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[団塊の段階的生活]

消費税逆進性のウソ

2012/7/12(木) 午後 0:51


消費税の解説があると、必ず「逆進性があると言われる」という妙な説明がついている。
 
誰が消費税は累進課税ではないのでイカンと言っているのか?
根拠わからん。
 
もちろん、インタビューされれば「これ以上高くなるのは困りマス」と誰でも言うだろう。
それは別に消費税に限ったことではない。
増税一般に対する通常の感想に過ぎない。
 
私は別に消費税増税に賛成ということを言っているのではないが、反対の根拠として使われる「逆進性」論の欺瞞を暴いておく。
 
1.税率と税額とは違う
所得税が累進課税とされるのは、所得が多ければ徴税額も多いという累進性があるからだ。
消費税の税額に累進性があるかどうかは、消費量が多ければ税額も多くなるのかどうかを見ればいいのだ。
所得が少ないのに消費税率が一定なのは「累進」がない、とするのは論理がすり替わっている。
税率が一定なら、大量に消費する者が多額の税金を支払うことになり、消費量に対して税額の累進性はある。
 
元来、累進性の考え方は「持てるものが沢山支払う」という感覚のことだ。
所得収入は数字が補足しやすいので税率で計算し、消費量は消費額を計算根拠として加算する。
税率だけが累進性を実現する手段ではない。
税率が一定なので逆進性があるという論はこの「累進性」の意味と税率とを混同している。
 
更にいうなら、消費税率が高ければ高いほど、計算上では「持てるもの」の支払う税金は多くなる。
だから、累進性を高めるには消費税率をもっと上げればいい、ということになる。
 
少なくとも消費税に逆進性(逆累進性)はない。
金持ちも貧乏人も同額の税を支払うなら、均一性と言うべきだろ? 逆進性ではなくて。
 
 
2.同一商品に対して同額の税金では「貧乏人が困る」か?
私は金持ちではないが、困りません。
税金が加算された分だけ、もっと安い商品に買い替えます。
 
当然困窮者なら、いままでと同じものを買うことはあり得ない。
金持ちは今までと同じ高いものを買い、貧乏人は安物を買う。
金持ちと貧乏人が「同じ商品」を買う、と言う前提が実情とは違っている。
 
貧乏人は商品価格が高くなるともっと安い商品を選択するか、もう買わないのだ。
 
そして、必需品が「もう買えない方」だけが困窮者で、増税に対する何らかの救済策があってよい。
「価格が上がっても同じ品物を買い続ける」という前提になるのは、議論する人が金持ちだからだろう。
 
消費税は個々の消費に対して発生するが、個々の商品を取り上げ、その商品の「税額の重さ」を論じても意味がない。
あくまで購入した全商品に対する税額、個人が支払った全部の税額を比較根拠にしなければ「生活に対する税の重さ」を考えることにはならない。
 
しかし、本当に商品の値段は金持ちと貧乏人とで違って当たり前と思うんだろうか?
ウチは貧乏だから、金持ちと同じ価格で売りつけるのはけしからん、と誰かが思うのだろうか?
モノの値段が人によって異なるのなら、それを差別というのだ。 
 
3.所得と資産とは違う
所得税は所得にかかる税なので、所得に対する累進課税になっている。
しかし、消費額は所得と連動しているのではなく、実は資産全体に連動しているのだ。
金持ちだが収入ゼロの方もたくさんいらっしゃる。
収入所得がなくとも金があれば消費額は多いだろう。
逆にいくら収入所得が多くとも、あらかたローンの返済に消えてしまえば消費には回せない。
 
高額所得者は公表されても、個人資産額は公表されない。
前年、山林を売却して高額所得者になっても、翌年は所得ゼロである。
しかし、この人は翌年も金持ちであり続ける。
 
累進課税の精神から言えば、所得に累進するのではなく、資産全体に対して累進すべきだろう。
そして個人の総消費額は収入ではなく、実際の資産総額に連動していると考えられる。
たくさん消費できる金持ちがより多く税金を供出する。
消費税は資産に対して十分累進性があるのだ。
 
金持ちは買い、貧乏人は買わない。
逆に定義すると、買う者が金持ち、買わない・買えない者が貧乏人。
収入だけが貧富を決めるのではない。
 
もっと言えば、一切の所得税を廃止し、すべてを消費税にしてしまった方が徴税の公平性が実現できるのではないか?
多く稼いだ者が多く支払うのではなく、より大きな購買力を持つ者が多く支払うのである。
受益者負担。
 
稼いでも貯金するだけなら税金はとらない。使うときに取る。
資産を子に引き継がそうとすれば、相続税(子の所得)ではなく、贈与税(消費税)としてふんだくればいいのだ。
 
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逆進性がある『と言われている』という奇妙な言い方になるのは、やはり「逆進」ではないからだろう。
ある一個の商品の税金を考えれば、税率一定なので「累進性がない」。
しかし、それだけで「逆」累進性がある、というのは論理的に飛躍していしまっている。
増税策である限りは、生活が苦しい所帯にはより負担が重くなるのは当然で、「より軽くならなければならない」のなら、そりゃあ減税の方の話。
 
それより、どうして同じ税率が不公平と感じる人がいるのだろうか?
貧しい者は優遇されねばならないと考えるのは何が根拠になっているのだろうか?
 
貧しければ苦しいのは当然だ。経済優位の時代である。
過剰な社会への甘えの感覚が生活保護の不正受給にまで繋がっていく。
 
貧困を正面から苦しもう。
しかし、他人に媚びることなく、毅然として貧困を生きようではないか。
 


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