八代・宇土 長島

 天草 [熊本]


'13 9月26日(木)1
9月26日(木)
宇土市 
ホテル「ベンデナート」の朝。
駐車場で荷造り中。
 
電話の応対でもカナで書いてもらっても良く分からん名前だったが、ホテル内にはちゃんとアルファベットで表示されていた。
 
Hotel ”Benvenuto”
イタリア語のベンベヌートじゃないか!
ベンベヌート・チェリーニの、つまりフランス語の B i e n  v e n u (いらっしゃいませ)。
なんでこういうカタカナになるのか、さっぱりわからん。
 
ホテルの社長が知り合いにガクのある方を紹介してもらって読み方を尋ねたのだろう。
しかしこのお方、実はイタリア語も英語もわからん上、アルファベットの子音を読み違えて発音してみせたのだ。
社長は「ん?」とは思ったのだが、礼をつくして尋ねた手前、今更違う人に尋ねるわけにもいかず、やむなく教えてもらった通り「ベンデナート」をホテルの正式呼称とし、現在に至るまで看板を上げ続けているのである。(カルテジアン方法的懐疑)
 
なんとねぇ・・・
めったなことで、ヒトにモノを尋ねてはいかん、という話である。>ヨメ
 
宇土半島を天草にむけて西に突き抜ける。
ツーリングマップルによれば、八代のご夫婦に教示してもらったR266(八代海沿い)が「八代海を望んで走る爽快ロード」なのだが、ホテルからすぐの国道57号(島原湾)でもいいだろう。
「交通量多い」と書いてあるのだが、観光コメントはコチラが多い。
 
「海の中に見えるナントカ」「干潮時には砂の曲線美がカントカ」とかあるが、肝心の海の色があまり冴えず、停止して撮影するほどでもない。
海派のヨメは「何でアソコで停まらなかったん?」とかいいうのだが、私は本来的に山派。
ピアノもヤマハ。
 
←道の駅「宇土マリーナ」後ろ、御輿来海岸の防波堤。
 
この堤防に立てば、正面には雲仙普賢岳しかない。
うっすらと火砕流の跡が見えている。
未だ木は生えず。
 
道の駅はまだ開店していなかった。
道を続ける。
 
雲仙の眺望以外はありふれた日本の海岸線の光景。
和歌山に来ているような気分。
 
やがて道は大きく左にカーブし、宇土半島の端っぽ、天草島諸島に対面する三角(みすみ)に到達。
←天草五橋の最初の大橋が見えている。
これまでの方向感覚からいうと、右側が三角で橋を左に渡れば天草となるハズだが、実は逆。
正面が天草で、左はまだ三角。
 
↓右手の眺め。
左が天草(大矢野島)、右が宇土半島でこの下をR57が回り込んでいる。
こちらの方が圧倒的に距離が近いので、橋をどうしてコチラに架けないのか解せない。
 
丁度、来合わせた熊本市のライダーにおヨメちゃんが理由を尋ねたが、「政治的な何かあるのかな」とか。
この人はスーパーカブで日本一周したこともあるツワモノだった。
「今日は天気がいいので、仕事サボって・・」とのこと。
 
この辺り、ちょいとした公園になっていて、明るい明治期の和様折衷様式の建物が再現されている。
正面の建物は瓦葺屋根に二階テラスのある植民地風洋館。
窓にはすべて花が飾られていて軽やかである。
レストランが中で営業している。
九州の西端では歴史的にはヨーロッパの風を正面から受けていたのだ。
 
左の瓦葺洋館も面白い。
明治の美観が生きている。
 
「何でアソコに橋かけないの!」と公園清掃担当のおネエさんに詰問するヨメ。
 
後で天草五橋一号橋を通過すると答えが分かった。
すんません。
左は天草ではなく、無人島(中神島)だった。
 
そして、天草上陸。
宇土半島と天草諸島とは橋でつながっていたのだ。
天草フェリーが無くともそんなに問題はないわけだ。

この後、天草パールラインと称される縦断コースを走り、天草5橋をすべて渡ったのだが、だいたいが町場で意外と交通量と信号もあり、九州西端の島を走っているという辺境的な印象は全くない。
 
一連の橋を渡りきると天草上島の松島。
ここから松島道路という高架高速道路が島の半ばの海岸線まで伸びている。
いいかげん、下道の交通量にうんざりしていたので高速道路に向かう。
なぁに、バイク一台150円だよ。
 
ETCはないのでゲートのおジさんに二人分300円を渡していると、後ろからヨメがさっそくおジさんへの質問開始。
「松島ってどのあたりですか?」
「後ろの展望台からよく見えますよ。」
見ると、ゲートの横の方に上に上がる道がある。
「あっ! それなら少しアソコに行ってからまた来ます。」
「いいですよ。では一応300円返しておきます。」
そのままバックで戻ろうとしていると、次の車が後ろから来てしまった。
チラリ!とおジさんを見る目が恨めしかったのか、「それでは、いいからゲート入ってから対向車線にUターンしてください。」と言ってくれる。
かくして、高速道路内をUターンするという貴重な体験ができました。
実は、ヨメの知人が高速道路のICで降りそこね、バイクをバックで押して戻ってきた、という話を2,3日前に聞いて、大笑いしたところだった。
  
←高速道路ゲートを少し戻って上ると松島展望台。
日本三大松島のひとつですね。知らんかったけど。
  
先ほど渡ってきた天草5橋の最後の大橋が右手に見えている。 
それから再度高速道路のゲートに向かうのだが、さっきのおジさんが今度はバイクの後ろに周ってナンバープレートをメモしている。
多分、先ほどUターンして勝手に出口から出てしまったので、違反車両として記録されていて、その処置だろう。
 
高速道路は海を眺めながら、高速走行でき、なかなか壮大な眺めにもありつけ、「150円にしては走りごたえあったね」とはヨメの感想。
しかし、海からの横風がすごかった。
高速道路の強烈横風は既に伊勢湾沿岸道路で体験済みで、そこまでアブナくはなかったが、景色を楽しむ余裕を少々そがれてしまった。
 
高速道路の出口に道の駅「有明」があるのだが、少し戻る位置になる。 省略。
 
しばらく海岸線を走る。
海風が強い。
 
すぐ交通量のある町場になっていく。
 
天草とれたて市場」→
土地の産品を多量に取りそろえた直売所。
 
丁度時間なので、ここで昼食を買い食いすることにする。
 
弁当類や揚げ物、煮物等。
いろいろ取り揃えてあって、目移りがする。
 
結局、私はひじきごはん弁当,
ヨメはかやくごはん(^^)
 
店の横の喫煙所兼休憩ベンチでいただくのだが、風の強さはハンパではない。
弁当に乗っているバランが次々と飛んでいく。
弁当自体も軽くなると、ベンチには置いておけない。
手でしっかり持ちながら、一つかたずけては即トレイをそのままゴミ箱に持っていく。
 
ヨメはさっそくトイレ掃除をしていたおジさんに「なんでこんなに風が強いの!」と詰問する。
 
「この風のおかげで中国からの黄砂がすごい、と言ってた」そうである。
 
とにかく、風がきついので海岸線はとても落ち着いて走れないだろう。
協議の末、瀬戸大橋を渡ってからの天草本島縦断は内陸の道を行くことにする。
 
天草に来て海岸線を走行しないのは全く無意味な気がするが、実際に無意味だった。
島とは言えどそれなりに山深く、景観はまったく奈良県と変わりない。
 
天草本島の内陸ルートR266号亀川ダム公園で昼寝する私。
 
交通量はそれほどでもないが、片道一車線でしかもすべて追い越し禁止オレンジライン入り。
一台でも制限時速をお守りになる車があると、以降後続の車を長々と引き連れての大名行列という様相になる。
そして、めったなことに信号がない。
せめて信号で停まってくれれば、すり抜けもできるというものだが。
 
天草に限らず、九州の道路はやたらとこういう大名行列が多い。
これがウチの近辺なら即下剋上で革命が起き、庶民が力強く権力に抗することだろう。
さすが九州。侍社会・階級社会の伝統がここに生きている。
 
しかし、制限時速50キロなのに40キロで悠々と走っている殿様車も結構見かけた。
殿様は決して九州から出てはいけません。即暗殺されますよ。
 
かくて、私は異様に眠たかったのだ。
 
内陸の道はとりわけ撮影すべきものもなく、夕刻天草最南端の牛深港到着。
ここからフェリーで対岸の鹿児島県長島に渡るのである。
斯くいうわけで、天草については何も見ていないに等しい。すんません。また、いつか。機会があれば。 
フェリー乗り場横の「海彩館」
 
九州共通BGMの古演歌が常に鳴っている。
 
漁業関係資料館と土産物数店が一緒になった和風ショッピングモール。
 
フェリーの出発時間まで時間をつぶさせていただく。
店の構えは少々の味があるのだが、品数はそんなにない。 
 
こちらが、資料館。 無料。
意外に広くて、牛深港近辺の漁業の歴史的遺物の展示がある。
 
江戸時代の裃(かみしも)の現物(寄贈品)等もあって、それなりに興味深い。
 
更に二階には戦艦「長門」記念館がある。
真っ暗な部屋に入り、電源のスイッチを入れるといきなり英霊2名が迎えてくれ、多少ぎょっとする。
 
戦艦長門は牛深港にも寄港し、その後撃沈されてしまう。
牛深の篤志家女性が私費で長門記念館をオープンし、ここに引き継がれている。
 
寄せ書きした出征兵士に持たせる日章旗、当時の手紙類、遺品等が展示。
 
戦争の事実を知ってはいるが、現物を見せられると事実が立体感を持ち、多少の重みが出てくる。
 
出航10分前に乗船開始、少し遅れたので乗り場に走る。
フェリーから見る牛深港。
 
古い漁村の上を走る道路橋が長大でやけに立派。
翌朝、対岸の長島からでもくっきり見えていた。
 
夕刻のフェリーはトラック1、自動車2、バイク2くらい。
船室には高校生のグループがいて、長島にはスクールバスが待っていた。
毎日フェリーで通学してるんだろうか。 
 
今回のツアー2回目のフェリー。
バイクも一緒に運んでくれるなんて便利ではないか。
列車ではできない芸当だ。
 
デッキでゆっくり涼しい海風を楽しむ。
 
天草海岸では強烈な海風だったが、いつの間にかおさまってしまったようだ。 
穏やかな海だった。
 
  
(以下、ブログ5000文字制限により 次項に続く)
origin: [九州ツアー 7泊6日 (赤+黒) (5の1)] 2013/10/5(土) 午後 1:47
八代・宇土 長島