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〔フライブルグ通信〕

[番外8] 重層するベルリンへの道

2011/09/22

9月9日(金)
イエナからICでベルリンへ。
久しぶりの一等コンパートメント。
先客のおっさんが窓際を占領しているが、二人で対角線を分け合い先ずは快適な一等列車の旅。
前回、ベルリンに行ってウンターデンリンデンを歩いたのは2001年だったか。
確かヨメとユーレイルパス一等で、ライプチッヒやドレスデンを回った。
ライプチッヒでは聖トマス教会前のバッハ像で写真を撮り、ゲバントハウスでその夜のコンサートを聞いていくか一応迷ったものだ。
ただし、ドレスデンではもう日が暮れてしまい、駅のホームで証拠写真を撮っただけだった。
ユーレイルパスで回った列車の旅。
たしかにドイツのどこまで行っても緑の中を走る一等車は快適だった。
ユーレイルパス一等にまだ追加料金を支払うナイトスターとかいった超豪華列車にも乗った。
 

最近は国内地方都市間の移動だけなので2等の格安チケットばかり。
どうもまた昔の貧乏旅行風になっているのだが、たまには一等で旅行すべきだな。
インターネットのDBサイトで検討したら、2等の「正規料金」よりは一等の前売り格安チケットの方が安かった。
最後の行程くらい一等で良かろうと思ったのだ。。
座席指定もいれたのだが、一等はがらがらで座席指定料金は無駄だった。
私の指定席はおっさんの前だが、他が空いているのでそこに行くのは意味がない。
 
今、ライプチッヒ中央駅で停車中。
走り出すと、ここで進行方向が逆になりおっさんの席が進行方向窓際で眺めがよさそう。
 
ということでライプチッヒは典型的な市街地に頭をつっこんだハオプトバーンホーフである。
ちょいと町の様子を撮影しようとしたが、列車は全く町を通過せず後戻りして尻から帰っていく。
おっと、今食堂車のウェイターが御用聞きに来た。うん、一等車だね。
後はベルリン。そうか、あれは2001年のベルリンだったのか。
ブランデンブルグ門は工事中。
ベルリンオスト駅に近づくといたるところが工事中だった。
その中で昔登ったことがある東ベルリンのテレビ塔がニョッキリ姿を現していた。
私は1982年にバス旅行でチェックポイントチャーリーから東ベルリンにはいり、翌年には一人でSバーンで東ベルリンから西ベルリンに帰ってきた。
 
ええと、あれはヘルシンキから船でポーランドのゲダンスク(昔のダンチッヒだね)に渡り、チェコを抜けて東ドイツに入ったのだった。当時は鉄のカーテンの向こうの国だった。
ポーランドのカトヴィッツからプラハへの夜行列車に乗り、たまたま居合わせた学生風と二人で「故障中」という表示のあるコンパートメントにドアをこじ開けて侵入し、もう一度ドアを閉じて占拠して朝まで寝た。
しかし、列車が走る外の夜にボヘミヤの平原が広がっていると思うと眠れはしなかった。
 
ドボルザークの交響曲第七のスケルッツオの軽快な弦の旋律が頭の中で鳴り響き止むことがなかったのだ。
 
東欧に自分がいるという思うだけで、不思議な高揚があったのだった。
オシベンツム(アウシュビッツ)の強制収容所(博物館になっていた)のゲートの前で、よくここまで来たものだ、と涙の気配をこらえたこともある。
ひとりで東欧をあてもなく彷徨していた若き私の魂よ。
(↑うっと、そんなフィクティブな記憶の昇華をさせてもいいのか?え?自分の過去だい!好きにアレンジさせてくれ。)
 
とにかく、当時東側諸国に自由に旅行するというのはかなり難しく、団体なら宿泊ホテル・ルート等に厳しい規制があったはずだ。
私のような個人旅行者でないと自由に鉄道にも乗れなかった。
ユーレイルパスなんてのが通用するわけではないのだから。
ワルシャワ駅でプラハ行きの切符を買うのに半日かかったことを思い出す。
かくいうわけで、未だに東独という響きには昔の高揚を思い出させるものがある。
今回でもバイロイトからイエナに鉄道で来たわけだが、途中でガラりと景色が変わり、いかにも東独風になって驚いた。
古ぼけたレンガの建物。
簡素で単純なおもちゃのような木造の家。
都市部の四角いコンクリートのビルディング。
イエナのばかげた高層ビルとか。
そして西側ドイツではとっくに見かけなくなった町や鉄道駅の落書きが未だこびりついていたのだ。
都市部でも美観よりも効率を優先するような町の造りが旧東ドイツを感じさせた。
古都イエナという美しい響きとはうらはらの雑然とした市街地。
昔見た東欧の生活臭が漂う町のイメージ。
今まで過ごしてきた南シュバルツバルトのあまりにもうそ臭い観光用に着飾った村ではなく、大阪風の人の生活臭が町にこびりついているような雑然さ。
おっと、エオリアン(発電用風車)。
2001年当時このあたりで初めてエオリアンを車窓からみたのだったな。
 
あ、おっさんが下車準備を始めたそろそろベルリン近しだな。
牧場ではない。
畑がつづいている。東ドイツである。 
←ベルリン中央駅
近代的なガラスを多用した建築。
嘗てはベルリンオスト(東)駅が最大の駅だったはず。
 
西ベルリンの中心はティエ−ルガルテン(動物園)駅だった。
 
 
 
 
 
 
れれれ?→
Tier Garten (動物園)だったはずだが?
「動物学公園」かい?
 
 
 
 
 
 
 
今回はベルリン・テーゲル空港から帰国するので、空港内のホテルに宿泊することにした。
前回のベルリン滞在ではたしかタクシーで空港に行ったのだった。
で、空港内だと省略したタクシー代をホテル代に加算できるハズ。
これはいいアイデアだと思う。
ベルリンでは夕方にウンターデンリンデン通りを歩くという予定だけなので、市内に宿泊する必要はない。
朝の慌ただしさからも開放されそうだし。
←ベルリン・テーゲル空港
こじんまりした建物で、地方の駅舎のような雰囲気がある。
 
鉄道切符のオプションのCity mobile (市内交通一日券)で中央駅からバスに乗り20分くらいか。
 
宿泊ホテル、Mercure行きのシャトルバスを捜すが見当たらない。
パリのシャルルドゴールなら空港内の各ターミナルや鉄道駅を巡回するシャトルバスがあって、空港ホテル前にも停まっていたはず。
 
空港の案内所に聞くと、ホテルに電話し、マイクロバスで迎えにきてもらうということだ。
シャトルバスというものは定時運行するものとばかり思っていたが、そうではなかった。
携帯電話でホテルに電話してマイクロバスに来てもらった。
この場合、国際通話になるのでひょっとして通話料を考えると、タクシー代くらいになってしまうのではないか? 
この日の夜も同じだったのだが、私が電話してホテルのマイクロバスに迎えにきてもらうと、どこからかばらばらと同じMercureの宿泊客が現れ、5,6名の乗り合い状態になった。
ひょっとして他の客は、誰かが電話してホテルのバスが送迎に来るのをタダで待ってたのでは?とも思った。
いや、ホテルの方が数名集まるのを見計らって??
次回は電話しないで、おとなしく待っていようと思う。
必ず誰かが電話しているハズだし、ホテル内からも外出する客は必ずいる。
とにかく、シャトルバスが唯一の交通手段なんだから。
 
部屋に荷物を置き、もう一度シャトルバスで空港まで行き、路線バスでベルリン市内に。
アレクサンダー広場からブランデンブルグ門まで歩く。
そして、この旅が終了する。

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