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[日本語・外国語] | |
文は意図なり | |
2018/4/7(土)13:10 | |
![]() ハハオヤの入院見舞に行くとこの病院の廊下・待合室至る所に大々的にこのような掲示が貼り出されていた。 こういうのってさりげなく「事務的に」掲示するもんだと思うのだが。 京都大学医学部の看板の集客力に期待するところ大、という意気込みは私にも伝わってきましたよ。 しかし名誉校長とか名誉院長とかの肩書きって一体何なんですかね? この掲示の日本語にはそんな疑問のような曖昧さはみじんもなく、このお方に最大限の尊敬語や丁寧語で飾り立てて、下々にはおよびもつかない「とてつもない偉いサン」である、と教えてくれる。 だからかなり一般に行われている丁寧語や尊敬語の使用からケタハズれた掲示に仕上がっているようだ。 「xx先生が 名誉院長に ご就任いただく」? なんだろ、この収まりの悪さは? 御就任いただくのは病院側で先生ではない。 「病院が 先生に 就任してもらう」のなら収まるのだが。 「いただく」を使いたいのなら、あまり美しくはないけど → xx先生に名誉院長を就任していただくことになりました。 「xx先生が」とするなら → xx先生が名誉院長に就任されることになりました しかし「て・に・を・は」の使い方をもうあまり気にしていないのは日常茶飯事。 イミが分かればいいということだろう。 それより尊敬語や丁寧語が過剰で、そちらへの違和感が強すぎる。 この先生は非常にエラくって、雇い主の病院よりも、掲示をみる患者・来訪者よりも「最上位」に置かんといかん、そのヒエラルキーの絶対エラい感が強烈に発散しまくっていて、読む方は思わず頭をタレんといかんのかな、とか不安になったりする。 「先生」というのは古くから医師・教師への一般的な尊称なのであまりこだわりたくないのだが、私は自分自身がかかわっている医師や教師にしか「先生」をつけたくない。 病院がこの人を一般に紹介するとき「xx先生」と先ず尊称を付けるのは誤用だろう。 組織の内部の人間を外部に紹介するのに尊称・敬称は付けないほうがいい。 会社でも外部の来訪者に「中野社長はいらっしゃいますか?」と尋ねられても、応対する側は「社長」を付けない。 「中野はただ今外出中です」が一番いい。 ここで「中野社長はただ今」は良くない。 「社長はただ今」はまあいいけど、「社長はただ今外出されてます」と言ってはイカンだろ。 →本院は xx氏(さん)を 名誉院長に 就任させることに致しました。 ならいい。 既に職についているならもう組織内部、ウチの人間なのでソトには「本院名誉院長にはxxが就任しています」と敬称も職制名も付けない方が聞かされる方の心理的負担は少ない。 医者とか教師は「先生」が一般的な敬称「さん」の代りに使われているのでしかたがないが。 学校や病院ではお互いに「xx先生」と呼び合っているのは職制名と理解するが、国会で議員同士がお互いに「xx先生」と呼び合っているのはもう理解不能。 「その他のご相談をお受けされますので・・・」も尊敬過剰。 →「その他の(ご)相談を受けますので」か「お受けしますので」でないと、畏れおおくて気軽に相談には行けない雰囲気。 私はそう言う風に感じるのだが、言葉に対する感覚は人それぞれなので。 しかし、自分の言語感覚と相いれない方と喋ると、社会事象への感受の度合い、つまりは人生観や世界観が多いに違っているのでいつも困ってしまう。 この病院では何が業務上の最優先事であるか、という価値観が私とは既に違っている。 だからコミュニケーションは円滑にはいかず、真摯な議論などできる雰囲気ではない。 しかし私の選択肢は他にはない。 でも、こういう日本語には日常的に遭遇していて、それ自体は別に悶々とする程のことではない。 私が「かなわんな」と思うのが、こういう感想を思わず漏らしてしまうと、同意していただけることは無く、返って私が胡散臭い目で見られるということだ。 おかしいのはアンタの方でしょ。・・・というような目つき(^^; 自分の方をこの社会の大勢に合わせ、与えられた型に押し込めて生活していくしかないようだ。 社会とはもとよりそんなモンだったんだろう。 誰にも同意していただけない面妖な自分の感覚を呪い、ただ見過ごし、本当のことは絶対に漏らさずに墓場まで持って行くしかない。 とか、病院の掲示だけでここまで行っちゃってしまうのは、やはり私の方がヘンなんだ、と思っておく方が無難かな(^^; |
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