3 ストラスブールとコルマ.. オクトバーフェスト(ミュン..
[南ドイツ・いきあたりばったり]

   ストラスブールとセレスタ 
大聖堂と天上の光 4

2009/10/2(金) 午前 0:58

 9・20(日)
朝、日曜10時からのストラスブール 大聖堂のミサを見学に行く。


通常は祭壇まで行けるのだが、 会衆席後ろにロープで一般観光客 の進入を制限している。
ヨメはロープの内側に行こうとする。
あわてて止める。
あんた、別に信者じゃないんだろ?
邪魔しちゃいけません。

フランス語でのミサが進行していき、 前のほうの会衆に一人一人に聖体拝受 (だろ?)が行われる。

ヨメを前に行かさないで良かった。
ヨメなら遠慮なくイエス様のご聖体をホテルでくすねたクリームチーズをつけて むしゃむしゃ食べるのではないか。

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大聖堂を出ると久しぶりの快晴である。
←では、ココ。
今日はオートケーニッヒスブルグ城に行くぞ。

8月のブログでボージュ山脈の上に見える建物を「サント・オディユ修道院」と書いたが、今回地図を参照してこの山城であると特定できた。

隣のセレスタの町からバスで城まで行けるとある。


で、日曜午後のセレスタの駅に降りたのだが、
バスは出た後。
次は4時。
帰りの最終は5時。・・・

行って、城壁だけみて帰る?
それより今から4時までどうするん?


駅前を見回しても閑散として、少しばかり住宅があるばかり。
一軒だけ喫茶店があるようだが、日曜日で閉まっている。
あちゃぁ。・・・またも不発か。

とにかくバスに乗るために現金を引き出そうと、のどかに人気のない駅前の公園で
ベンチのお姉さんにATMのありかを尋ねる。
そこの道をまっすぐ行って・・・

ちょっと遠いが住宅地の道路を歩いていくとATMがあり、付近に「旧市街はあっち→」
という指示版がある。
4時まで時間もあるし、旧市街でも見に行きますか。(しかたがないのでぇ・・という内なる声)

歩いていくといかにも旧市街という 物見の塔があり、アーチをくぐると 陽気な観光客であふれているではないか。


あ、助かった。
・・まともに観光できそう。
セレスタはよくあるヨーロッパの田舎の小さな町だが、何か本日は特別に人々でにぎわって笑顔で談笑しているような雰囲気がある。



実は当日(9/20)は「ヨーロッパ遺産の日」で、町ではいろんな催しをやっていたのだ。
町の入り口の塔や中央の聖ジョルジュ教会の塔に登れ!とパンフレットに書いてある。


また、この日はフランスの「音楽の日」でもあった。
フランス各地で無料の街角コンサートが開催され、一日中音楽であふれる日なのである。


ここセレスタの旧市街でも、アコーデオン演奏家やバグパイプバンドが町を練り歩いて、祝祭的雰囲気が町にあふれている。

近隣の善男善女が集まって、にこにことそこここで談笑しているのだが、都会でない証拠に皆、道のど真ん中で立ち止まって話に興じているのである。


町の中心に「アルザス・パンの博物館」というのがある。
入場無料。
パンの歴史の展示や、パンつくり の道具、クグロフ型のコレクション なんかがあり、1階には焼きたて パンの即売場もある。

「お城に行くのは止めて、ここでいい」とヨメ。


聖ジョルジュ教会の扉があけ拡げで、正面の見事なステンドグラスが外から見える。

思わず中に入る。



会衆席で見るかぎりは簡素で実直な内陣だったが、一段奥の祭壇の後ろに行って息を呑んだ。

正面の見事なステンドグラスの左右の壁面にも、同様に大きなステンドグラスがはめ込まれ、この一廓に入った途端不思議な明るさに包まれるのである。

これだ。

この光に包まれたとき、私は理解した。
ステンドグラスは地上に実現した天上めざす憧れだ。

 ここにして人よ見よ。
 見て思え。
 山は地の、天上めざす憧れよ。(堀口大学)

    ・・・というのがあったなぁ(汗)

実を言えば"Selestat"と書けばなんてことはないが、
私の頭の中では「Celesta」という響きがこだましていたのである。

不発なんてことはない。
列車に乗り遅れても、バスが出て行ってしまっても、結局うまく導いてくれているのだ。
基本的に仏教徒の私だが、不覚にも”Dieux merci!"(神様、どうもです!)とつぶやき、清冽な祭壇奥の光の中で涙の気配を隠す。


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しきりに天空からパイプオルガンの音が響く。
聞き耳をたてていると、男が私にチラシを回してくれる。
5時からこの教会で無料コンサートがある。
メゾ・ソプラノとオルガンのジョイントリサイタルである。

わぁ、こんなにサービスしてくれるなんて。
聞かせていただきますよ、もちろん。

しかし、ヨメは言う「6時までに終わる?」
「ん?」
「パンの博物館、6時で閉まる。フランスパン買う。」

5時からほぼ満員になった教会会衆席で「ハイドンと同時代人」というタイトルの
コンサートを聴き、第一部終了後にこっそり抜け出し、パンの博物館の即売場
へと急いだのである。



     Dieux merci !



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せっかくのヨメへの聖体拝受だったのだが、パンはセレスタの駅に着くまでにあらかた無くなってしまったのであった。

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