世界のエトス(J 世界のエトス(J..
[団塊の段階的生活]

世界のエトス(J.ハーヴェィ)の重層構造(4)

2013/5/7(火) 午後 3:33
(4)
その週末(4・30)、突然クレジットカード会社から電話があった。
「キティカードですが、あなた様の銀行支払口座のある支店名をお知らせくださいますか?」
とくる。
どこか様子がおかしい。
「いいえ、それはできません。あなたがキティカードの方かどうか当方では確認できませんので。」
と返す。
「おっしゃる通りです。では・・・」
とカードの裏面に印刷されている0120電話にかけ、その担当者を呼び出すように言われる。
・・・
やはり当方のクレジットカード会社の担当者からの連絡だった。
私のカード番号がネット上で不正使用されている恐れがあるという。
当日、ネット上で私のカード番号で30万円のエアチケット購入があり、私の履歴と全く符号しないので確認したいとのこと。
当然だ。私には当日そんな買い物をした記憶はない。
その旨回答する。
 
その購入以降、次次とネット上での取引が私のカードでなされていて、そちらはすでにブロックした。
最初の30万円の支払は承認されてしまっているので、今からキャンセル手続きを行う。
以降、私のカード番号を消去処理にするので、手元の私のカードは廃棄してほしい。
新しいカードは一週間後に届ける、とのこと。
 
・・・
何という事だ。
私は自分の部屋で外側と没交渉的に完結し自足しようとネット上でソニー・エンタプライズ社と契約したのだ。
それが今度は完全な悪意の網にからめとられている。
どこでその悪意が発生しているのか、カード会社もそれ以上はくわしくは教えてくれない。
私の家のWIFI網か、インタネットプロバイダ経由、外のノード間あるいはソニーE社関係か。
いや、カード会社の担当者だって相当怪しい。
 
ネット上でクレジットカード番号を入力することに関しては当初抵抗があった。
しかし、次第に慣れてしまった。
アマゾンやナチュラルムで本やテントを買った。
そして、いつの間にか便利な世界になったと思い込んでしまっていたのだ。
 
多分、ネット上の不正は毎日膨大な数が発生しているんだろう。
しかしそのことを理由にネット販売を規制することはもうできない。
不正によるリスクより、ネットビジネスの収益の方が大きいのである。
一定の悪意のマージを抱えたまま、どうしようもなく肥大していくネット社会。
 
重層する世界のエトス。
もう現在では個人が個人で完結し、社会生活を営むことは当然できないのである。
 
・・当たり前か。
私は通り一遍憤ってみせるのだが、しかしどちらかというとこの椿事を楽しんでいる感覚の方が強い。
どちらかというと私はこのネット上の悪人どもはそんなに嫌いではない。
そいつらは少なくとも小中学生並の正義に酔っている偽善者ではありえないから。
 
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