老検実力養成実践 老検実力養成課外..
[団塊の段階的生活]

老検実力養成実践レポート 2 「慢性硬膜下血腫手術体験記」

2008/11/8(土) 午後 10:09
手術台に乗せられ、目をテープでふさがれる。
いよいよですね。わくわく。

「気分はどうですかぁ?悪くないですか?」と殆ど幼いような女声。
「最高です!」と先ず笑いをとる。
 つもりだったが、あまり反応が無く空振りだった。

こちらは脳の手術というのは微妙で精密な作業と勝手に思ってるので、無言無音の
静寂世界を予期していた。
しかしまったく違ってた。

やたらうるさい!

 がやがやと相談する声
 「あ!」という声の後にガラガラガシャーンという音
 携帯電話の着信音
 「アマノ君、15分で来るというてたのに」
 等々。

なにやらスタッフの手配でざわついているように聞こえる。
前の手術が一時間も遅れ、脳の手術が2件つづいたので何だかもたついている
のではないか。

 「すんません。遅れましたぁ!」と、隣の部屋で。
まったく手術に関係のない会話も聞こえる。
 「先生、明日・・時から・・・どうしときましょう?」
 誰かが咳き込む。ちょっと!やめて欲しい。

やれやれ、である。
こちらの思惑とはまったく違うドタバタ調のミスマッチ。
かなりブラックジョーク風な落差だ。
 「大丈夫なんかいな?」
とも思わせたが、当方の緊張を完全にほぐしてくれました。少なくとも。

そのうちいきなり手術開始。
局部麻酔である。

グイッ、シュルシュルシュルという音なのかイメージなのか、とにかく何か細いものが
アタマに突き刺さり、スタスタと入っていく。
これは「イテテテ」程度。
そのうち頭蓋骨を削る「ゴリゴリゴリゴリ」というのが響いてくる。
うう、その気味悪さ。

もう詳述することは出来ないが「ブチッ、バシッ、グイグイ」というカンジ。
猛烈に痛い。
局所麻酔ケチってるのかとの疑いを捨てきれない。

予期していたような、モニターを見ながらそろりそろりの精密作業の世界ではない。
完全に大工仕事のイメージ。
その方がいい。とにかく早くやっちゃってくれ!

やはり慣れないスタッフが多そうで、執刀医がイライラしているのもわかる。
「128番。128ばん! ひゃく・にじゅう・はち!」
よく叱られている。

しかし、のんきな女声が「痛くないですかぁ?」とのどかに聞いてくれもする。
 痛いわい!

「先生、痛いと言ってますが?」「ん?」
施術する医師はそんな声には頓着せずてきぱきごりごりと作業に没頭。

いつぞや痔疾の手術をしてもらった時のことを思い出す。
あの時は「すみませんが、痛いのでワメいてもいいですか?」
と言ってから盛大に首を振って「ギャーァァ」とやった。
しかし今回は頭部を押さえられてるのでその手は使えない。

まあ、じとじとと苦しめられるより、ひとおもいにやってくれた方がいい。
「これ、痛い?」
「痛いです。でも、一気にばっさりやってください!」

強烈な痛みだけど、意識を失う程でもなかったということか。

 「おわりましたよぉ」とのどかな声。
 「これ、ここ押したらいいん?」と助っ人らしき助手が尋ねている。
 「三角巾の・・結びできる?」と先輩看護師。
 「出来ます。」「じゃ、やっといて。」
  おいおい、やはり新米かよ!

何か殆どのスタッフが新人のようだ。
でもまあいい、とにかく終わったんだから。

当初の脳手術のイメージとは大幅に違ってたが、痛みの中で多少苦笑していたのも事実。
新人スタッフ諸氏のおかげで、アメリカ映画によくある、どぎつめのスプラッター調
ドタバタ劇を味あわせていただいた。

その後見舞いに来たヨメとの会話にちょっとその影響が出る。

 アタマの穴ってどうするん?
 再発したらまた使うから、フタして取っ手つけてとく。
 穴に何か入れとけるし。
 シュークリームがいい!
 同じところじゃなかったら?
 また穴開けて、最後には蜂の巣みたいになる。
 フタするのもメンドクサイから、上側全部とって直接ラップしておく。
 ・・・
すんませんねぇ。
なんせ脳ミソに多少シュークリームが入ってるもんで。

老検実力養成実践 老検実力養成課外..