美杉リゾート 室生滝口・香落渓

 笠山龍王 [奈良]


'13 11月2日(土)
11月2日(土)
いよいよ黒バイクの車検が切れ、11から当分豆バイクがヨメの Cheval de bateille (戦馬)になった。
 
10月最終回の花柄黒バイク@針テラス→
未練たらしく、その日も乗った。
赤バイクと自動車専用阪奈道路に行き、意識して先頭を走ってもらったりした。
←今月からはこちらの豆バイク(250cc)。
 
軽くて乗りやすいのだが、赤バイクと並んで阪奈道路を走ると、双方かなりのストレスになる。
ご近所周り専用ですね。
 
じゃ、どこ行く?
天理ダム・笠山くらいか。
 
のんびりと大和川河川敷遊歩道をたらたら走る分には何だっていい。
 
橋下のカモ一家と欄干のアオサギ→
反対側の欄干にはカラスもいるが、写真では見えない。
こちらはもっと近所の佐保川で遊ぶ白鷺。
普通は単独行動しているが、何故かここでは6羽がかたまって住んでいる。
近くにゴイサギ2羽も付かづ離れずくっついている。
時々鵜もみかける。
 
私はもともと大阪人なので、サギのような大型の鳥がいるといつも見入ってしまう。
しかし奈良の半市街地ではごくありふれた鳥で、周囲の田圃を見渡せば必ずどこかでドジョウをつついている。
(↑奈良県御杖村県道31号奥)
大阪人といってもいろいろだが、下町中の下町萩ノ茶屋・鶴見橋・今宮の育ち。
猥雑で目にうるさい商店街と小便くさい路地がどこまでも続くだけの。
やっと大阪下町の暑苦しい呪縛を抜け出し、奈良県の山村にも近い生活だが、今はヨメが福島・海老江・大開の雑漠とした大阪下町感覚を持ち込み私をいつも適当にいぶしてくれている。
奈良じゃ近すぎる。やはりドイツか、とか思うこのごろ。
 
そんな話やない。
大和川河川敷遊歩道を適当な地点で切り上げ、県道50号桜井笠線の入り口を探る。
国道を走りたくないので、なるべくのどかなあぜ道伝いで笠山道に接続。
 
県道50に入った途端に早くも山里風の光景になり、休日の散策者相手の柿直売所が並ぶ。
私は笠山道を脇目もふらず登っていくのだが、後ろをみるとやはりヨメの姿はない。
 
はいはい、わかってますよ。
直売店で柿買ってるんだよね。
 
←登り切った辺りにある道標。
この辺りから直接山肌の踏み分け道を上ると竜王山に行けるのか。
もちろん赤バイクでは無理だが、「キミならやれる」と豆バイクのヨメをけしかける。
ここでは流石のヨメも「無理」とのことだったのだが。
 
本日は時間がたっぷりあるので、この辺りの探索をすることにする。
笠山荒神笠ソバ売店に直行せず、怪しげな農道を辿ってみる。
意外に奥が深く、まったくの山の中なのに、耕地やビニールハウスが散在し、どこまでも続いている。
近所の山だとあなどってはいけない。
 
やがて曲がりなりにも舗装されていた農道が尽き、あとは砂利ごろごろの土道になってしまう。
「キミなら行ける」とけしかけるが、もういい、と拒否される。
 
人跡未踏の深山ではあり得ないが、なんだか不思議な4次元空間に連なっているような怪しい雰囲気も少しはある。
気のせいか、遠くから音楽のようなものが聞こえてきたり。
「神隠し」くらいならひょっとしてあるのかも。
なんだか雲も出てきたようで、この地点で引き返し、本道に出て笠山荒神笠そば野菜直売所に行く。
 
とにかくミセに入ってモノを買う。
それがヨメの唯一の行動原理である。
 
この日の目的は竜王山に登り、山頂で野外昼食宴を設ける予定。
 
先週、新しくできた国道25号に接続する農道ではなく、久しぶりに昔からある藤井町まわりで天理ダムの裏側に出る県道247を通ったところ、途中で竜王山に通じる林道があるのを発見したのだ。
 
登ってみれば、ちょっとしたベンチもある展望スポットがあったので本日はそこで昼食と決めていた。
ただ、その林道が荒れていて長々と続き、あまり面白くもないのだが。
 
笠山荒神から藤井町の集落途上に「竜王山→」の道標を発見。
方向的には登りになっていて、山頂に達していそうな雰囲気である。
舗装もないガレ場のハイキング道だが、「キミなら行ける」とけしかけると、本当に豆バイクで偵察に行ってしまった。
見ていると途中で振り返って「OK」サイン。
何とか行ける道らしい。
 
狭い山道でおまけに落石や落ち葉、木ぎれが散在し、とてもじゃないが図体の大きな赤バイクでは走れない。
ここでは自転車並みの操作性の豆バイクの独壇場だった。
豆バイクなら人が歩ける道ならどこでも入っていけるだろう。
 
何回か引き返そうと思ったが、ヨメが先導し先に行ってしまうので、泣いていても迎えには来てくれない。
それに勾配のある山道でバイクを回すことはもうできない。
一旦入ってしまえばもう引き返せず、先が見えないまま出口まで行くしかないこの人生。
 
密かに竜王山の展望所下に出ると期待していたのだが、もうコースは山から外れ、山肌を迂回しているようだった。
どこでもいいが、とにかく出口はどこだ?
 
少し道が下りだしたと思うと、急に工場風の屋根が見える。
え?何だこんな山の中に?
 
カモの飼育施設だった。施設の前に軽4トラック。
とにかくも、ガレ山道からは脱出したようだ。
 
施設の中に働いている人がいたので道を尋ねる。
この道を続けても竜王山には行けない。笠に出るだけ。
え、今、笠から来たのに?
別の方角から笠から出て、ここでつながってる、とか。
 
まあいい、とにかく今の道を引き返す気はしない。
この先は軽4トラックが通れるんだから。
 
しかし、荒れた土道で砂利まみれ、4輪ならいいがバイクではきつい。
いつまで続くのか、と思ったとたん急に舗装農道に出た。
 
あっ、 ここは。  ↑
 
先ほど、神隠しに会いかけた場所ではないか。
そういえば、先ほどどこからか音楽が聞こえた気がしたのだが、カモ飼育所では掃除をしながらラジオをかけていた。
この屋根は先ほども見えていたのだった。
 
同じ建物を逆から見たのだが、違う場所と思っていたので同じ屋根とはまったく思わなかった。
いやあ、今回も摩訶不思議な猫町*)に遭遇し、うれしいね。
注)「猫町」については前回の注を参照のこと。
 
猫につままれたような感覚を楽しみながら、もう一度笠から藤井町集落を回り、今度は林道竜王線で無事山上到達。
 
中世の山城跡で、天理樫原の古墳地帯を含む大和盆地を見下ろすまずまずの展望所だが、あいにく曇天で、完全にもやってしまって何も見えず。
 
この展望所(竜王山南城)に正対する二上山と信貴山のあいだから、大阪湾が遠望でき、角度的にはそのまま明石海峡大橋までさえぎるものはない・・らしい。
つまり、奈良県天理市の山から明石海峡大橋が見えるのだ。
←それはつまり、このようなことになっているものらしい。
 
うむ、天気と時間とカメラが3つともベストでなければ見えるわけないような。
 
奈良県大台ケ原から富士山を見たことはあるのだが・・・見えた気がした、というか。
 
昼食後、先ほどの林道をそのまま引き返すのもシャクなので、「藤井町→」という標識を信じて別の山道をバイクで降りてみる。
例によってヨメをおだてて斥候に出すと、例によって「OK」サインをよこす。
 
確かに、道幅は猫町山道より広い気がしたが、今度は急勾配もある落石道。
途中で引き返せる場所はあったのだが、とうとうズルズル状態のまま降下続行。
標識があったので藤井町に達していることは確かなんだろうが。
 
何度かアブない場面をクリアして藤井町集落のおしり部分に到達。
バイクは勾配の上りより下りがはるかにコワい。
 
近くで作業していたオクさんに尋ねて道路の方向を確認し、先導していたヨメが出発し、私が出ようとして民家の玄関前の板につまづき、ポコリとコケてしまう。
なんと、やっと危機を脱した途端転倒とは。
「高名の木登り」(吉田兼好:徒然草)を思い出しますね。
 
なかなか、微妙な角度の斜面でコケていて、オクさんが四駆軽四で坂下のヨメを呼びに行ってくれ、二人で起こしたが、かなり難航。
起した途端、エンジンブレーキがかかっていず、そのまま道下の斜面にするすると動きだし、あわや転落という場面も。
 
ふぁ~、エライ目にあった。
 
ご近所の山でこんな大冒険ができるんて思ってもみなかった。
人生は最後までやっぱりわからんもんだ。
 
いくら赤バイクが半オフロード仕様とはいえ、やはり大型バイクで狭い山道はもうやめておこう。
と、一応反省はするのだが、次の火曜にはどこぞの山でまた落石斜面を登っていってしまうのだ。
(西杉自然遊園)
 
人生は最後までわからない。結局出口までとにかく行ってしまうのだ。
 
ご注意)御杖村「西杉自然遊園」は現在放置され荒廃したまま。
落石楽木落ち葉が堆積し、バイクでの進入不可。(2013.11.5現在)
 
origin: [笠山龍王大冒険 〈桜井・天理) 赤+豆] 2013/11/10(日) 午後 5:41
美杉リゾート 室生滝口・香落渓