちに眠ってしまう。
私の生涯をかけて研鑽を積んできた語学は少なくとも眠るのには使える(^^;
 
11月7日(日
7時前、目が覚める。
朝、テントの中から下界をのぞくのは楽しみなのだが、どうもはっきりしない空模様のようだ。
天気がよければ、朝からツーリングに出発してもいいのだが、寝不足だし、このまま
だらだらとキャンプ場で朝の時間を過ごす方がいいか?
なんなら朝寝を決め込んでも可だろう。
 
朝食は全く夕食と同じ。カップ麺と乾燥かゆ。
ただし、違う味のヤツだからね。
 
下のトイレまで散歩したり、キャンピングチェアーにすわって読書したりして過ごす。
少し寒いが、厚着すれば過ごせる。
気がつけば周囲にはもう誰も居なかった。
しかし、曇り空に雨の気配も少し混じってきたので撤退準備にかかる。
12時、下の山小屋でチェックアウト。
  
幸い雨にはならないようなので、ゆっくり写真をとりながら下山する。
秋の紅葉がくすんだ色で山肌を飾っている。
3週前に白馬でもっと鮮やかなヤツを見たので地味に見えてしかたがない。
 
 
まっすぐ帰るつもりだったが、R169に出ると下る勢いでそのまま下北山方向に走りだしてしまった。
まあ、いいか。R309に折れて天川村経由で帰るとするか。
 
R309への分岐点へは15分もかかならい。
ここは日帰りツーリングでおなじみの道。しかし殆ど天川村からの帰路、夕方通過するケースが多かった。
いつもとは逆コース。しかもまだ昼過ぎ。
キャンプで寒さを凌いだ見返りは、結局ゆっくり帰れるということだけだったか。
日曜昼過ぎである。
行者還峠トンネル近辺では道路端に車を止めて、近所のオバハン連中、あっ、キツイ視線が・・近在過妙齢のご婦人グループが車座になり昼食を開けている。
天気はもうひとつはっきりしないし、山の紅葉もこの辺ではくすんでいる。
 
行者還岳の間道部分を過ぎると川迫川渓谷。
どこか北欧ぽい川迫ダム近辺の川原。
広々として日本離れした光景だが、川原の石が白っぽく、静寂に沈んでいる風なので
この世離れした光景とも見える。賽の河原とつぶやいてみる。

このルートの終点は紅葉祭りでにぎわう天川村みたらい渓谷である。
終点に近づくにつれ、川石が岩場になっていき、くすんでいた紅葉が何となく鮮やかになっていく。
くっきりした赤や黄が混じり込む。自然も観光客相手には媚を売るのかい?

ときどきすれ違えない車が停滞しているがバイクはすいすいすり抜けて行くのである(^^)。
 
終点の小トンネルを抜けると日曜午後のみたらい渓谷入り口。
人の波。車の駐車場はないので天川村に車を止め皆さん歩いて来るのだ。
しかしバイクはトイレ小屋の横あたりに駐車スペースがあるので、ずかずかとどうぞ(^^)。

しかし、今回はワイルドで孤独なキャンプ帰りである。
有名観光地の人ごみを尻目にさっさと通り過ぎ、道の駅黒滝で少々休憩した後そのまま帰着。
いや、やはり橿原アルルのスポタカ・モンベルに寄り、寝袋・マット・バーナー等チェックしておこう。
晩秋の山キャンプならやはり本格的山道具投入も要考慮か。
100円ショップグッズにかこまれて凍死したくはないからね。


origin: [バイクでキャンプ入門(3)@和佐又山キャンプ場(ソロ)] 2010/11/9(火) 午前 11:01
白馬・八方(3) 大宇陀