近い夏の花火 ( 本日産経新聞の論..
[団塊の段階的生活]

だってオリンピックに負けたんだから・・・

2012/8/23(木) 午後 0:39


貧困だったという直接の記憶はないが、しかし東京オリンピックまではみんな平等に貧困だった。
学校で「家に風呂がある者?」という先生の問いに応えて、手を上げる者が数名いた。
「へえぇ!」というような反応。
今ではそんな差別的な問いは教室では不可能だが、当時は内湯がないのが普通だったので、差別でもなんでもない。
先生にしても何か風呂に入ったという話のはずみで興味本位で聞いたのだろう。
先生を含めて皆で単にうらやましがっただけのハナシである。
 
私も貧困家庭に育ったはずだが、貧しかったという記憶はない。
貧しいとか金持ちとかは比較の問題だ。
皆が貧しければそれは貧困ではない。それが普通の市民生活だったのだ。
 
両親が金の問題を話しあっていた光景の記憶が一度だけある。
「なんでお金ないの?」と子供の私はたずねる。
「税金が高いから」とかの回答。
「なんで税金が高いの?」との子供らしいオウム返しの質問。
「日本は戦争に負けたからや」と父が彼らしいしたり顔でいう。
 
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ここにして、急に国境の領土問題がかしましくなった。
ロシアは以前からだが、中国・韓国ともあからさまな民衆レベルのナショナリズムの高揚の嵐。
それに対抗して石原サンなんかも、じゃ金で解決してやろうとか。
私の愛読する産経新聞でも「竹島・尖閣は日本固有の領土!」と連日連呼している。
 
おかしな話だね。
北方4島は実際に住民がいたのだから例外として、韓国・中国とモメている島は実際には無人島だろ?
竹島(独島)や尖閣列島(釣魚島)の領土という根拠を多少調べたのだが私にはわからん。
海の上に放置されていたのだが、領海設定に影響があるので急に所属を争いだしたのだ。
要するにお金がらみの論争である。
元より史的真実だ、どうたらということではない。
 
そんなもの、どこの国のものか共通普遍の根拠なんかあるわけがない。
まして奈良県住人の私に真実なんて解るわけない。
政治や歴史の専門家の間の議論なんか私にはわかりませんよ。
普通一般のよその地域の生活者に過ぎないのに、正しいだの、間違ってるだのどんな確信でもって主張できるんだろうか? 
 
しかし、中国・韓国の活動家・デモ参加者・ネット論者は「真実に従え」と正義の旗を振り回し、対するに産経新聞等一般紙も「わが国固有の領土!」と反論して収集がつかない。
何で「一般市民」が神のごとく史的真実を語るんだろうか。
こういうのは私的真実で、それぞれの立場によって違う私見にすぎないのに。
 
ごく一般的な解釈を言えば、領土は昔から戦争して決めてたんじゃないの?
強いほうが取ってきたし、そのようにして皆がなんとなく納得していたのだ。
だからまた国家間の力関係が変化したと主張する者がいるというだけのことだ。
 
最近、戦争があからさまにはできないようなことになったので、国際法とか持ち出して解決しようという人もいる。
しかし、法はあくまで双方が従うという前提で成立するものだ。
一方が認めない、というなら法もクソもない。
昔の資料によれば云々、というのも昔のクニと今の国家が同一でないので、ヨソの国への説得力はない。
おじいちゃんが、この土地はワシのもんだ、と言ってたからといって、それが通るほど世間は甘くは無い。
 
石原サンが購入しようとしている島の持ち主の弁が印象的だった。
長期間私有し続けた理由について、「昔も今も国家というものは一切信用できないので」というのだ。
 
ケンカして決めるというのがこういう場合普通だし、一般的だし、世界的に誰でも一応納得する方法だけどね。
 
父ならこういっただろう。
「日本はオリンピックに負けたんやから・・・」
 

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