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[団塊の段階的生活] |
嗚無情 |
2008/5/30(金) 午前 3:09 |
ここ10年来ずっと読んだ本の感想を私のホームページに書いてきた。 だいたい月に6、7冊の本を読み、せっせと書いた書評が一昨年で1000本を越えた。 松岡正剛サンの「千夜千冊」と時期的にちょっと張り合う(^^;が、もちろん アチラはプロの本読み、コチラはただの下町工場の安サラリーマンである。 比較にも何にもならない。 ただ1000冊を読むのは時間さえあれば誰でも出来るが、1000本を書くにはちょっとばかり 覚悟が要る、とは言わしていただいてもいいと思う。 サラリーマン生活から足を洗い、フリーになって(=流しの・・になったというイミ) 時間に余裕ができると、おもしろいことに極端に読書量が減ってしまった。 ホームページに連載していた「読書月評」の更新もしなくなってしまった。 現役時代には、とにかく「書く」ことが唯一の自分の存在証明と思い定めていた。 通勤車内で読んだ本にまつわる勝手な思い入れを深夜文字にしていると、残業続き のばかげた日常だったにしても、少しばかりの自尊の補填ができるような気もしていた。 しかし、もうそんなに急いで読む必要はないのである。 いや、もしかしたら読んだり書いたりして「補填する」必要もなくなったのかもしれない。 サラリーマンを辞めてよかったぁ! 無理やり自分自身の「形を保持」しようとしなくてもいいんだよね。 なんなら、もう一人で勝手にボケて行ってもいい。 うれしいな。 考えてみれば、現役時代には図書館で借りた5冊を2週間の期限内で読まねば いかん、という制約があり、なかなか古典の大作を読むことが出来なかった。 これからは年に一冊でもいいから静かに古典を読んで過ごそう。 ・・というわけでヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」。 潮出版社「ヴィクトル・ユゴー文学館」版 辻昶訳の三巻本。 1冊5000円平均で小説一本読むのに1万5千か。 図書館で借読できなければ、本当に買ってまで読む人っているの? いや、値段のことではなく、本当にユゴーなんていまさら読む人いるん? というのはもちろん、映画・マンガ・芝居でストーリはおなじみ。 文学史でユゴー先生の名は一番に教えられるのだが。 この活字のつまりようはどうだ。 ジャンバルジャンが銀の食器を盗む最初のエピソードが始まるまでに 実に50ページ、延々とどこかの司教さんの生い立ち・経歴・生活が語られる。 この司教さんがジャンバルジャンをかばい、それが躓きの石となるワケだが、 それにしても長い・・・。 これが、いや、古典なんですねぇ。 なんとも悠長な時代というか、饒舌にのめりこむ世界というか。 とても15分に一回CMが入る現在のTV時間感覚ではない。 しかし、我慢して読む。急ぐ必要はない。 やっと宿敵ベジャール警部が登場し、デビッド・ジャンセンの「逃亡者」 の原型がここにあったか、と気がついたりする。 第一巻読むのに一回延長4週間。 第二巻で養女コゼットを思い慕うマリユスが登場し、やっと役者が全部そろう。 全部そろったところで、偶然再会したコジェットの極悪非道の育ての親テナルディ がジャンバルジャンを嵌めておびき出し、マリユスが影から眺め、そこに ベジャール警部がやってくるというあまりに安直なご都合主義的場面になる。 しかし、あまりに地の文が長いので読者としては「どうでもいい! 物語よ、とにかく前に進め!」とばかり、その田舎芝居も肯定してしまう。 第二巻にまたも4週間。 ああ、やっと革命さわぎが始まる第三巻に行ける! そして本日、奈良県立図書情報館に行き第2巻を返却し、第3巻を書棚に探した。 無い・・・。 ひょっとして貸し出し中か? いや、それはない。 第3巻だけ借りる人もなかろう。 館内蔵書資料を検索し確認する。 ヴィクトル・ユゴー文学館第4巻 レ・ミゼラブル(3)の記載がない! 職員に掛け合う。 「まだ購入してないのか・・いや、2000年の発行ですね・・ 元から無かったのか・・」 おいおい! そりゃないだろ! 2ヶ月近くもかかって第一巻、第二巻と読み進んできたんだぞ。 図書館でそんなキタないことしてもいいのか! 物語の最後の巻だけ購入してないなんて! ああ、無情。というワケか。 古典をじっくり読むには、やはりまだチト早いと? ああ、そかそか。 ん、じゃ、とりあえず。 と結構イソイソして(^^;代わりにSFを借りて帰ったのだが。 |
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