過負荷の構造 通訳ガイドの苦しい失敗の記憶
[フランス語通訳ガイド控][団塊の段階的生活]

観光ガイドの下見見学実験(奈良)

2008/05/08
秘仏の救世(ぐぜ)観音が春の特別公開中ということで、下見を兼ねて法隆寺夢殿見学に行った。
この仏さんこそ秘仏という名にふさわしく、明治になってフェノロサが寺僧に命じて白布を取り去るまで実に1000年以上も誰の目にも触れることなく安置されていたのだ。
聖徳太子の等身大の像らしいのだが、私はこのお顔を見るとどうして昭和天皇を思い出す。
 


救世観音拝観だけが目的だったので、料金窓口のある西院伽藍には行かず、直接夢殿の拝観入り口に行った。 私の通訳ガイド登録証を見せ「下見見学できますか?」と言うと、そのままタダで入れてくれた。
ついでウラの中宮寺に回り、有名な弥勒菩薩(通称)を拝見した。
「ガイドの下見見学です」というと問題なくパス。
まあ、両者とも写真集ではすでにおなじみなので実物を確認したという意味でしかないが。

味をしめ、予定してなかったが法隆寺の大宝蔵院(百済観音・玉虫の厨子等の展示館)に行くと
これも通訳ガイド登録証で無料でパス。

しかし最後に試みた法隆寺西院伽藍の窓口では「案内中でないとダメです」と言われてしまった。
どうも料金支払い窓口の女性に言うとダメで、入り口で番をしているちょっとお歳のおじさんに
いうとOKなような。

一般に関西の寺院では、案内就業中のガイドは拝観は無料である。
しかし、ガイドが単独で下見・見学をするとき無料にしてくれるかどうかははっきりしていない。

通訳ガイド資格を所管する国土交通省は、観光立国政策上ガイドの資質の向上を謳っている。
それなら文化庁あたりと連携し、通訳ガイド登録者には「下見見学」や「自己研修」
目的での神社仏閣の拝観を無料とするお触れをだすのもアリでしょう。

また、境内に麗々しく「世界遺産」認定の石碑を掲げ観光客招致を図ってらっしゃる
お寺さん、日ごろ通訳ガイドは単独でも無料拝観可としていただければ、後でたんまり
拝観客をお連れしまっせ!

目下通訳ガイドの見学を無料にするよう当局と交渉中、(というか、交渉するようウチの業界団体
に提案中、というか、提案するように団体理事にお願い中)。

この問題が気になり、奈良公園に行き通訳ガイド登録証の有効性を意識して試してみた。
春日大社特別参拝(本殿見学)では年配の巫女さんが入り口にいた。
「下見見学できますか?」と尋ねると「どうぞ」とのこと。どうもこの巫女さんの個人の一存でOKしてくれた、という印象である。
奈良国立博物館では窓口で「受付で目的と名前を書けばOK」ということだったので、入り口横で「下見です」というと、一瞬「ぎょっ!」という感じで、なにやら近くの制服のガードマン氏と相談していたが、「どうぞ」と何も書かずOKになった。
どうも正式な下見見学申請書類はあるのだが、実際にはあまり周知されていない、というところか。

奈良国立博物館地下通路にあった仏像の印の見本。これは智拳印。この前案内したフラン人ご家族の子供はコレをよく知っていた。「ニンジャ!」である。

東大寺の大仏殿はもう何回も行っているのでカットしようと思ったが、傍を歩いている外国人グループがフランス語で喋っているので、ちょっとした策略を思いついた。

少しフランス語で話しかけ、「大仏殿に入るなら同行してもいいか?一緒だとガイドは入場無料
になるので。」ともちかける。
「おやすい御用!」と笑って了承してくれた。

そこで、即席でフランス語の無料ガイドになり同行して入場。
報酬はないが私の拝観料はタダ、この人たちにも無料で質問に答えてもらえるという
メリットがあったので、双方の得。

後で、こういう風に奈良公園で「流しのガイド」(!)をしても楽しいかも?と思った。

なんだかキタやミナミで「流しのエレクトーン弾き」(!)をやってた
昔をちらりと思い出した。

blog upload: 2008/5/8(木) 午後 10:51
過負荷の構造 通訳ガイドの苦しい失敗の記憶