エボシ岳 池田町部子山

 永平寺・九頭竜 [福井]


'12 9月25日(火)
9月25日(火)
風によるテントのはためき音を何とか押さえ、深夜近くやっと眠れたようだ。
 
ところが、なんということか午前4時、またしても車のエンジン音が。
キャンプサイト入り口の駐車スペースで車が停まる気配。
 
うわぁ、・・・がこんなところまで!
・・・とまでは流石に思わなかったのだが、その割には静かなのでテントから首を出し確認する。
駐車スペースに車の影はもうない。
 
数年前にエボシ山頂から車ごと転落自殺した人がいて、今でも午前4時になるとエンジン音だけが響くらしい。
やはり、・・・が来たのだが、われわれのテントを見てあわてて逃げ出した。
・・とか、いろいろ解釈を試みる。
一番ありそうなのは、悠久ロマンの杜のオジさんは本日の宿直管理者で、軽4トラックで見回りに来た、というヤツ。
でも、深夜4時に見回るかな?
風が強いので眠れなかったのか、エボシのテントが風で飛んでないか確認に?
 
いずれにせよ、午前4時である。
こんな時間にわざわざエボシ山まで登ってくる車があるとは思えない。
あっても、夜明けも見ずすぐ立ち去るとは考えられない。
まあ、山は下界とはまた別の次元が支配しているのだろう。
 
まあいい。エボシ山頂の朝。 全く別の次元の世界がある。
ただ光りの濃淡だけが遠近を描く水墨画の世界。
日常を逸脱した荘厳な光景。
朝もやを雲と錯覚すれば、ここは天上かと思えてしまう。
見よ、世界は美しく時に崇高でさえある。
・・・。
 
この水墨画の世界は、自然の猛威に耐え、山頂に留まった者だけが垣間見ることができる特権か、と思った。
だが案外朝もやはしぶとく、晴天霞のようにいつまでも残り、別に朝になって山に登ってもそれなりの光景にはありつけるようだ。
うん。露天風呂漁火カウンターのお姉さんが躊躇なくこのキャンプ場を薦めてくれたのも道理。
一日中、常に違った色合いの光景が楽しめるスポットかも知れない。
昨日はもう遅かったが、季節によっては日本海夕日の光景だって可能だろう。
 
 
のびのびゆっくり朝食をとり、いろんな角度で写真をとりまくる。
 
きりがないのでそろそろ出発にする。
好天である。
2泊のみ案もあったのだが、もったいない。
もう一泊することにして、本日もツーリングを楽しむことにする。
大野か九頭竜あたりで宿泊と決め、ツーリングマップルで良さそうな道を選んで走ることにする。
 
この朝、エボシ山から下山する大気の爽やかさは忘れがたい。
一番いい季節の一番いい時間の空気の中をバイクで疾走する。
スーパーメルシーで朝の業務を行い、お昼用食材を仕入れる。 Merci !
 
R417で鯖江市を抜け、県道18号をたどることにする。
 
市街地では流石に交通はあるのだが、道路が広く見通しがいい直線が多い。
交通渋滞とは無縁な地方だろう。
 
晴天で今度は陽射しが強くなってくる。
停まると暑さがこたえる。
県道18号に入ると、低い山に縁取りされた畑がひろびろと連なっている。
 
中山公園下の駐車スペース空き地でコーヒー休憩。
このへんのお膳立ては、常日頃野立コーヒーを嗜んでいるので、実にスムーズ。
最近では、路上コーヒーまで催すこともある。
 
中山公園を過ぎると、県道18は、左にあった適当な山裾にとりついて、そのまま登っていく。
 
エボシ山から見えるとおり、低い山並に囲まれた盆地が散在しているのがこの地方の地形である。
佐々木小次郎出身の在を越えると、広い谷間の道筋になるのだが、これを一乗谷という。
街道筋はよく整備された遊歩道や公園風が続き、散策する人も多い。
 
なにやら観光地風。
どうやられっきとした観光地に来たようですね。うきうき。
 
ここは一乗谷朝倉氏(朝倉義景他)の本拠で、戦国初期には一万の人口を抱える小都市だったのだ。
復元された武家屋敷通り↑ 入場料¥200。 外から垣根ごしに撮影(^^;
 明るい日差しに緑が映える遊歩道が義景屋敷跡他の史跡を巡っている。
ここで朝倉ソバを食べていくか協議したが残念ながら割愛。
先を急ぐことにする。
 
予定では「トラックが多い」(T.マップル)R158を避け、「清流沿いを行く二車線快走路」(同)県道2号を経て、「景観はいいが道幅せまい」(同)R476で大野市にむかうことにっている。
いやぁ、出発前夜に買ったツーリングマップル、役に立つなあ。
ここで、「長距離トラックが多い」R158にちょいと出るのだが、車はほとんどトンネルの新道に行き、川沿いの旧道は案外のどかで走りやすい。
そのまま走っていくと、通りすぎた橋で対岸に分岐している道路がある。
→ R364「永平寺方向」との表示。
 
あ、永平寺があの先にあるのか。
うあぁ、これは拝観しとかなきゃ、と即決しUターン。
 
曹洞宗総本山永平寺。
私の中のイメージでは、雪深い山間に隠され、俗界とは縁の無い禅寺というものだ。
 
ま、しかし、当然ながら多くの観光客を集める有名寺院である。季節的にも雪でもなく、紅葉でもない。
 
寺域は広大だが、参拝ルートは一切建物伝いの室内だけ。
ひとつには観光客に勝手に寺域をうろうろされないという配慮もあるようだ。
 
寺院全体のたたずまいが窺えないのは残念。
 
観光的風景としては京都奈良の寺社ガイド専門家である私(2年間だけ;;)の目には今更の新味はない。
しかしながら雪深い北陸の地に都と遜色のない伽藍が立ち並ぶ威容は稀有と言えよう。
 
出口近くにある宝物庫に展示してある信長・家康・秀忠等の流麗な筆跡は興味深い。
武将は第一等の教養人だったのだ。
 
山間の寺院なので駐車場はない。
門前の店屋の駐車場を使うしかないのだが、バイクなら3台ばかり置けるバイク専用駐輪場があるのだ。
 
この後、案内図に従って永平寺湖に行こうとしたが、工事中通行止め。
 
急いで元のR158に引き返すことにする。
 
大野市へはそのままR158(美濃街道)で30分もかからないだろう。
でもウチは長距離トラックではなくてツーリング。
県道2号、R476の山道を行く。
 
まあ、何のことはない、昭文社ツーリングマップルに従って道を選んでいるだけなんだが。
意外と役立って、走りやすく景色もいい道ばかり伝うことができた。
R476の峠のトンネルを抜けるとこうなる↓
少し前、交通量が少ないし、一本道だったので珍しくヨメが先導していた。
しかし、前に車が一台あり、ヨメは追い抜こうとするのだが、直ぐカーブという感じでなかなか抜けない。
結局車のすぐ後をいつまでもべったりくっつき、いやがらせで煽っているように私には見えて笑えた。
 
で、遂にこの車の方がうるさいと思ったのか、ハザードランプをつけて脇によけてくれた。
ヨメの後で私が、車に頭を下げながら追い抜いたのは言うまでも無い。
トンネル出口の道路脇に駐車し、ガードレールの切れ目にイスを並べて路上コーヒーを決め込む。
 
しばらくすると、先ほどよけてくれた車がやってきて停車。
上品なオジさんが降りてきて三脚を構え、このポイントで一枚撮影。
私と目をあわせ、お互い苦笑ぎみに会釈。
 
 
山から降りると道はR158美濃街道に合流。
この地点で大野城が見えた、とヨメはいうが、私は左右の交通確認で見なかった。
 
時間があれば大野市内でも宿舎を探すつもりだったが、もう夕刻である。
うろうろせず、そのまま九頭竜の国民宿舎に直行することにする。
 
大野市街から九頭竜峡に入る直前の山間中腹に塔のような白い建物がポツンと見える。
 
停車して指さし、ヨメに「ノイシュバンシュタイン!」と言う。
←アレアレ!の図
(2009.9.21ヨメ撮影)
 
うっすらと中腹に見えているのがノイシュバンシュタイン城。
上の写真では撮影タイミングを逸してしまったのだが、このうっすら白いものに不思議に似ているヤツが中腹に見えていたのだ。
 
正体は何なのか気になりますねぇ。
 
ヨメが丁度、犬を連れて散歩中だったオジさんに正体を尋ねる。
 
私は他人にモノを尋ねるのが極端にきらいなのだが、ヨメは正反対で、一切の躊躇なく訊ねてしまう。
この人のハハオヤはもう一つ激しく、横に近づく人の気配を自動センサーで感知し、間髪をいれず喋り始める機能が搭載されている。
 
大野版ノイシュバインシュタイン城の正体はテレビの電波塔ということだった。
 
R158の九頭竜峡。
急に寒くなりヨメは厚手のスカートを巻きつける。
 
昨年のGWに国民宿舎に投宿したとき、宿舎の敷地にある林間キャンプサイトが気に入ったのだが、あまりに寒くて宿舎の方に宿泊した。
以来、もういちど九頭竜でキャンプしたいと思っていた。
 
あの時は岐阜の白鳥峠からやってきて、県道127でまた岐阜県に戻ったのだが、今回は福井からの進入路になる。
 
こちらは九頭竜川に沿って序序に高度が上がっていき、秘境にだんだん近づいていくような趣がある。
道路にスノーシェードが覆いかぶさっている部分が増えだし、気温が下がってくる。
大野から20分くらいだろう、と踏んでいたが、やはり山岳道路、もう少し見ておく必要がある。
遂に、見覚えがある九頭竜スキー場の二本のピストが見えてくる。
スキー場・国民宿舎へ進入する橋の袂で停車、ヨメのご意見をいただく。
「どうする? キャンプにする?それとも宿舎?」
「どっちでも・・」
とはいいつつ、寒いのでどうも宿舎案に傾いていくような微妙な空気。
 
結局、今回も宿舎の方(^^;
 
テントで2回寝ればその次はホテル泊にすると心づもりしていたこともある。
 
九頭竜パークホテルキャンプ場泊に心残りはあるが。
ま、次回もあるさ。
 
実はフロントのオジさんとキャンプ料金、素泊まり料金、一泊朝食プラン料金その他、いろいろ交渉した結果である。
宿としても格安。 
 
 
ちなみにキャンプなら:
車一台¥3500
バイク一台¥1500
当方2台なので¥3000
 
素泊まり一人¥4500、朝食付きなら¥4800等等。
よく考えれば、バイク一台林間に隠しておいて、タンデムでチェックインすれば二人で¥1500だったが(^^;
 
しかし、朝食付きの宿泊プランにして良かったのだ。
例によって、食料調達に黒バイクで九頭竜駅前まで行ったのだが、スーパー、コンビニ皆無、戸締りしていた駅のオジさんに教えてもらった雑貨店も既に閉店していて、どこにも調達するところが見つからないのだった。
キャンプだと、駅前で眠っているT−レックスの親子でも煮て食ってしまうしかない。
 
手ぶらで宿舎に帰り、食堂で交渉してオニギリを作ってもらい部屋で食べる。
安上がりで、ノリの香りが効いていておいしかったデス。
ゆっくり風呂に入り、フロントのオジさんに昨年のように翌日のルートの相談に乗ってもらう。
本日は・・・の心配はない。
安心して就寝。


origin: [越前福井ツーリング 1禍2台3泊4日 (5)] 2012/10/1(月) 午後 4:49
エボシ岳 池田町部子山