〔フライブルグ通信〕
[D30] 南シュバルツバルトの町と村 (4)2011/09/02 8月30日(火)
本日がフライブルグ大学夏季国際語学講座の終了日。
朝、各クラスでお菓子持ち寄りで歓談、後、講堂で全体の終業式。
私と入学手続きのことでやりあった Frau NOTENの司会。
しかし学業とハイデガー関連は別項にする。
さっさとパーティーを切り上げ、ソクサクと宿舎に帰り、荷物をおいてまた外に出る。
REGIOKARTEの有効期限が明日までである。 今日はバスで日曜日に回れなかった路線を走破するつもり。 Denzlingen → Glottertal
今回は中央駅からウチとは反対側のエルザッハ行きブライスガウSバーンに乗る。
デンツリンゲン(Denzlingen)駅から出発。
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郊外型の少し間延びした住宅地で、駅前も芸もなくただ広い。 バスの乗り場を目で探すと、停車中のバスが動きだし、HLT(停車表示板)の前で停車した。列車の到着と連動して運行している接続便に違いない。
運行路線ナンバーを確認するとザンクト・ぺーター線である。なにか時刻表と違うような気がしたが、路線番号7205で間違いない。
ちょいといかつそうな運転手にREGIOKARTEを見せ乗り込む。 | |||
やがてバスは動きだし、だらだらと郊外住宅地をぬって走っていく。
公園兼スポーツセンター風の停車場で大半が降りてしまい、残り数名。
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やがて住宅もまばらになり、なんだか奈良県の田舎風の景色に観光レストランが散在するような具合になっていき、ぽつりぽつりと人が降りていく。
奈良県風と思えたのは山肌が牧場ではなく、畑の畝だったからだろう。
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そして誰もいなくなった。
前回の路線バスでのザンクト・ペーター行きは日曜日だったので観光客がいたが、今日は平日なので誰もいないのかと思う。
ザンクト・ペーターはもう知っているので着けばわかる。
乗客が私1人だが、こんなドイツの田舎のバスに1人のっている愉悦を感じたりする。
単純海外旅行ではこうはいくまい。
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まったくの野原の真ん中で、集落でもない停留所でバスが止まり運転手が何か言っている。 え?ここが終点? 「ザンクト・ペーターまで行くんじゃ?」 「ここが終点で折り返す。ザンクト・ペーターなら次のバスをここで待たんと」 「ええっ?」 | |||
どうやら、同じ路線でも2本に一本はここで引き返すらしい。 「では、しかたない。ここで待ちますよ。」 「バス停のベンチで座ってたらバスが素通りしてしまうよ。バスが来たら道路に出て合図しなきゃ。」 なかなか親切な運転手だった。 やがてバスは引き返し、見送る私が軽く手を挙げると向こうも手をあげて合図する。 バス停の時刻表を確認するとザンクト・ペーター行きは30分後だった。 案外早くて助かった。
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何もない田舎の道路でぼけーと立ってバスを待つ。 やがて反対方向のバスがやってきてバス停に入ってきて徐行している。運転手が手真似で「乗るか?」と聞く。
こちらも手真似で反対方向を指す。 運転手が「ふん、そうかい」と肩をすくめて停車せずまた走り出す。 | |||
やっと私が来た方向からのバスがやってくる。 運転手に向かって手を振る。 バスが速度を落とし、バス停に入ってくる。 あわててREGIOKARTEを財布から出し、見せながら乗り込む。
「GUTEN TAG !」と運転手が笑い顔でいう。 バスの乗客と運転手が交わす挨拶がこのときほど心強かったことはない。
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バスはここから山道を登りはじめ、登り切ったところがザンクト・ペーターだった。
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← ザンクト・ペーター
一昨日も来たが、今日の方がはるかに人が少ない。
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バロック教会の内陣を改めてみる。
やはり瀟洒な印象である。 | |||
しばらく会衆席に座って天井画等を眺める。
いつまで眺めていても飽きないような気がする。
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外に出てしばらく町をあるいてみるが、村ですね。
道路沿いに数軒のホテルや店やがあり、適当に外れまでいって帰ってくる。 | |||
やはり他には何もない。
向こうに牧草で覆われたなだらかな丘陵が広がっているばかり。
バス停近くのベーカリーで菓子パン一個買い食べようとしたら、バス停にザンクト・メーゲン行きのバスが来ていた。
時刻表にはなかったようだが、ちゃんと行き先表示がザンクト・メーゲンになっている。
あわてて菓子をバッグにしまい、バスに乗り込む。
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↑ 再びザンクト・メーゲンに来てしまった。 次の接続は時間待ち。
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すぐ帰るつもりなら、しばらく待てば一昨日に乗った同じ経路のバスが来るが、本日はもっと大回りしてノイシュタットまでバスで行くつもりなのである。
ところが、あてにしていたこの前のレストランが閉まっている。 あとはちょいと高そうなホテルのレストランしかない。
しかし初心貫徹。
この村で2時間待つ。
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村はずれの丘陵に出、牧草に覆われた一画の真ん中の木にもたれ座り込む。
なかなかイケそうである。 | |||
それではここで一寝入りすることにする。 で、本当に眠ってしまうのである。 牧場の草に寝ころびて
空にすわれしジジイのこころ
目覚めればもう丁度いい時間。
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バス停に行くと先客がベンチに座っている。
やがてノイシュタット行きのバスがやってくる。
乗車したのは二人だけ。 どうやら相客は地元の高校生らしく、やおら運転手としゃべり出す。 | |||
のどかである。 先日の路線のように広々とした丘陵の眺めはすぐに終わり、山間の村をぬって走っていく。
バスにゆられてシュバルツバルトの鄙びた田舎の山道を行く。
先日の路線も捨てがたいが、こちらもなかなか味があるバス路線である。 | |||
堪能して夕刻のノイシュタット着。
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これでREGIOKARTEで行けるバス路線の大半を走破。
我ながら生まれついての貧乏性。満足満足。
実は後一回、列車でのREGIOKARTEの有効最遠駅まで行けば完全だ。
ウワサではドナウエッシンゲンまで行けるという。
明日の最終期限日を期す。
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