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[日本語・外国語]

ぺティナイフとザーネ

2013/1/24(木) 午後 8:00
− ぺティナイフ? なにそれ?
− 小さいナイフ、果物ナイフとか。
 
あ、これはアヤシい!と私の内なる言語センサーがブーっと鳴る。
ネットで確認。
案の定、フランス語 ”Petit" と英語 ”Knif”をくっつけて「プチ・ナイフ」と造語し、全部を英語風に読んで「ペティナイフ」と言ってるらしい。
もちろん和製造語である。
「小型ナイフ」、「果物ナイフ」でいいのに、わざわざ英語風に言いたい、という根性がいやしい。
 
あ、もちろん卑しいのは最初に得意げに言いはじめたヤツの心性で、知らずに使っている人はただの無知。
というか、私はフランス語の専門家なので気になるのだが、ウチのヨメ程度の方なら、まあそんなもんでしょう。
 
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脚が乾燥してかゆい、というとハハオヤが「ザーネ塗っとき」という。
ザーネ? Sahne か? 
ハハオヤが何でドイツ語を? これはクサい。何かワケがある。
 
ドイツ語ではクリーム・あるいはクリーム状のものを指すごく普通のコトバである。
ドイツの喫茶店ではコーヒーを注文すると日本みたいに必ずSahneが付いてくる。
ちなみにフランスでは砂糖だけ。
 
− Eine Tasse Kaffee ohne Sahne, bitte!
− Leider, heuite haben wir nicht Sahne, aber Milch.
  Nehmen Sie einen Kaffee ohne Milch dagegen? 
                                             (Hemiq 2013)
 
「コーヒーのクリーム抜き一杯!」
「すんません、あいにく今日はクリーム切らしちゃって。
ミルクあるんで、ミルク抜きのコーヒーでいいすか?」
 
フランス合理主義からするとこの話はさっぱり分からんだろううが、ドイツの喫茶店ではもちろんドイツ観念論で会話されているのだ。
 
これがハハオヤが私に御下賜くださったザーネ →
 
大阪市福島区松本病院の処方で医局で「ザーネ」とわざわざ手書きしてある。
 
どうやらハハオヤの理解では「ザーネ」というのは「クリーム、軟膏」という一般普通名詞ではなく、「皮膚保湿塗布軟膏剤」という限定された意味になっているようだ。
 
どうも、これはエーザイ(株)の「ザーネクリーム」という商品名から来ているということがそのうち分かってくる。
松本病院処方の「ザーネ」はもちろんエーザイの商品ではない。
故意か無知故か、松本病院サンでは皮膚保湿塗布軟膏剤を「ザーネ」と僭称し、患者に購入させているようだ。
 
ま、いいでしょう。
固有名詞が普通名詞として誤用されて使われる例は「味の素」「ジープ」「エレクトーン」「うどんすき」といくらでもある。 近年、美々卯の商標「うどんすき」は東京高裁で普通名称化されたと判断されたようである。(wikipedia)
 
エーザイさんも故意か無知なのか、おかしな商品名を付けたもんだ。
 
まあ、いい。 多分「ザーネ」と言われれば、そのようなものと理解するのが、私が所属している世間での常識なんだろう。
こんなところに違和を感じ、ひっかかってしまってぶつくさいうから、ヨメに「うっとおしい!」と、一喝されてしまうのだ。
 
しかたがないだろ! 私だって好んで違ってしまっているワケじゃない。
私からすれば、気がついてみれば違和感だらけの世界だったんだい。


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