合同誕生会@ドゥ 転居雑記1月 ..
[静かな生活]

2022: A Global Odyssey

2022/1/1(土)1:48

ここ数年機会があれば住宅見学には行っていた。
天王寺、帝塚山や宝塚、最近では橿原神宮前や滋賀の鹿深台等。
しかしこれと言って気に入った地域、物件は見つからなかった。

昨年、ウチの大阪のアジトのひとつがコロナ禍で空になり、しばらく私が住んでみることにした。
一応”タワマン”だが単身用の部屋で、ウチの一家総数二名が引っ越し同居できる容量はもとよりない。
そのつもりで見に行くと、私一人としてもやはり部屋の構造が少々息苦しく感じられ、居住するのは諦め、今まで通りアジトとしての使用に限定と決定。
だが、これが都心の高層住宅という新しい住居のカタチを再考するきっかけになった。

私は大阪ミナミの天王寺から難波の間(つまり今宮・大国町やないか^^)の出身なのだ。
二十歳過ぎてようやく自力で脱出するまで、日本でも有数のこの都心裏の下町で私はくすぶりつずけていた。
もう二度と帰ってくるものか!と、30半ばで渡欧した背景にはこのきわめて散文的な町への反感が糸を引いていたのは間違いない。

しかし今、その雑莫とした大阪を高層住宅のベランダから眺めてみると、その雑多な人の営みの小便臭い生ゴミ集積感が見事にろ過され、都市美と言ってもいい上澄みだけが見えていることに瞠目した。
そして先先月来、私の居住用に大阪アジトと同街区にある別の高層住宅群の空室を見学しに行っていた。

この住宅の東ベランダからの眺望のセンターに小さく見える塔が今宮無線中継塔・・5、60年前にガキの私が毎日家を出るときに見ていたヤツである。
その、ソイツが。
こうして高所から眺めると下町の複雑に入り組んだ迷路の雑然も全てがろ過され、整然と大都市全体の一部に大人しく収まっているではないか。

そして、通天閣やアベノハルカスも。
あのあたりを私は歩き回り、鬱屈を持て余していた。
ソイツ等もいかにも可愛い夜の衣装を着せてもらい・・・

正面には難波のターミナルとスイスホテル。
今は南海本社ビルにかなり視界を遮られ、ウチのメインディナー会場に使っていた”タボラ36”からの眺めも損なわれてしまい、昨年から会員継続を見合わせたのだが。
それでも難波のターミナルのほのかに感じられる賑わいが。

夜化粧前の戎橋筋から心斎橋方向の御堂筋上空。
こちらは上から見て多少のざわついた凸凹感はあるのだが(^^;

ラブホの夜のよそいも華やかに(^^;

そして北側に、西梅田から北摂・神戸の山並みの一部。
大都市夜景としては、この距離からの梅田(キタ)が一番きらびやかに見えるようだ。
しかし、残念ながら流動する都市開発の波は収まらず、来年よりお隣に高層ホテルが建造されることになっていて、北側ベランダからはこの光景が隠されてしまうことになっている。

二面バルコニーに面し、うまくカラーコーディネートされた家具を配置した広いリビングルーム。

まるでモデルルームのような小ぎれいな二寝室。

実際にはこんな生活感のない虚美空間が維持できようとは毛頭思わないのだが(^^;

特筆すべきは毎日ジョギング出来そうなこの広い二面のベランダ。
これだね!
この解放感が同じ街区にあるウチの狭苦しいアジトにはまったく感じられなかったのだ。

他にもこの地区の高層住宅を多数見学、何れも何か気になる点があり、結局この部屋が最後に残ったのだった。

・・・もうメンドクサいんで、ここでいい!
ええ?そんないい加減な。>ヨメ。

しかし、結局は決断なんていつもそんな風なことなのだ。
かくして、私は今月より大阪に転居することになった。

どう考えて見ても、大阪下町を嫌いぬいた私が再び大阪ミナミに居住するということの本当味、真実感を自分でも信じることが難しいが。
モデルルームの作られた態のいい快適感にまんまと乗せられたという気もする。
一昨年来のコロナ禍より都市の生活様式や社会経済の今後の予測展望も一向に定かではないし、多少の住宅バブルが業者に煽られ作為されていることも分かっている。

けれども私の時間はもう殆ど残っていない。
私はもう人生を極力サボり、24時間ゴミが捨てられ、公私6路線の駅どこにでも全く地上に出ることなく歩いてアクセスできる都心の利便性にかまけ、ふやけて残り時間を潰したい。
大阪市民になれば市営交通網を一回50エンで使い放題、もちろんソッチも大いにある(^^;

大阪ミナミに居住を決めることは、私の原点に再び回帰するということだ。
残された時間を、私の一生を強烈に染め抜いてくれた”大阪”との和解に充てることになる。
そしてそれでやっと私は完結し、この円環を閉じることができるのだ。

 50年ぶりの大阪への回帰。

 2022: A Global Odyssey

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