伊藤あさぎ サク 京都バッハゾリス..
[団塊の段階的生活]

ハハオヤ85歳の海遊館

2013/4/12(金) 午前 1:18
3・31(日) 
ハハオヤ(義母)85歳の誕生日。
ついその前の週には「伊藤あさぎ サクソフォンリサイタル」に連れて行き、帰りに阪急百貨店でかどや食堂のラーメンを食った(三人で一杯750円のシェア)ところだが、誕生日ともなれば何かまた企画しなくてはならない。
 
85歳で一族の最長不倒記録をめでたく更新、かかりつけの松本病院の話では90までは軽く行くだろうとのこと。うむ。やれやれ(苦笑)。
長寿それ自体は結構なんだが。
それが認知症寝たきり全面介護生活では無意味で冗長な生という他はない。
放っておけば、次第に外部への理解が途切れていき、周囲の者が言うことにも注意を払わず、ただ自分の内部に去来する記憶をぶつぶっと繰り返すだけの老人性自閉状態にじりじりと近づいていく。
折に触れてのメンテナンスは是非とも必要だな。
 
おヨメちゃん(←ヨメの尊称及呼称、私のは「オットちゃん」)の通っているスポーツクラブに連れていき、ジャグジーで遊び、帰りにデパートの地下食品売り場、というのが月例メンテナンスの定番。
 
それでもって、さて誕生日。特別企画ですな。
「海遊館」では?
 
そういえば、まだ私もこの大阪随一の水族館に行ったことがない。
 
地下鉄一本で行けるし、ごく普通に月並みで、ありきたりで、企画としてはいいんじゃないか。
 
ハハオヤの障害者手帳で本人と介護者のヨメは半額。
私はちょっぴりだがシニア割引ということになるし。
 
地下鉄一本といっても、本町の起伏の激しい長い通路は歩行器押しの老人にはかなりの負担だったのだが。
 
弁天町に降りると、あまり大した天気ではなかったが、日曜日の行楽地の雰囲気になっていた。 
海遊館一帯は大規模アミューズメントパークになっているのだ。
 
大観覧車の向こうに折から停泊中の白亜の客船が見え、なかなか楽し気ではある。 
しかし、「海遊館にでも・・」
とかいう月並みな発想をする方はわんさかいると見え、入場券を買うのに大行列。
 
私は行列に並び、ヨメは車椅子を借りに行ったのだが、館内もかなりの混雑の様子。
 
こりゃぁ、だめだな。
 
入場はあきらめて、周辺を探索することにする。
 
結局、桟橋の縁のベンチに陣取って、持参の昼食を取る。
私はショッピングセンターの「なにわ食堂街。だっけ?かに行き、お好み焼きの類を買って来る。
なんせこの母子の持参弁当は野菜果物のケチな健康オプセッション仕様で、腹の足しには一切ならないのだ。
ま、頑張って90まで行ってくだされ。
私は後10年でもう結構なので、しっかり飽食させてくれ。 
停泊中のオーストラリア船。 
か、どうか確認忘れたが、英連邦旗が出ていた。
7万トン。
私はこの大きさの客船を見るのは初めてである。
ヨメはその昔、クィーンエリザベス二世号で南ア・ケープタウンに行ったことがあるらしい。
5月には10万トンの客船の入港予定だとガードマン氏が教えてくれた。
 
上陸終えた旅客が三々五々帰ってきて、乗船していくのが見える。
金持ち風老夫婦系とアジア系の船員のグループ。
ふとみると、弁天町の地下鉄で同じエレベータに乗り合わせた夫婦も乗船している。
あ、お金持ちの夫婦だったんだ。
 
船を見ていて少し気が大きくなった。
広場では大道芸人が火を使ったアクロバットをやっていた。
なかなかのショウマンでうまく盛り上げて喝采を浴びていた。
ハハオヤから300円のおひねりあり。
 
海遊館入場券窓口前の列も少し小さくなったので、やはり入場することにする。
しかし、館内はこのありさま。
 
障害者特権でエレベーターで上階まで一気に連れて行っていただいたのだけど、車いすの目線ではほとんど人ごみしか見えない状態だった。
 
まあ、「春の日曜日に海遊館」
というような普通に月並みのありきたりで安直な企画をしてしまったこちらの思慮が足りなかった。
しかし、各水槽前にも表の大道芸と同じような人垣で、一向に前に進めない状態だというのは、あまりに商業主義に過ぎるというもんだろう。
 
「お前ら、アホかぁ」とばかり、オットセイにも尻を向けられてしまう始末。
 
ゆっくり、じっくり見れるのならそれなりに魚共の回遊姿も面白かろうが、魚より人間の方が多いんじゃね。
 
2年前に行った白浜のアドベンチャーワールドの水族館の方がよほど良かったね。
 
途中でハハオヤが遂にダウン。
しばらく、館内のカフェで横になって休憩するハメになる。
結局、借りた車椅子がいかんので、自力で動かず方向感のない人ごみしか見えないので目が回ったのだろう。
 
車椅子を返し、預けておいた押し車に取り換える。
 
その後何とか回復、ケツではなく、営業用笑顔を向けちゃんとお仕事しているアザラシ君(か?)になごみ、小魚が無数にキラキラと群泳する周りを回遊し、ふわふわと浮いているクラゲを見、予定終了。 
 
何とか一日、誕生日の特別メンテナンス行事をこなし、外のショッピングセンターのカフェで三者歓談。
ちなみに私はケーキだが、ヨメは何故かカレーを食す。
↑何故かと、問うほど哲学的な意味はないが。
 
このくらいの刺激でなんとか90まで行ってくれればね。
 
日曜日に子供と遊園地に行くということは、このようなことなんだろうか?
と、子供のない我々は後でふと思ったりもする。
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