結局、ピアノを練習したいとかいう者は私以外には誰もなく、多分私だけのために練習室の鍵を確保しておいてくれた風でもある。
翌金曜午後もピアノ練習室を占拠して練習に励んだわけだ。
ヤマハの安手のアップライトがあり、調律はまあまあだったが、ペダルを踏むたびにキィキィ言うのに閉口する。
それでもピアノ練習室、ひいては音楽ホール(Musiksaal)全体、つまり大学の建物の一棟全部を私が鍵を持って占拠している状態になり、すこぶる満足である。
楽譜台に乗せているのはタブレット状態にしたパソコンのPDFの楽譜。
この中にショパンとバッハの鍵盤作品(2手)全部と、ビル・エバンスのアドリブのコピー譜を入れてある。
どうも私のドイツ語は今回ではものにならないのがはっきりしてきたので、せめてショパンのソナタNo.3だけでも暗譜して帰ってやろうとか。
ピアノ練習室に閉じこもってピアノを弾いていると、ふと一体私は何をしにドイツに来てるんだろうと自問しないわけでも |