行者還峠・和佐又山キャンプ | 高取林道・明日香 |
和佐又山キャンプ2 [奈良] |
'13 5月6日(月)
5月6日(月、代祝)
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朝6時、突然の大声に起こされてしまう。
「わしや、わしや!おはよーさん、山にいてるんやぁ、・・」
まったく子供っぽいオッサンだ。うれしくって、人に言わずにはいられない、という風情。
私がさすがにキレて、「ぎゃぁぁぁー」とテント内から叫ぶが効果なし。
私はデリケートなのでキレやすいのだ。
ひとしきり喋り、「また山のてっぺんから電話するからなぁ」で話が切れる。
「せんでもええわい!」と大きな声で私がテントの中から答 |
えてあげる。
山の朝は早い。
すでに隣奥の老カップルは6時前にはバタンと車のドアを閉め、去って行った気配。
テントに閉じこもっていたお向かいの二人組も、テントから出ると登山装備に身を包んで大普賢山目指して歩いて行った。
驚いたことに、この近所迷惑携帯しゃべくりのオッサンも早々に身支度すると一人で登山装備一式でテントを去って行ったのだ。
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車やテント・タープから見るとキャンパーと思っていたのだが、登山もしなはるようだ。
近所迷惑だが、それはそれなりにきちっと装備し、かくしゃくと1776メートルを踏破する気配である。
少なくともそのスジの方ではないわな。
それに周囲の隣人がすべて山に去ってくれ、おだやかで静かな朝になったのはありがたい。
広場では家族連れがいるものの、遠いのであまり気にはならない。
ゆっくり朝食を済ませ、快晴のキャンプ場の朝を過ごす。
ヨメと「どうぶつしょうぎ」をするが、2ゲームとも私の勝ち。
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すこし上の和佐又山登山口まで散歩。
普通の運動靴だが、いつも和佐又山くらいなら登っていいと思ってたのだが、途中まで行くとなんだか同じようなので引き返す。
登山は遂に私の人生の経験にないまま、膝を痛めてしまい、もうこの先もないだろう。
きっぱり諦める。
もともとそんな野外派じゃないんだから、テントでキャンプしてるだけでも上出来だ。
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ヒュッテを見下ろす丘の中腹で風に吹かれる。
向こうは大台ケ原。
うっすらと大台ケ原ドライブウェイが見え、そのつもりで目を凝らしてみるとかすかに動く自動車も見えてくる。
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久しぶりにゆっくりとした朝。
いつもの休日なら今頃、ばたばたと出かける支度をしているところだ。
快晴で日差しは暑いが、時折突風が吹き抜けて心地よく。
ああ、いいなあ・・・
なんて言ってたのだが。
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テントに帰ってみると、タープを縛っていた黒バイクが突風で引っ張られて倒れていた。 ガソリンも漏れているようだ。
急いで起こすが、ちょいと待てくれ、私は腰を痛めてるのだ。
二人で起こし、祈る気持ちでエンジンをかけるが、予感通りウンともスンとも言わない。
リザーブにガソリンは残っているようだが、セル(エンジンイグニッション・セルフスイッチの誤略)がまったく効かない。
ライト類も点灯しない。
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良く見るとエンジンキーを差し込んだままで、オンになっている。
さては・・・
私が昨夕、バイクを移動するのにエンジンかけたまま、ステーで止めてそのままにしていたのか。
ライト類がついているので夜には気が付くハズだが、もともとバッテリーが弱っていたのだ。
乗り換える計画を聞いてしまって、黒バイクの方から先に自殺してしまったんだなぁ。
なんとプライドの高いヤツだ。
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考えてみると、このバイクで我々夫婦二人ともバイクで野外徘徊の生活を始めたのだ。
まあ、それはそれでいいのだが、実際にエンジンかからんし、ガソリンも頼りないとしたら、一体どうする?
まあ、その辺にわからんように葬って、赤バイクで二人乗りで帰るか・・・。
そうもいかんだろ。
実はこの黒バイク、妙な特技があってバッテリーが干上がってもガソリンさえあればなんとかなるのである。
確信をもってキックペダルを踏み下ろす。だが、コケたショックかエンジンは黙っている。
で、私は腰が痛いのである。 ヨメが変わってキックするがラチがあかない。
やはり私か。
祈りを込めてキック数回。
エンジンが始動し、ヨメが思わず拍手してくれる。
ふう。
やっとキャンプを撤収し、退去できる。
途中、トイレに立ち寄ってもエンジンを切っちゃいかん、と言ってあるのについ習慣でステーを出してエンジンを停止させてしまう。
やむなく、トイレの前でヨメにキック始動の練習をさせる。
一度エンジンは温まっているので、ヨメのキックでもエンジンがかかるようだ。
さっそうとヨメがキックでエンジンを始動させると、ヒュッテの前で昨夜のお兄さんが手を振ってくれる。
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「エンジン切らないで」停止中のヨメ。こんな坂の途中でキックはしたくない。
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R169に降り、そのままトンネルを抜け、ループ橋を回り、道の駅川上までノンストップ。
連休最終日で少し車が多かったが、北山川の水量も多く、ダイナミックな山と川の光景になっていた。
道の駅川上の裏手はずっと工事中でダンプカーの出入りがあったのだが、もう工事が終わり静かな川原である。
一昨年の台風でR169のこの区間が通行止めになり、対岸の道路を走ったことを思い出した。
そっちの道の方が面白そうだが、もう遅い。
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R169でそのまま大淀まで行ってもいいのだが、国道より側道、県道255を使うことにする。
R307で少し大回りして津風呂湖に立ち寄る。
ここも水量が回復し、湖に遊覧船も浮かび静かで穏やかな春の休日風になっていた。
すると、ヨメが初めて来たようなことを言う。
以前、ここで道端のクリ拾ったじゃないか!
やっと謎が解けた。
どうもおかしいと思っていた。
今のヨメは昔のかわいかったおヨメちゃんではなかったのだ。
最近どこかで完全にすり替わってしまい、だからまったく昔の記憶がないのである。 |
アップダウンがかなり面白い県道255を伝い、予定通り帰りに道の駅「吉野路大淀」に立ち寄る。
しかし、もう殆どなにも残ってなかった。
やっとごま食パン250円購入。お腹すいてたので、そのままかじり食う。
吉野名水ごろごろ水のボトルがあったので、ヨメに「アレ、170円もする!」と注意を向けたのだが、すり替ったヨメには「ごろごろ水」の記憶ももとより全くないのだった。
このようにして、私たちの人生は突然暮れていき、やがて薄暮の中ですべてが消えていく。
そしてすべてが消えたときに初めて我々は自由になれるのだ。
往路とまったく同じルートで京奈和道の二つの無料区間道路を伝い帰宅。
そして波乱に満ちて今年のゴールデンウィークが終了する。
(その前に樫原アルルに寄って、コーヒー飲んだ。イオンラウンジではせんべい一個しかくれなかった。)
origin: [R309行者還峠越えで和佐又山一泊キャンプ(2)] 2013/5/10(金) 午後 7:42
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