ミュンヘンからのエピローグ.. 自転車でフロイデンシュタッ..
[南ドイツ・いきあたりばったり]

チュービンゲン大学でトイレを借り、人生の目標を考える。

2009/10/7(水) 午前 0:42

チュービンゲン 9・15(火)

ホテル前の橋を渡り、旧市街を歩く。
この橋からみる川べりの光景はどのパンフレットにも掲載されていて、町の顔らしい。
いつも観光客が写真を撮っている。


旧市街でもあるが、生活している町でもあり、朝市が立ち、商店も開きだす。



旧市街はネッカー川を見下ろす丘にあり、坂道ばかりである。


色とりどりの石鹸を並べている石鹸専門店。

麻服専門店では私の夏物一点をヨメに買ってもらう。
結局これが唯一の自分のお土産になった。


市庁舎。
外はいかにも観光用旧ラートハオス風だったが、中にはいるとちゃんとお仕事している普通のお役所。


町を見下ろす城壁。
中庭の周りはチュービンゲン大学考古学博物館になっている。


そんなに観光観光している風でもなく、地元の人の散歩コースというところ。
小学校も城壁の中にあった。


旧市街を一回りしても2時間もかからない。
それでは、旧市街と反対側にある大学の方に行ってみる。

下から見れば丘の斜面に大学があると思えたが、上ってみれば平坦な町筋で路面電車の線路がまっすぐ伸び、周囲に大学関係の建物。


大学地帯の前庭の公園のベンチで休憩。
自然と話は大学のことになる。

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バークレーやMIT、あるいはアイビーリーグの有名校に憧れる高校生は多いと思う。
昔の旧制高校生はハイデルベルグやチュービンゲンという響きに高揚した。
古くから有名なドイツの大学町である。
彼らはドイツの学生歌を高唱し、メッチェン、ゲルドという風にドイツ語を隠語に使い、ドイツの青春に憧れた
・・ものらしい。
もちろん、私はそのような世代ではないのだが、なんとなくそういう時代の雰囲気には親しんでいた。
高校時代に濫読したのはこの世代の小説の類が多かったのだ。

(←ストラスブール大学本部)

私は戦後のベビーブーマーで、受験戦争と言われた大学入試にことごとく失敗し、
いやいや社会人になり、いろんな意味でくすぶり続けた。
不本意な現実生活の対極にあり、密かに心に輝きを送り続けていたのは
この「ドイツの大学生活」というイメージだった。
(←ストラスブール大学図書館)

30代になっても相変わらず生活の果てに夢を見出せず、会社を辞め、生活基盤の
すべてを捨てて異国でのたれ死ぬ気で「ドイツ留学」を決行した。

留学地はエルザス地方のシュトラスブルグ。
ドイツ風の建物とライン川に注ぐ、くすんだ運河のある町である。

そして最初の授業を受けたとき、先生がいきなりこういったのだ。

「皆さん、エルザスはもうドイツではありません。戦争に負けたのでフランス領にされてしまったのです・・・」
「ええっ? うっそぉ!」 (C) A・ドーデ

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さて、チュービンゲン大学の敷地に入っていくのだが、ヨメは「ん?どれ大学やのん?」と怪訝な顔。
「え?そのへん、全部大学だけど?」

ヨメのイメージでは、大学というものはグリーンのキャンパスが拡がっていて、ちょいと小高く時計台のある真っ白な建物があり、木陰で男女学生がのどかに折り重なっていたりする光景であるらしい。

チュービンゲン大学はSバーンの線路の周囲に普通の建物がごろごろ並んでいるだけの総合大学で、もちろん校門なんてのはない。

この辺一帯はだいたい大学の建物である。



「でも、大学の本部とかはあるんでしょ?」
「ああ、大学事務所?アレらしいよ。」
わずかに前庭のあるおとなしい建物である。

(←チュービンゲン大学本部・・かな?)



そのうち図書館の向かいに学生会館が見えてくる。
建物はともかく、こうなれば学生が群がり、紛れもなく大学である。
まあ、京大西部講堂風の雑然とした雰囲気。

丁度いい。
トイレ休憩にしよう。



1階に本屋・売店があり2階がMENSA(学食)。
いずこもおなじ学生達が、カフェテリアで安いコーヒー一杯で雑談している。

「わ、ここで食べて行こう!」
なんてヨメがいうが、食券がないので無理である。


一般レストランよりも格段に安いので、そこらの学生に食券を売ってくれと交渉する手もあるのだが、いくらなんでもソコまですることはない。

また1階に降りてトイレを借りる。
数十名収容の広くて殺風景なトイレだった。
意外なことに落書きが目立たなかった。

チュービンゲン駅前にあった不思議な落書きハウス。
ここの壁だけが落書き一杯。

翻って思い出すと、ひところヨーロッパの町は落書き天国だったのだが、今回はそう目に付かなかった。
上の図書館表示板にわずかにひとつ。


チュービンゲン大学構内で少しだけ学生生活の雰囲気を味わえたか。

チューリッヒでも、ちょっとコースを間違えて大学周辺を歩いてしまってのだが、普通の住宅と大学の建物がまったく混在していて、カンバンがなければ大学とは分らない研究室も多かった。

チューリッヒ大学政治学・法学部の建物の門を入っていくと、教室の他に普通のブティックがあったりした。


チューリッヒ大学の通り下に公衆トイレがあった。
「ちょっとぉ、ここ、すごい。」


男女大小兼用で、ちゃんと手洗い水までコンパクトなユニットに収まっている。
清潔で機能的。
私が見た公衆トイレの中で間違いなくベストの公衆トイレ。
しかも無料。
いかにも機能美を好むスイスらしい。


ついでに。
これ、ヨーロッパの公衆トイレの小便器によく描いてある射撃目標。
日本なら「もう一歩前に進んでください。」と張り紙してあるところ。

こういう目印なら、心理的にそこに向かって発射するだろう。
ただ、日本ならリアルすぎて「悪趣味」といわれてしまう。


ライヒナウにはちょっとおとなしいバリエーション
もあった。
一発でホールインワンを決めろ!とさ。


以上、人生の目標を定めるというおハナシ。

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