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かなり気になる掲示 |
2023/1/14(土)18:10 |
![]() 「こちらはリサイクル専用のダストボックスになります。一般ゴミの廃棄はご遠慮下さいませ。」 (近所の大手スーパーにあった張り紙) 「こちらは〜になります」という言い方は最近顕著な傾向で、「これは〜です」という断定口調を避け、指し示す物もぼかしてなるべく柔らかく言おうという意図で多用されているようだ。 これでは写真もやはりボケてしまう(^^; しかし目前に相手のいる「話し言葉」ではなく一般公示での”ぼかし”は必要ではない。 言葉の意味自体がぼかされてくっきりと意味が伝わってこないのだ。 この掲示に着目したいのは「ご遠慮下さいませ。」という女性言葉になっていることだ。 書き言葉にも性差指標が使用されているのに着目。 ⇒ 「これはリサイクル専用のダストボックスです。 一般ゴミは投棄しないで下さい。」 -------- ![]() 全体にくっきりとした標準的な禁止文で、曖昧さはないのが余計に「い集行為」のひらかな書きが奇妙に見える。 意味はわからんでもないが「い集」がわかる人がどのくらいいるのだろうか? ------ 以前「入居者様募集」幟を紹介したが、同様例発見。 ![]() 高校生の募集も同時にあるようだが、そちらには「高校生様」とはなっていなかった。 このシニア様はちょいと過剰なヘリ下りを感じさせる。 「社長さん」の類か? この何でもかんでも「〜様」をつけておけばいい、という過剰ヘリ下りとはすこし文脈は違うのだが、次の例も紹介しておく。 「農家さんが作った」・・・別に深い意味はないようだが、話し言葉では親しみを表わす感じで使用されているようだ。 しかし「サラリーマンと農家さん」というように並列されると「農家」という職業への妙なへり下りも感じる。 「会社さん」という言い方は同業他社を「他の会社さんは知らんが、ウチは・・・」とかいうように少し揶揄した言い方に聞こえて、多少その言語感覚に面白みを感じる。 しかし、先日TVの就職内定報道のとある学生のインタビューの回答が衝撃的だった。 「数社企業さんの面接に行ったんですが・・・」 これはヘリ下りでもなく、この学生の意識の尊大さの方を感じてしまう。 こういう感覚の学生を採らないでくださいよ。 その会社さん。 (← 傲慢だろ?) 後日追記) 『パウル・クレーという画家さんの…』(2023.6.22 民放TV) クレーを知らないのも驚きだが(^^; この場合、画家に「さん」付けしてしまうと、天才・巨匠じゃなく、町の素人画伯のように聞こえるなぁ(^^♪ ------ ![]() 「入れ墨をいれられた方」 書き言葉だとこのような不要な丁寧語は受動形と混同するので意味をとるのに時間がかかる。 本人は抵抗したのに遂に「入れ墨をいれられちゃった方」なんだろうか?とか(^^; この丁寧語の「される、られる」は書き言葉に必要ではない。 しかし、この用例はかなり一般的になっているようだ。 ![]() 「禁煙となっています」 ⇒ 「禁煙です」 「ライター・マッチ等を使用されると」 ⇒ 「使用すると」 「使用されないよう」 ⇒ 「使用しないよう」 「防災センターへ通報されますので」 ええっ? 通報するのはこの文の掲示者側なのに自分に対する丁寧語なのか? ここは本来の受動態だろう。 「される」体丁寧語を並べるなら「#通報されられますので」とするところか? 普通に「通報しますので」とどうして書けないのだろうか? それがキツイと思うなら、上の例のように「通報させて頂きます」なら誤解されることはないだろう。 ---- 日本語は論理的性より”雰囲気でなんとなく伝わればいい言語体系”なのだ、と私的には覚悟を決めて暮らしているわけだが、やはりそれでも日常の言語ストレスは完全にはなくならない。 特にSNSの普及で「書きことば」が「話しことば」に駆逐され、期せずして日本語史上”第二の言文一致時代”の到来か、との感を抱いている。 |
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