優雅なるシニアラ 天神祭の夜 ..
[団塊の段階的生活]

私説天理物語

2009/7/7(火) 午後 3:24
この春、ヘンな病気になり入院生活をした。
この間このブログを閉鎖していた。
「物語る」ほどのことでもないが、この間はお隣の天理市で過ごしていたので、その覚書を少し残しておこう。
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「カゼをこじらせた」という他はないのだが、一月末に熱が出て一週間ほど自宅で寝込んでいた。
しかし、一向に回復せず、ますますひどくなる様子。
2月になり高熱で身体の奥から湧いてくる震えが止まらず、夕方意識を失ったまま戻ることなく、とうとう帰らぬ人となってしまった。

・・・としたら話は早かったのだが、そう簡単にはカタつかず、翌日満足に歩くこともできなかったのでタクシーで近くの病院に行った。

病因が特定できないまま、市内の病院間をたらい回しされた経緯があり、結局一週間後に髄膜炎の疑いが濃厚となり、「神経内科」を擁する病院を手配されることになった。

翌日、奈良県有数の大規模病院、隣の天理市の天理よろず相談所病院に救急車で搬入された。
私の天理入院生活が始まった。

天理よろず相談所病院入院棟

この病院の入院患者には他の病院では望めない大きな特典があった。
病院としての医療を受けられる他、なんと「おさずけ」もいただけるのだ(笑)。
おっと、ここで笑っちゃいけないな。

もっとも、入院棟を巡回する派手な渦巻き模様の背広を着た、流行らない漫才師のような恰好の「天理教奉仕部」の方を見たときニタリとしたのは事実。

しかし、この方達が「祈伏」や「伝道」というようなちょいと手ごわい(しつこい^^)手合いでは
なく、ごく気楽によもやま話をして行くだけの、格好のヒマつぶし相手なのにすぐ気がつく。
天理教には厳しい戒律で世俗の悪徳を悔い改めさせるというような激しいものはない様子。
旨はなにやら「陽気くらし」、つまり生活を楽しむということらしいのだ。
まあ、ここの宗派の方なら、間違えてもテロに走るような過激なコトにはなるまいなぁと思えた(笑)。

本来は仏教徒の私も神妙に「おさずけ」を行っていただくことにした。←無料^^。
天理の主が私を守ってくださるように念じていただいたのだ。

そしたら翌日から不思議と随分症状が軽くなったのである。

そういう時期の患者を狙って「おさずけ」に来るのか、それとも雑談して気が晴れるのか、
天理の主サマが私を守ってくださるという気分が病の気を散じさせるのか、何でもいいが、
とにかく「おさずけ」をいただくと楽になった。

病院は医療だけではなく、このような心的な療養システムも完備しなければ病気を治すことは
できないのである。


病院のすぐ裏手にある天理教本部も、涼しく渡り廊下が結んでいる壮大だが開放的な建物だ。

別に邪気を拒む山門の段があるわけでもなく、鳥居が聖域を区画しているわけでもない。
絶対安静の病室を抜け出してぶらぶら散歩にいくと、いつの間にか本部建物の下を通り抜けてしまう。

履きものを脱いで建物の段を上がれば、たたみ敷きの広大な広間があり、人々が思い思いに座をしめ、祈りを唱えている。簡単ですぐ覚えられそうな文言。
もちろん、仏像もなく御神体もない。
吹き抜けの涼しげな空間である。

今までは「よその」神様の町だったのだが、いざ自分が天理の病院に入院し、毎日暮らしていると
何となく自分の町のような気にもなってしまう。

そういう目であらためて眺めると、実にユニークで面白い町である。

天理教本部や病院の独特の和様建物。町のいたるところにある「母屋」と称する信徒の宿舎。
新装なった甲子園球場のフェンス宣伝看板で有名な天理大学や天理高校、それぞれが同じような設計の天理様式中層建築で統一感がある。
少々モスクに似てなくもない(笑)天理市庁舎もある。

町筋は清掃が行き届いていて実に清潔。
自分が掃除するのはめんどいが、誰かが掃除してくれている町の気持ちよさ(^^;



名阪天理東インター周辺から天理市内の道路は私的に「天理サーキット」と称してバイクの走行練習に使用させていただいていたのだが、道路にはチリひとつ落ちていない。


この春の入院で天理市山側の地理に明るくなったのだが、最大の収穫は「白川ダム」だった。
今まで横の道路を通過するだけでダム湖周囲の遊歩道に入ったことはなかった。
ある程度回復し、一時帰宅許可をもらったときにはバイクで自宅間を往復したのだが、あるときふと白川ダムに寄り道してみた。

時は春、のどかに広がる水面の向こうに山の緑のさまざまな諧調と桜の白が映え、実にすがすがしい光景が拡がっていたのだった。

名阪道路のすぐ横でこのような風光があったとは思っても見なかった。
更に言えば、今まで季節ごとにバイクで遠くの絶景を追いかけていたあまり、こんなにも近くで
思いもかけない広々とした水と山の景観を得られるとは考えたこともなかったのだ。
「白川ダム公園」の文字は見ていたが、町場近くの人造湖でちゃちな公園なんだろう、と決め付けていた。
申し訳ない。ごめんなさい。

いや、本当のことを言えばやはり、それなりの町場の事情はある。
山側から白川ダム湖を見れば、遊歩道の上に大きくのしかかっているのは無粋なシャープの工場・研究所の建物である。

しかし、対岸からは頭上のシャープは見えず、天理の山がつらなるのみ。
確かに天理よろず病院白川支所の建物は丘の中腹に見えるのだが、シャープとは違って、
山のリゾートのサナトリウム風建物(←実はそうなのだ)で風景によく溶け込んでいる。

現在では病院にはごくタマに検査に行くだけなので、天理の「住民」ではなくなっているハズである。
しかし、夕方白川ダム遊歩道の脇にキャンピングチェアーを出し、自作のケーキ(^^)を食って居眠っていることが以前にも増して増えた。

シニア料金会員になったスポーツクラブが所在し、未だに天理市に通っている日々である。


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