中野信行氏の死を ある曇った日に ..
[団塊の段階的生活]

トラッキーなメンテナンス日

2014/6/19(木) 午後 4:02
6月18日(水)
恒例の月例ハハオヤ・メンテナンス企画、今回はなんと大阪ウメダの一流ホテルでの大食事会開催!
勤務先の創立記念日とかで、おヨメちゃんの平日休暇日に合わせホテルの昼食バイキング平日料金、しかもポンパレチケットで格安予約というプレテキストまで付けてますが(^^;
 
久しぶりの86歳はまだまだ元気、アンドレ・ブルトンのオトマチズム(自動筆記)に対抗し、間髪を入れず得意のフル・オートマチックの喋くりで当方を狙撃しまくる。
 
アンドレ・ブルトンはアラヤ式にシュールだが、このおバアちゃんの意識下の世界も我々が一応合意している現実とはかなり違っているはずだ。
我々は自分の言葉で世界を定義し、自分で定義した世界を自分が本当に見ているものと思い込んでいる。
自作自演の映画の中の自分とその世界を常に上演しているアラヤ式劇場。
 
←クマモンとおバアちゃんが北新地駅に出現していると夢想中のキタノザウルス。
 
「キュウリあったんか?」
「それ、ナスビやよ!」
「そやからナスビゆうてるやろ。」
先ずはじめにコトバがある。
そして世界がそこから産まれる。
だからコトバが我々の現実を創っていくのであって、けっして逆ではない。
 
ウメ地下に乱立する格安チケットショップでは既に各国通貨や郵便切手・ハガキまでが自由な価格で売買されようになっている。 
ここでは世界はすべてがYENに換算されて存在しているのだ→
ハハオヤの世界では「雨がアカル」、
鍋に具材が「ヒバつく」、
ウールを洗濯機で洗濯してしまうと「モモけ」たりしてしまう。
 
語感的には意味は明白なのだが。 
ヨメもその娘だけのことはあって、「シガケンではそういう」とすべてがローカルスタンダードであると暗に弁護する。
しかし、よく分析してみると単に「雨が上がる」と正確に発音できず、そのようにしか聞き取れず本人にはそれが世界のグローバルスタンダードであると見えているアラヤ式劇場で生きているだけとも思えるのだ。
 
「すもも」は語源的には「酢+桃」だから私は桃の「モモ」とすももの「モモ」とはほぼ同じ下さがり気味のイントネーションになるのだが、ハハオヤの発音ではスモモはド・レ・ミの上あがり。すももも、ももも、もも違い。
 
      関係ないが、字ィまちごおてまっせ→
 
しばらくアクセントやイントネーションを確認するのだが、どうやらハハオヤ語にはイントネーションの観念はなく、どこが違うのか判然としない様子。
こういう時にサッと全く違う世界に脈絡もなく勝手に入ってしまうのがおバアちゃんの生活の悪知恵。
「パイナップ 食べよか?」
・・・「え? パイナップル?」
「そや、ぱいなっぷ。」
 
「パイナップルやろ?パイナップルゥ!」とヨメは訂正するのだが、実は米語の発音からいうとおバアちゃんの勝利かな、と私はほくそ笑む。
Pine+apple 「パインアポ」と書いとくか。カナではこの「le」はわざわざ書かんでもよろし。
何で「松のリンゴ」か?と思ったが、多分「まつぼっくり」のイメージからだろう。
これも思いつきだが、英語ではかなり厳密に語尾を発音していたのだが、米国に渡った無学な諸国の貧民はウチのおバアちゃんなみの耳しかなく、次第にいい加減に発音した音が標準になってしまう。
そしたら今度は綴りまで発音通りとなって、いまでは米語として大きな顔をしてるのだ。 
こうしてドクトルがドクターとなっていくのだが、もちろんおバアちゃんは今でも「ハクシ」を「ハカセ」と古風に発音している。え?きみもかい?
 
←「これにしようかぁ?」とウメ地下の中古ケータイ屋にて。
 
「ケータイ持ってますか?」と聞かれて
「携帯ラジオ?携帯テレビ?もしかして携帯カイロ?」と、もう勝手にトボけられる時代ではない。カナで「ケータイ」と書けば携帯電話のことなのだ。
しかし、多分この「ケータイ」が携帯電話の略だと意識している者はもういない。
それはもういい。そういう時代だ。
 
しかし、このケータイショップで「スマホですか、ガラケーですか?」と尋ねられたのには面喰った。
 
しかも「ガラケーって何ですか?」と尋ねると、即バルタン星人に侵略されたような顔をされそうで、私もヨメも質問は差し控える他はなかった。
 
後で「アレ、ガラケーって何だったん?」とお互いにこっそりお互いの言語レベルを確認するハメに。
 
←なんやいな、これ?
 
教えましょう。
ガラケーとは、日本仕様に特化した携帯電話を指し、異例な進化系列種を持つガラパゴス諸島に由来するコトバです。はい、さようで。
 
その発想は面白いとは思うのだが、しかしそれって多分に業界用語・隠語・ジャルゴンの類で目の前のオジン・オバンが知ってるわけないだろが!
こういう特定の隠語を使うのが特権的で通でカッコイイなどと思ってるならその心根がさもしいよ。
 
どこかの合唱団で「次のボイトレは・・」と言うのが私には聞いていてつらい。
 
日常的に略語として使い慣れている業界人の指導者が言うのなら異はないのだが、単なる一素人の団員が「ボイトレ」と言いたい心理はねぇ。
 
正しく「ボイストレーニング」「ボイストレーナー」と言ってください。
今回入団した新人には絶対通じていないだろうし、日本語としていかにもずさんで、気持ちが悪いんですよ。
まあ、男子なら語感の乱暴さを面白がって使う心理があるのは分かる。
上品なオクさまが「ボイトレ」、かなりハシタないでっせ。
お願いだからモーツアルトのレクイエムを「モツレク」などと略さないでください。焼肉屋のメニューじゃないんだから。
パート・リーダーは「パーリィー」?
いやはや・・
 
←わぁ、もう食べ終わってデザート?
 
ぐだぐだ喋ってると食べてる時間ないよ(^^;
 
しかし、私だってコイツには解らんだろと思いつつも変なカタカナ語を喋っちゃってるときはもちろんある。
多分、ケータイとかボイトレとか無意識に言っちゃてしまっている自分への自戒の念の強さが、斯くもグダグダ言わしめているのだと思ってください。
 
ヨメの大腸内視鏡検査の日程を近所の病院に相談に行った折、「で、オペは当日?」と思わず言ってしまった。
オペじゃないですよ。単なる検査ですから。」と説明の看護師サン。
 
いや、分かってますよ。
オペ」と2字で「オペレーション」を略してしまうと業界用語では「手術」という意味だけになるんでしょう?
私は単に「処理・処置(オペレーション)」というつもりだったが、病院という雰囲気からその業界用語がポロリと口からでてしまったのだ。
 
でも、「オペレーションは?」と言っていたところで日本語としては不適切。
他人のことはあまり言わん方がいい。
 
ディアモールの休憩テーブルで悔い改めている私→
 
ポンパレの予約ではアルコールも付いていて、3人分のビール・ワインの消費責任を果敢にも一人で担い、あえなくアチラに行ってしまう。エリエリレマサバクタニ。
 
この後奇跡の復活再生を果たし、阪神DPのタイガーズショップに行く。
 
実をいうとこの86歳は大のタイガースフアンなのである。
 
我々との食卓での会話中でもテレビが野球結果報道になるとフイと見にいってしまう。
 
目も悪く耳の可聴範囲も狭くなってドラマや他の番組もみなくなったのだが、野球中継だけは楽しんで見ているようだ。
 
野球にはかなり無知な私やヨメより選手データや試合成績を良く知っていて、我々には最早付いていけないようなハイレベル。
 
3年前に他界したチチオヤも野球オンチだったのでこの老婆だけが野球フアンなのは不思議なことだ。
 
ひと昔前には、金に大変細かい強欲ババアをやってらっしゃって、点数や成績という数字データにはかなり強い執着力=記憶力がおありなのが幸いしているのか。
それに、関西では常にタイガースの試合中継を放映していて、テレビを見ていれば自然とタイガースフアンに取り込まれてしまう。
 
別にどこだって良かったのだが、とにかく大阪ではタイガース、え?タイガーとは濁らない?はてな?
 
私は日本では個人プレーのサッカーよりも先ず団体ありきの野球だろうと思っていたら、若い世代だけではなく、周囲の同世代諸氏もワールドカップ、日本何点?とか盛り上がっている。あれれ、いつの間にサッカーフアンに?
 
NHKのニュース枠でさえサッカーワールドカップの日本の戦略を連日報道して熱気をあおったりしている。
騒ぐ割には本番では鳴かず飛ばすが常。
あの勝手な調子のいい話をしてた解説者は責任を取れ、なんてねじ込まないのがスポーツフアンのナイーブさ(^^; 
開催前の反ワールドカップデモのフォローはもうどこにもない。
 
つまりはプレー内容なんてどうでもよく、勝ち負けの興奮が味わえさえすればなんでもいいようだ。
野球でもサッカーでもオリンピックでも何でもいい。
MLB中継を見ていると日本野球の一糸乱れぬ大応援団をかなりの違和感と共に思い出す。
 
プレーよりも勝ち負け。
スポーツの原点はしかし案外ソチラかも。 
 
我々としてはこの86歳が未だに「昨日は逆転して勝った」とか「藤波は大谷より・・」だとか記憶したり、それなりに頭使っていてくれればありがたい。
勝ち負けがはっきりとしているスポーツなら最後まで興味が続くだろう。
 
 「はい、次。
  おバアちゃんやって見!」→
  「いや、とても届かんわ。」 
 
「ほれ、もっと手ぇ伸ばさんと!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これにて今回のハハオヤ・メンテナンスは無事終了。
また次回。
 
ついでながら、この夜の阪神は日ハム大谷に160kの速球で完全に押さえられ 完敗したとか。

 
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中野信行氏の死を ある曇った日に ..