松下幸之助の20世紀 こども総理、またはせんとくん。
[時爺放言]

ヘンリー・フォードの20世紀

2008/12/25
「実体」経済の破綻の手始めは自動車産業に来た。

アメリカの三大自動車産業が危機に陥り、日本でもトヨタをはじめ先ず自動車産業が赤字に転落し、
結果として大量の非正規労働者が解雇されようとしている。

ヘンリー・フォードは1911年ベルトコンベアーシステムでT型フォードの生産を開始し、
大量の非熟練労働者を雇用した。
大量生産方式によって雇用を創出し、富を分配し、その富で自分達が作った車を買う。
20世紀がここから始まった。

単なる移動手段であれば、これほどの車の生産量は必要ない。
まだ乗れるのに「新車」に買い換えるということが生産を支える。

必要だから生産するのではなく、買わせるために生産する。
生産するために買い、買うために生産し、その動きが富をもたらす。
これを消費型社会という。

不要なものをくっつけ、本来無かった欲望を刺激して買わせ、そして生産する。

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私はタバコを吸ってた。
アレって別に最初から欲しかったものでは無かった。
誰かが、つまり消費型社会が私にタバコの味を覚えさせ、それを買わなければいけないように
仕向け、そのタバコ代欲しさに労働し、コチラも別にどうでもいいものの生産に従事していた。

私は50台の第二期フリーター時代、派遣労働者としてサンヨーさんで携帯電話を作ってた。
今、そんなものはどこにもない。サンヨーさん自体の名前も消えかけてる。

この社会は円形無限軌道上を永遠に走らされているネズミに見えてくる。
私はとっくに走ることに疲れちゃったよ。

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ウチの両親は田舎でミカンを作っているより、戦後大阪に出てきて車の部品を売る店の店員
になった。
多くの人が田舎から都会に出て行き、大量生産社会で富を生産し、車を買った。
日本の高度経済産業期はウチの両親の世代が田舎から都会に出て支えた。

ヘンリー・フォードが世を去ったのは私が生まれた年の前年。
ウチの両親は1990年台に双方とも逝っちゃった。

20世紀は確実に終わってますよねぇ。

メーカーの非正規雇用者諸君。
君達が一所懸命に作ってたのは、別に人間社会に絶対必要なものではなかったようだよ。
ちょっと金がなくなると、とたんに誰も買わなくなるようなものらしいよ。

都会や工場にこだわってては再起が難しい時代になると心せねば。
どうだろう、一度農村にいって農協で手伝って欲しい農家がないか尋ねては?
もちろん、日当はないと思うけど、住むところとメシは出してくれると思うよ。
生きるにはソレで十分だよ。

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麻生内閣の提出する来年度予算案が閣議決定されたそうだ。
ニュースで見るかぎり、何らの時代感覚もない。

景気刺激・雇用対策や少子化対策に過去最大の予算を投入し、過去最高の赤字国債を発行して
財源に充てるそうです。
東京新聞のタイトルでは「理念なき予算案」。

企業にお金を融資し、生産を「回復」させ、多くの労働者を雇用させ、で、その融資した借金を
将来支払わせるのに奨励金を増額して子供を増産すると?

あのね。あんた、日本の人口どのくらいだったら適正と考えてらっしゃるの?
単純に人口が増えたら「国力が増す」と?
それって無限軌道上のネズミでっせ。

無理なローンの破綻がそもそもの今回の世界経済の蒙弱性を暴露したのではなかったのでは?
そろそろ「借金して家買って、その家を担保に借金して株買って」みたいなバカバカしい
無限拡大路線きっぱりとヤメてくださいよ。

GNPどのくらいにして、食料自給率何パーセントにし(100パーセントが一番いいに決まってるわい!)
結果として適正な人口農村・都会配分をし、60歳になったら誰でも生存の基本となる年金を
支給される貧富の差のない社会にし・とか、まあこういう未来に対するシナリオ、出してくれ。

未だにココロはヘンリー・フォードさん。高度経済産業発展期。

アレがうまくいったのは、みんなが富の配分を受け、社会全体の購買力が増したからだった。
今の企業家さんは、既得利益を守ろうとして先ず非正規労働者の首を切る。
そしてその救済は公金でさせようとしている。

貧富の差の拡大→社会全体の矛盾の噴出と疲弊→日本の崩壊、ですかね。
え?革命前夜の演出?
しかし、現在の日本では無差別単純テロしか出てこないと思うが。

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麻生さんは今年の中央公論3月号で年金の財源を全て税金でまかなう、という構想を出していた。
少ない給料しかもらえなかった人や、病気で満足に働けなかった人も退職後は平等がいい。

首相になる前には、貧しくとも平等な社会を、というビジョンもあったのでは?
blog upload: 2008/12/25(木) 午後 2:24
松下幸之助の20世紀 こども総理、またはせんとくん。