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言葉狩りが始っていた「コロナ」 |
2021/6/17(木)15:43 |
ふと思い出し、あの「コロナ社」はどうしてるんだろ?と噂した。 「たぶん知名度が上がったので、営業はホクホクしてるんちゃう?」 「そだね。 今の宣伝万能時代ならそれもアリかも。」 名古屋のガス器具メーカー(株)コロナの株価を調べてみた。 唖然とした。 コロナ社は昨年よりその社名への風評被害に苦しみ、社長が社員に向け苦渋のコメントを出していた。 「・・伝統あるコロナという名に社員は誇りを持ち、現状の苦しみに耐えましょう・・」と。 更に、株価コメント欄の軽薄な口コミが目に入り、風評被害が実際にあると確信させた。 「この時期に忌まわしいコロナを名乗る会社の気がしれない」 「コロナに苦しむ人がこの会社の名を見てどう感じる?」 ・・・なんと。 私は昨年、日本で「コロナ」をこの疫病の名として使用する無神経を批判した。 「コロナ(corona)」は既に定義され通用している意味のある言葉で、科学や天文学の分野では見慣れた用語だ。 しかし、子供やその用語に無知な者にとってはこの語呂のよい言葉は疫病とその原因、社会的状況のすべての総称という意味でしかなくなってしまう。 そのように日本のマスコミや公的機関が仕向けてしまったと言っていい。 日本語に対する自覚のない関係者のなんという言葉に対する無知と無神経・・・ その日もテレビで子供が「この嫌なコロナが終わったら・・・」とか言っていた。 子供にとって「コロナ」とはイヤな病気の名であり、疫病に侵された暗くつらい状況を指す忌まわしい名になっているだろう。 しかし、株価コラムに投書するようなオトナが無知な子供と同じ理解しかないことに名指しがたい不安と恐怖を覚える。 このオトナの攻撃力を持った子供がすぐ隣に暮らして居るという恐怖。 引用したコメントの後者では言葉に対する無知が、もっと大きな無神経さを引き起こしていることが見て取れる。 他者に対しての好悪を抱くのは誰しもである。 しかし今ネットを介し、その自分の嫌悪感を表明し、それを抹殺せよ、とまったく関係のない他者に攻撃をする、その排他的不寛容の言い知れない不潔さはどうだろう。 今更ながら現在の「匿名で他者を攻撃でき得る」社会の不条理さに暗然となってしまう。 疫病に苦しんでいる人が全員、キミと同じレベルの言語感覚しかなく、まったく関係のない「コロナ社」を憎む、とどのよううにしたら思えるのか? 現に、COVID-19に罹患した私達家族はかけがえのない家人をこの病で失い、今も私自身後遺症にわずらわされている。 しかし「コロナ社」はCOVID発生のはるか以前から存在し、その社名と疫病とはまったく関係がないのはあきらかだ。 しかも私とヨメとは、たまたま「コロナ」の名称が喧伝されたおかげで会社の業績が向上しているだろう、とまで「のんきに」思っていたワケだ。 例えその社名に対し誤った憎しみをて抱く者がいたとして、それをキミが勝手に増幅し、キミ自身があからさまに攻撃を示唆する、その奇妙な論理や行為に社会の正義があると本当に考えているのか? これが 言葉狩り だ。 特定の言葉を禁ずることで、その内容・現象まで無いことにする。 これが民族・出自・性別・幼長への差別を行う言語感覚と表裏一体の現象であることは自明だ。 言葉のラベルを張り付けることで、一切その個々の内容を吟味することなく恣意的で排他的な評価を無条件に下してしまうのだ。 私の国籍、学歴、出自、経歴、経済力、年齢の合計が私自身ではない。 私はそのどれでもない唯の私だ。 WHOは現在新たな流行を見せている変種ウィルスに国名を冠することを止め、α型・β型という呼称にすることを提言した。 しかし日本のマスコミは「英国型・ブラジル型」等の呼称を改める気配は一向にない。 日本が病名としてのCOVID-19やウィルス名のSARS-COVUという国際的に定義された名称を用いないのは、大衆にはその名称が難しいと公的機関やマスコミ関係者が思う故か。 それは・・あまりにもアンタの言語感覚が子供っぽい。 言葉の用法や意味をまったく考えず、他人が使用しているから、という漠然とした同類感覚だけで言葉を使う者が大多数を占める社会で差別がなくなることは永久にない。 |
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