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ピアノソナタ変ホ長調 ..![]() |
[ピアノのお稽古] |
交響練習曲(シューマン) |
2007/9/21(金) 午後 0:11 |
現代の感性からすると、あまりにマトモすぎる。 コード掴みも大げさで重苦しい。 だから練習曲というエクスキューズが付けてある。 このフィナーレでは珍しくロマン風「遊び」の要素を入れ楽しい雰囲気から始まる。 それでも下の世代のブラームスやドボルザークのコード進行の闊達な軽みに達する ことはない。 これでもか!の感情過多、直線的押せ押せ進行で、コーダまで突っ走りゴールして 花吹雪が舞うのである。 うーん。 見てると、しんどくないかい?とつい声が出てしまう。 今時、スポ根モノははやらんよ? ところが、それでぇ?どこが悪い!という声が聞こえてくる。 Warm nicht! Pourquoi pas! つまり Why not! というわけである。 これは昔のドイツである。 時代のフィルターの向うから、大時代の音楽が聞こえてくる。 そうすると石畳と馬車、森と水車小屋、舞踏会と安酒場の喧騒が立ち上ってくる。 つまりクラシック音楽を媒介として、ある時代の空気が当方に吹き寄せてくるのだ。 だから、別に私の感性がシューマン風という訳ではない。 ロマン派のファンファーレが高々に鳴り響くのを聞くと、当方の精神がいきなり 100年ばかり前に猛然とダッシュをし始めるのである。 現代には無い集中力と直線的な感性。 これでもか!と打ち寄せる感情の波動。 怖いくらいである。 ちょいと、いい加減にしないと、壊れちゃいますよ? シューマンは先ずピアノの練習しすぎで腱鞘炎になり、作曲に転進した。 恩師の娘を恋慕し、何が何でもと駆け落ち同然に結婚した。 幻想曲や文学的な思弁を曲にし、次第に心のバランスをくずし、 ライン川に身を投じ、精神はあちらの側に走り去ってしまう。 残された恋女房のクララ・ビークの方はブラームスに言い寄られるが、 結局再婚は最後まで拒否。 亡夫の冥界からの嫉妬がそれほど強烈で恐ろしかったのである。 この人の音楽は、実は大好きなんですよ。 こういう風に生きて、こういう風に死ねたら、という願望はありますねぇ。 それが私がごとき凡才にはまったく似つかわしくないスタイルだとは 重々承知しているが故、さらに憧れは増殖する。 まあ、反比例の法則というか。 交響練習曲のフィナーレは以前から、タマに調子がいいとき景気付けに弾いていた。 今回、その前のバリエーションのシチメンドクサい、こまごまとした音符を なぞっていたら、いつの間にか全曲をなぞり終えてしまった。 こんなぎっしり音符の詰まったバリェーションを練習するのは とても現役サラリーマンには無理ですよねぇ。 ところが、今はいくらでも時間をかけられる。 ザマ見ろやい。 生きてれば、早死にした天才の心に吹き荒れた嵐の正体を こちら側からのぞき見できる時もいつかは来るというものだ。 むははは。 |
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