ラスコーリニコフの末裔たち 松下幸之助の20世紀
[時爺放言]

夢の20世紀へのレクイエム

2008/11/27
麻生さんは2兆円ばら撒くといい、バルク・オバマは77兆円、ニコラ・サルコジは近々発表すると言う。
景気刺激策。
今が異常な景気の低迷で、刺激すれば「元に戻る」と思っているらしい。

この人達を含め、経済政策を立案する立場にある人で、今の経済危機の本質を理解している者は誰もいない。
20世紀型の拡大生産経済が根本から破綻しているのに、どうしてもそのことが分からないようなのだ。

私の言い方を使わしていただくなら、誰も「死に方を知らない」のである。

実際のモノを生産せず、株や証券、不動産への投機で仮想の価値を捏造できたのは、われわれの世界が常に発展し、拡大する、という何の根拠もない思い込みがあったからだ。

ローンは未来の自分が今より金持ちになっていることが前提で成立する。
債券も株式投資もしかり。
常に今より豊かな未来が続くという何の根拠もないビジョンを買い、思惑を増幅して売却、その差額をカネに変換し、蓄財してきた。

これを20世紀の錬金術という。
未来からカネを借りて現在の資金とし、本来の経済価値(実体経済)の何千倍ものペパーマネーを
流通させたのだ。

未来は無限ではない。
幻想はいつか破綻する。

「刺激すれば元に戻る」だって?
「ラザロよ、立ち上がれ、そして出てきなさい。」というわけかい?

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いやあ、実をいうとウチも適当に貯め込んでたヘソクリ預金がほぼ壊滅しちゃった。
バイクで遊び、ホネ折って入院している間に、株屋の帳簿上で見事消滅。

いやぁ、すっきりした(^^)/

くだらないガラクタばかりで少々メタボ気味だった家計がぐっと引き締まった。
ユーロも豪ドルにも手を出してたのだが、もう今の数字を見る気にもならない。
あろうことか、振り込めサギ(!)にもきっちりいかれてたり。←マジ(^^;

これでいいのである。
しょせん自分の管理能力内に収まらないものは、いつか消えていく。

裸でこの世にやってきたのだ。また裸で退場すればいい。
なまじ余計なカネがあったりすると、裸にはなれず、すんなりとは退場できない。
20世紀の夢の残骸で膨れきったメタボ体型では棺桶に入りきらないのだよ。

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自分も社会も人類も、この世界は必ずいつか死滅する。

死に方を知らないで、どのようしてこの滅びの予兆の中を過ごすというのか?
この「虚体」経済システムが明らかに死滅しようとしているのに、どうしてまだ蘇生できると
為政者は言い張るのか。

いや、そのような、もう本当は存在し得ない幻影を与え続けるのが為政者の役目だ、とでも?

拡大再生産経済モデル(成長モデル)はもう成立しない。
縮小し死滅していく世界に呼応する経済モデルを立案せよ。

環境問題、年金破綻、学校崩壊、ワーキングプアー、殺人ゲーム、振り込め詐欺・・
散在する不協和は、夢の20世紀モデルが破綻したことの明確な指標だ。
物的豊饒の虚の幻影が、実体経済内の自分を否定させる。
自己否定することに耐えられない者が世界を否定する。

死ぬことを考えるのは大変な苦痛なのかもしれない。
しかし、もうその苦痛を見ないで済ますわけにはいかない時だ。

自分と、この世界がいつか死ぬということ。
先ず終わることから始めよう。 

   Libera me, Domine, de morte aeterna

ラスコーリニコフの末裔たち 松下幸之助の20世紀