消えた年金問題(2) 温暖化でどうなる?
[時爺放言]

バイオエタノールは「環境にいい」の?

2007/10/10
10月8日大阪で廃材起源バイオエタノール混入ガソリンがスタンドで市販開始された。
TVの報道でバイオエタノール配合ガソリンを入れ、満足そうな笑顔のドライバーが映り「地球に少しでもいいことがしたくて」とインタビューに答えていた。

ところがバイオエタノールがどうして温暖化対策になるのか、という解説は私にははなはだ理解しにくいものだった。

「この物質の燃焼で発生する二酸化炭素は植物が空気中から摂取したもので、それをまた空中に開放するのだから、差し引きゼロ、つまり余分な二酸化炭素は排出していない」そうである。

しかし、本来その廃材を燃焼させず廃棄し微生物の分解にまかせればCO2は他の生物体の構成要素として使用されるはず。
つまり植物に摂取される空中のCO2は自然状態ではマイナスになるハズのものだ。
このマイナス分がゼロになるんだから、やはり空中CO2を増加させているのである。

更になんと、この大阪のガススタンドのバイオエタノール混入率はわずか3パーセントということだ。

差し引きゼロの部分がわずか3パーセントで、後の97パーセントはやはり空中CO2を追加で増加させるガソリンなのである。

やはり走れば走るだけ大気中にCO2をまき散らかしている現状には変わりはない。

インタビューで誇らしげに答えているドライバーの方の善意は疑わない。
しかし、私にいわせれば10月8日の休日に車に乗って遊びに行かなければ、そのほうがよほどCO2の削減に効果があるのは自明である。

更にこの方が「このガソリンは環境に『いい』ので、いつもより足をのばしてもいいんだよ」と考えるのなら、3パーセントくらいすぐ超過してしまう。

元来バイオエタノールは石油の代替エネルギー資源としてのみ捉えるべきで、大気中へのCO2排出が減るわけではない。
だから少しも「環境にやさし」くはない。

環境に「いい」と宣伝するのはウソに他ならない。
「ガソリンよりは罪悪感が少ないという気分になる」燃料にすぎません。
要するに免罪符ね。

かえって現状ではバイオエタノールの製造工程で使用する燃料エネルギーコストの方が、生産される製品のエネルギーを上回っているそうである。
もちろん製造工程で使用される燃料は石油由来のものである。

「環境にやさしい」と宣伝してあれば、ほとんどがウソと思って間違いない、と私の経験はいう。
論理的な検証がメンドくさいので、口当たりの良い標語をつけて既成事実にしようとする悪意・または善意の小さな偽善ばかりが横行している。

確認してください。
バイオエタノールを3パーセント混入したガソリンで走行しても、空中に排出する二酸化炭素量はきっちり100パーセント増加します。
通常のガソリンでいいから、3パーセントだけ走行距離を控える方が確実に排出二酸化炭素は減りますね。

ま、「環境にやさしい」という標語の本来の精神論にケチつける気はないんですが。
blog upload: 2007/10/10(水) 午後 5:49
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