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〔フライブルグ通信〕

[番外1] バイロイトへ、鈍行列車で。

2011/09/14

9月5日(月)
朝から雨。少し小降りになって10時にチェックアウト。
そのまま荷物を預け一時間ほど散歩。
月曜日の朝。
通勤の自動車がそれでも行き交っている。
 
街並みと背景の丘と公園。
スーパーで水を買う。
ただし、ここの売り子は無愛想である。なんとなく不審そうにこちらを見ている。
無理やり「チュース!」と言わせて店を出る。
 
このチュース!は昔は若者用語だったような気がするのだが、今では伝統的 Auf Wiedersehn ! に取って替わってドイツ標準別れの挨拶になってしまっている。
スーパーの売り子さんでも、高級ブティックのオーナーでも。
 
ちなみに、昔「グーテン・ターク」だった標準挨拶には「Hallo!」がすでに半分くらい侵食していた。
このところ急速にドイツ語の中に英語起源の語彙が入ってきている印象がある。
 
 
またドイツ語特有の外来語同化システムにより、英語の単語をそのままドイツ語風に発音、活用すればそのまま通じてしまうことも多い。
だから、何か言おうと思ってわざわざ貧弱なドイツ語の武器庫を探すより、英語・仏語の単語をドイツ語風に発音すればとにかく通じるのだ、ということに気が付いた時、私の独語会話力はめでたく中級に昇級した。
 
ホテルで「Ich habe」と言いかけて独語の「予約」は?と探して詰るより、「リザーブド」を「リザービィエルト」と発音すればいいし、ホテルの受付だって「レセプチオン」でいい。
本来のドイツ語の言い方もあるのだが、こいつら外来語だってすでに立派な(か、どうかは見解が分かれそうだが)ドイツ語になっている。
 
現在のドイツ語の語彙はドイツ語本来のものと外来語との二重構造になっている。
もっとも日本語だってこれは同様で漢字語(「受付」)よりもカタカナ語(「レセプション」)がハバをきかせている。
英語やフランス語が別の意味で特殊なだけだ。
 
ドイツ語でE-メールを送付することが ”E-Mail senden" とかE-Mail machen"ではなくて、”E-mailenという普通動詞になっていることには度肝を抜かれた。
日本語で言うと「E-メーる」とか「E-メーれない」とかいうくらいのお手軽さ。
地下のハイデガーならこの状況を何というだろうか?
 
11時荷物を引き取り駅に。
やがて11時32分発のROTTWEIL行きが入ってくる。この駅で折り返すのだ。
車体は相変わらずの赤いREGIO列車。2両編成で2階はない。
入り口近くの二人がけ座席確保。
天気は次第に回復。
この前検札に捕まったドナウエッシンゲンを過ぎ、シュバルツバルトの東側山腹の町を通過していく。
それぞれ景色は面白いが、結局おなじような景色がつづく。
緑にまみれて家々の茶色の屋根が「かわいい」。
終着ROTTWEIL。
向かいのホームの列車を待つ。
チューリッヒ発シュタットガルト行きのスイス鉄道だった。
 
この路線だけ座席予約していた。
途中乗車なので当然のごとく全くフリーの座席はない。
予約した4人掛けの席にはすでに女性がすわっている。
 
予約している旨を伝え移動してもらう。4人掛けの、テーブルをはさんだ向かい側に移動してくれた。
暫くして途中乗車客への検札が来る。
始めて使用するオンラインチケッブッキング。
サイフに細かくたたんでいれて置いたA4のプリントアウトを取り出し、車掌さんに渡す。
車掌氏はプリントアウトの右隅に印字されているVISA支払いという項目を示し、クレジットカードも見せるようにという。これも承知。本人確認のため。切符に書いてある。
少し大きめの携帯端末でプリントアウトのバーコード状の模様を照射して読み取っている。
やがて「OK」。なるほど。
このスイス鉄道は全体に明るくBDより車内がゆったりとしているように感じる。
それに、それ以上は混まず相変わらず緑豊かな山がちの地帯を走って行く。
天候は完全に回復し鉄道旅行の楽しみの気分が蘇る。
シュタットガルト着。30分の待ち。
駅のスタンドで菓子パン一個買って食べる。

 
14時41分のニュールンベルグ行きは14番線という表示だが、ホームの掲示板には別の列車が掲示されている。
しかし、間違いはないんだろうと、そこで待っていて、やがてやって来た列車に乗り込もうとする。
 
ところがホームの駅員をとりまいて数名が質問している。
ハッと気がついて列車の腹の行き先表示を見るとまったく知らない地名が表示されていた。
駅員にプリントアウトを見せ「私の列車はどこだ?」と尋ねる。
「16番線」だと?
あわてて16番に行くがニュールンベルグ行きではない。
も一度中央コンコースに戻り全体の発着表示を確認する。
ニュールンベルグ行きは12番線に変更されていた。
なんと。多少慌てるが大丈夫まだ余裕はある。
この辺がヨーロッパの鉄道の落とし穴で、発車直前にホームが変更されることがある。
始発なので早めに乗り込み座席確保。
しかしICでは無いので、近距離客が多く、最初は多少混雑していてもやがて空いて来る。
時間の余裕があればREGIO列車の方が確実に座れてゆっくり出来る。
それに料金も安い。
シュタットガルトーニュールンベルグ線も幹線ではなく、これと言った大都会はない。
相変わらずの緑の丘と緑の谷間に点在する茶色の屋根。のどかである。
 
ニュールンベルグ5時半着。
これがニュールンベルグか。始めて来る都会である。
駅舎がドイツ風に近代的で明るい。

ここがニュールンベルグ裁判とマイスタージンガーの。
ヨーロッパ旅行の高揚を感じる。
サッと駅前の写真を撮り、すばやくバイロイト行きのホームに戻る。
17番線。何と長い地下道か。大阪駅よりホームへの地下通路が長いかも。
17番線の列車には電光掲示板に二つの行先が表示されている。
ドレスデンとバイロイト。
そら、また落とし穴である。
列車は一つ、行先二つ。途中で切り離されるのである。
慎重に車両個別の行き先表示を確認しバイロイト行きに乗車。
そんなに混んでいないので4人掛けの区画を占領する。
発車してすぐ女性の車掌さんの検札があり、プリントアウトとクレジットカードを取り出して見せる。

プリントアウトをちょっと読んでいたが、バイロイト線の表示は折り返しの裏側になっている。
手まねでヒョイと裏返すよう伝えると、裏側を見、「バイロイト、OK。ALLES KLAR!」とクレジットカードの確認もしないで返してくれる。
いやあ、オンラインで予約した格安チケットですべてうまく乗り換えをこなせた。
乗り間違えると正規料金の差額プラス15ユーロの手数料を取られるのである。
うまく格安切符(Sparpreis)で鈍行を乗り継いだ。これでドイツ鉄道はバッチリだよ。
 
 
 
 

相変わらずの田舎路線が続くが快晴ののどかな列車の旅を続け、夜7時バイロイト到着。

ホームの表示がバイロイト(hbf)と確認したのだが、まったくの田舎駅の雰囲気で名前の大きさとまったく釣り合っていない。加えて今降りたばかりの列車にここから乗り込む乗客がいる。
え?バイロイトが終着のはずだが、まだだった?

ちょいとパニクって、列車にもう一度乗り込もうとしたが、ホームの表示はやはりバイロイト。
列車の行き先はニュールンベルグになっていた。
折り返し運転するわけだ。
最後に慌てるなよ(^^)。
 
バイロイト駅構内の自動販売機で明日の切符を買うことにする。
というか、オンラインで調べた料金と同じか確認したかったのだ。
オンラインで買って印刷できなければ無効になるので、今回は慎重に窓口で買うことにしていたのだが。
自販機でイエナ行きを検索するとオンラインと同じ料金だった。明日なので正規料金しかない。
ICを使用しないと設定すると40ユーロが32ユーロに値下げされる。
それではこれでこのま買うことにする。
最後の質問。CITY MOBILを付けますか?
来たね。もちろん。
イエナからSバーンに乗るつもりだからね。
さらに一日有効券にする。
できれば夕方の内に市内を回りたいので。

クレジットカードを入れるとPINコードの入力もなくすんなり買えてしまった。
言っときますが、すべてドイツ語メニューでこなしましたからね。
City Mobil (これも全く英語風の名称だ)はドイツ鉄道切符のオプションで目的地の市内交通の割引切符。
今回の旅行で得たドイツ格安列車旅行のノウハウはまたいずれ別項でまとめることにする。

 

バイロイト(BAYREUTH) の綴りを機械検索を繰り返し、何だか覚えてしまったが、このつづりだとベイルートと読みたくなる。何かこの2者に関連があるのだろうか?
 
駅から迷わずタクシーに乗る。初回のみ自分にこの贅沢を許す。
それとなく道々、帰りは荷物を押していける距離なのか確認する。
なかなかこじんまりとしていい町のようだ。

バイロイト祝祭歌劇場なんていうと非常にスノッブなところのような気がするが、案外実直な住みやすそうな町という印象。
少なくとも都会ではない。
町といって丁度くらいの大きさである。
ちなみにノイシュタットはシュタット(都市)という名だが村の規模である。
ホテルはブラスリー(ビール醸造所)の隣にあり、どうもソコの経営のような気がする。
名前がGOLDEN LOWE (金獅子亭)、古典的なビアレストランの名前である。
まだ日のあるうちに町へと繰り出す。
おっと、ホテル(兼ビアレストラン)のカウンターで町の地図をもらっておく。
 
歩いてすぐに旧市街というか中心街の石畳に出る。
何と分かりやすい町か。
中心にこの大歩行者天国様の繁華街がまっすぐ伸びていて、公園に接続している。
 
実際の観光地はそれだけ。
あと駅の反対側の丘にポツリとバイロイト祝祭劇場がある。
これは駅からチラリと見えた。
 
中心街の途中でケバブの店を見つけてしまい、これで夕食とする。
 
歩きながら石畳の端まで行くと、何とワグナー・リスト・ジャンパウルの三つの博物館が並んでいる一角に到達する。
ワーグナーのパトロン、ルードビッヒ2世の銅像にケバブを見せ付けながら食べる。
裏は公園で地図で見ると広大そうだが、とうとう日が暮れてしまい公園散策は明日とする。
だいたい町の輪郭が頭に入った。
実に分かりやすい町だった。
たぶん、シーズン中は観光客で浮ついたところなんだろうが、今は実におちついてゆったりした町に見える。

市立オペラ座の周辺で空にきれいに月が出て、いつかどこかでみたおとぎ話のような光景を思い出す。
ホテルに帰り、シャワーを浴びて下のビアホールにいきビールを注文。
「ピル?」というので「ヤー!」と答える。よく分かってないがピルゼンビールかということらしい。
風呂上りのビール。
鉄道旅行第一日目を問題なくクリアし乾杯して寝る。


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