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再生紙を使用しています |
2002/3/3
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「この紙は再生紙を使用しています」(大和郡山市広報誌等)
その1) 別に言い回しが変だというわけではないが、どこか割り切れない変な感じがする。 どんな紙を使用していただいてもいいんですが、私は別に紙の材質に興味があって見ているわけではない。見る人にとってまったく必要のない情報ですね。 出会った人にいきなり「実は私は合唱をやってまして」と唐突に話し掛けられたような気がして困ってしまう。別にそんなこと聞きたいわけではないんだけどなぁ。 この場合正直に「それがどうした」と返せば気まづくなるので、「はあ、へ〜え、そうなんですか?」といかにも感心したといように答えないといけないとつい思ってしまう。ここでは、「天然パルプ材の資源保護を心がけていらっしゃるんですね」と答えるのが礼儀というものである。 しかし、なんか変だなぁ、と思ってしまうのは、どこか「吸わないほうがいい」と表示しながらタバコを売っているタバコメーカーの矛盾と通じるものがある気がするからだ。 再生紙使用という表示なら100%の古紙を使っているのではなく、新たなパルプ材をつぶした新紙も混入しているのである。*1) 資源の保護をいうなら、こういった印刷物自体を廃止するに越したことはない。ま、すべての印刷物を廃止するワケにもいかないでしょうが、不要なページの削減や発行回数部数を抑える等の総合的な取り組みの一環として「再生紙の使用」があるべきです。「再生紙使用」この表示さえ入れておけば事なれりというワケではない。 官製年賀状に「再生紙使用はがき」と印字するくらいなら、いっそ「資源保護のため年賀状の出しすぎに注意しましょう」と印字しておけばいいのではないか? (00.12.22 02.3.3大幅改訂) その2) ずっと再生紙ってゆーのは、あのワラゴミみたいな繊維カスが浮き出た、ざらざらごわごわの茶色の紙だと思ってた。水洗式以前の落とし込みトイレの隅に置いてあった落とし紙とか「ワラ半紙」のイメージですね。安いだけが取り得の我ら下級労働者ご用達のどーしょーもない紙。 ところが実際に印刷物に使用する再生紙のお値段はといえば、なんと原料のパルプ材から生産する新紙100%のものよりも高価なんだそーです。 いやぁ、知らなかったですねぇ。印刷屋さんに奉職していたにも関わらず、なんとも認識不足なオハナシでした。 ちょっと前まで「再生使用」表示というのは、「環境に配慮しています」というメッセージを「さりげなく」伝えているという気がしていたという印象を上の記事で載せていたのだけど、再生紙の方がコストがかかっているのならまったく違う。 「さりげなく」なんぞではなくて、「コストを支払ってでも環境に配慮する」という意見広告のような、堂々とした主張なんですね。企業や団体が自らの理念を予算を組んで堂々と主張するのには異議ございません。はい。 というわけで、上掲記事は大幅に校正し再生利用させていただきました。だから、どことなく歯切れが悪い(^^; しかし、再生紙が新紙よりも高価であるということも、なかなか腑に落ちない感じがする。 再生紙が高価になるのは、ゴミ不純物を除去し新紙と同じ純度にする手間がかかるからでしょう?だって例の「ワラ半紙」は白い紙に比べて格段に安かったもの。 なるほど、パルプ自体の消費量は押さえられると思うが、その他の中間媒体(触媒・燃料・人件費)の使用は却って増大しているという部分がどうしても引っかかります。 もちろん、天然資源の保護が第一義なんだから、他の資源の使用のことは目をつむるというリクツですかね。 でもね、ある目的の為には他の項目を犠牲にしてもいいというリクツ自体が環境を破壊してきた元凶だったんではなないだろうか? 現在では資源・環境という呪文が異様に膨らんでファシズムを形成していくような不穏な気配を私は感じてしまうのだ。 思うに再生紙を使用するなら、コストをかけずに、わらくず斑入りのままでもいいではないか? 別にわざわざコストをかけてまで新紙のマネをする必要はないと思う。 企業・団体が発行する印刷物が、再生紙を使用していても「新紙使用時代」と同じ紙質を維持しなければならない、という認識に無理があるのではないか? だから、せっかく「高価な」再生紙を使用しているのに、見かけは新紙と変わらないのでは困るじゃないか、ひとこと言っておかねば、ということにもなる。 広報誌や取り扱い説明書のように、愛蔵したり生涯読書を繰り返すような性格の印刷物ではないものなら、耐久性も高級感もそんなに必要ではない。 紙質にこだわるのは、大量消費時代の美意識が未だに生きている証拠で、資源保護の精神はうわべだけのマネごとにすぎないということを如実に示している。 「ワラ半紙」のような浅黒い安くて実直な庶民労働者風の紙に印刷したとき、はじめて「用紙は再生紙を使用しています」というエクスキューズが本来の意味を持ち輝いてみえるのではないだろうか? ↑でも、そんな紙ならわざわざ言わなくとも一目でわかるというものだ。 結局「再生紙を使用しています」という注意書きに対する違和感はいつまでもなくならない。 (02.3.3) |
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