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[団塊の段階的生活]

月の可不過

2007/8/30(木) 午後 0:51
                              (8/30 0:30am yatayama)
不思議な光が小山に囲まれた草原を満たす。
質量のない一様な光。

本来の光源の持つ生々しい色彩が反転させられ、フィルトリングされた偽の光。

あるいは裏の光。

陰の光。

光の裏側。

月の光。

広大な草原に昼間の色は一切なく、水墨で描かれた虚の光景が沈んでいる。
夢幻と形容させてくれ。

一切の人の気がない月夜の森のどこかには、しかし不気味な物の怪が潜んでいる。

時折響く押し殺した夜鳴く鳥の叫びは、今が目には見えない別の帝王が
支配している時間であると言っているのだ。

一様に降り注ぐ不思議な光にもその姿を見せず、
黒々と沈み込んだ山と森に夜の恐怖の気配。
死の向こう側にあるもうひとつ別の異形の世界。

それって魔物?それとも妖怪?

いや、月の光が降り注ぐ広大な草原にはあいつらはやってこない。
そこにきているはもっと小さな軽いやつらである。

妖精というか。
あるいは単に精というか。

身体はほぼ透き通り、月の光の擬態になっているのでよく見ないとわからない。
草原の広がりをじっと見ている視界の端に何かが動く気配。
そいつらのひとつが実体化しかけている。

そうか。もうこんな時間か。

もういいだろう。

そしたらそろそろ私も人間から抜け出し、

するりと元の姿に還るとするか。

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