シャモニー .. ディジョン泊
[アヌシー・シャモニー・ロンドン]

ローザンヌの不思議な城館ホテル

2016/7/27(水)1:17
8月24日) suite

国際ローカル列車(?)はやがて終点のMartigny(マティーニ)に到着。
ここはもうスイスである。
駅前にあった像。

ローマ建国神話に出てくるオオカミに育てられた2兄弟像。
ローマが築いた町なんだね。

ここはスイス・・とはいいつつ、その実アヌシーやシャモニーよりも遥かにパリには近い。
レマン湖(ジュネーブ湖)はスイスの湖というイメージだが、レマン湖の向こう岸はフランス領で鉱泉水で有名なエビアンなんかがある。
この辺りの国境はチマチマと入り組んでいて良く分からん。
遥かケルンあたりまで帝国領土に組み込んだローマの偉大を思うのみ。

スイス国鉄ではなくてSNCF(フランス国鉄)のTGVに乗車。
さすがに交通網には国境は無くて相互乗り入れが通常。

もうそろそろ夜の時間なのでレマン湖畔を運行する列車はガラガラ。

これはモントルー辺りのレマン湖だろう。

本日の宿泊地を決めなければならない。
別にジュネーブやフランスまで行ってもいいんだが、とりあえずはこの辺りで。
乗客が少ないので検察に来た車掌のおニイさんに「一泊するのは何処がいい?」とか尋ねてみる。
「ローザンヌがいい」と。
まあ、レマン湖畔ならローザンヌが妥当な町だろう。

ローザンヌに途中下車、とりあえず適当なホテルを探す。

とりあえず湖のほとりの公園に行くと城館があり、どうやらホテルらしい。

そのつもりは無かったのだが、とりあえずフロントで値段を尋ねる。

玄関横で簡易レストランが営業していて、少々安っぽい構えにも見えたこともある。
案外・・というか非常に安かった。
なんせ、星2つが定宿の私が即決したくらい(^^;。

旅行後にローザンヌ音楽院に留学経験のある友人のチェリストにこのホテルに投宿した話をしたら、「え!アソコに!?」という反応だった。
ローザンヌでは誰でも知っている城館のようだ。

建物は12世紀に建造された枢機卿の館が元で、以降の城主はいろいろ。
現在ではダンジョンの塔屋だけが12世紀のものらしい。

部屋自体は古く、スチーム暖房の蛇腹はあるがエアコンディショナーとかの設備はない。
その辺りが安値の理由だろう。

館内の雰囲気は流石。
あまりウロウロしたくはなかったが、何となく従業員に隠れてダンジョン探検風にいろいろ探ってみた(^^;

「サボワ公爵の間」。

サボワは現在はフランスの県だが、かつては公爵領だった。
しかし、ローザンヌは領地ではなかったハズだが。

私はもちろん素泊まりなので、夕食は公園のレストラン・出店に食べに行った。
週末のレマン湖畔ではきらびやかな出店やバンド演奏なんかで賑わっていたが、一人旅の私には関係のない若者達の週末フィバーといったところ。
そくさくとサンドイッチ類で夕食を済ませた。
当時は外でビールさえ飲む習慣はなかったのだった。


8月25日(日)
城館ホテルの朝食レストラン。

と、すると素泊まりじゃあないな(^^;

何だか誰も他に宿泊者は居ないようだった。
うん、不思議なことに昨夜から誰も宿泊者の気配を感じることはなかった???
少し、不思議なホテルだった。
この不思議さは後で少々不気味な体験も呼び込む。

朝食後、湖畔を少し散歩。
奥の建物がホテル。


チェックアウト後、しばらくローザンヌ市内を観光散歩。

ローザンヌはスイスのフランス語圏、いわゆるスイス・ロマンドである。
私の世代ではスイス・ロマンドというとエルネスト・アンセルメが率いるオーケストラ名ということになる。
近代モノが得意なクリアな音で、いかにもスイス風の(?)オーケストラ。

一度、ジュネーブからこの辺りまで観光船で来たことがあった。
あれはホンダフランス(オルレアン)の山下氏に請われて、スイス旅行に付き合った時なので1984年頃だったか。
既にTGVがパリからジュネーブまで直行していた。

このローザンヌ見学は実のところあまり首尾がよくなかった。
坂の上の住宅地のベンチで休憩していると、近所の子供が遊んで欲しそうにまとわりついてくる。
フランス語で適当に相手するが、不思議な男の子で答えもせず一切笑顔にもならない。
相手しているとだんだん凶暴になり、終には私が諦めて歩きだすと、後ろから乗っていたおもちゃの自動車をぶつけて来た。

一切笑顔にならない幼児。 こんな子供は初めてだった。
これが大人なら完全にアジア人差別・排斥の狂信者と思うのだが。
日本の甘やかせればどうにでもなる子供ではない。
まるで大人のような不気味な目つきをしたガキだった。

この経験は未だにうまく心理的解決が出来ていない。
ヨーロッパ・スイスに見え隠れし漂っているアジア人に対する悪意を確かに見たのか。

以来、ローザンヌの湖畔から高台の町に登っていくケーブルの駅が時々夢に出てきた。
このケーブルカーの路線もなんだか不思議な光景になって私の記憶に長く沈んでいた。

↑ ローザンヌのケーブルカー: ネットより
どこか割り切れない不思議なところがある。

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