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[ピアノのお稽古] |
インテルメッツオ変ホ長調 作品117の1 (ブラームス) |
2008/6/4(水) 午前 0:47 |
さて、またピアノの練習を続けよう。 忙しかったこともあるが、前回の暗譜目標曲「クライスレリアーナ」(シューマン)が意外とはかどらず、どうも挫折気味。 どうも第三曲がネックになっているようだ。 この曲だけがやや凡庸で、弾き込む程に陳腐な和音とリズムの繰り返しが鼻につきだし、気が滅入ってくる。 しかし、全曲の構成上からは外すワケにはいかない。 インスピレーションが枯れた時のシューマンは、何もとり得のない、つまらない作曲家でしかない。 だからこそ、常に無理してハイになっている必要があったのだ。 ここに狂気に至る精神の妄弱さがある。 せっかくブラームスのドイツ舞曲全16曲を暗譜したのに、もう半分ほど忘れている。 一度ブラームスに帰る。 ブラームスのどんな小さな曲でも一定のプロの作曲家のテクニックが積み重ねられていて、 極端に聞き手を弛緩させることはない。 常にしっかしりた和声法や確とした低音進行が曲の構成を支えている。 作曲家としての基礎的な技法と素養がシューマンとははっきり違っている。 しかし、その一線を越えない冷徹さがつまらない、と感じることもあるかも知れない。 確かに一度「向こうに行ってしまって」もう帰ってこないブラームスを聞きたい気もする。 ピアノの小品、インテルメッツオ変ホは実にバランスの取れた作品だ。 シューマンにやらせれば、とてつもなく華麗に装飾しようとして腰くだけになる ような甘い旋律である。 この男は実に抑制を利かせた和声処理をし、あまつさえ暗く沈みこむトリオを 挟み込み、抑制の中の高揚という、いぶし銀とも形容すべき光沢に仕上げている。 この作品はブラームスのソロのピアノ曲としては一番有名なのかもしれない。 奏法もそんなに高度ではなく、アマチュアピアニストが手がけるには恰好の 小品だと思う。 しかし、私にはこの沈み込む中間部の抑制に付き合う時間がなかった。 休日ピアニストには、この曲はあまりに抑制が効きすぎ、作曲家のすべての 音楽上の目論見をすべて聞き取る心理的余裕がなかったのだ。 今回ブラームスの「ドイツ舞曲」の楽譜の後ろにあるこのインテルメッツオを 試しに弾いてみると、以前感じたような中間部のもどかしさや、その導入部の 和声の極端な暗さがそう気にならなくなっている。 別に当方の演奏技術が向上したわけではない。 私がもう休日ピアニストではなく、平日ピアニストになっているからなのだ。 もともと速度表示が遅いこの曲だが、一度とてつもなくゆっくりと演奏してみた。 そうして初めて、この作曲家の意図した抑えた高揚のあり方がくっきりと感じられ る気がした。 急いでウケようとする派手な効果を狙わなくてもいい。 もう別に急いで行くことはないのだ。 技術はないが、時間だけはたっぷりとあるのだから。 |
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