[ザールラント通信] |
11 フェルクリンゲン精錬所 |
2013/08/15
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8月13日(火)
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この大学の夏季講座は世話役のチューター達の企画が充実していて、ほとんど毎日何かしら受講者のためのイベントをやっている。
この日は憧れのvolklinger Hutte(フェルクリンゲン製錬所)の見学。
夕方4時にザールブリュッケン中央駅集合だったが、殆どが午後3時半まである授業を受けてそのまま参加するので、結局学内バス停が実質的集合場所になっている。
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ザールブリュッケンに行くにあたって、ウチのおヨメちゃんがいろいろ調べてくれたが、このフェルクリンゲン精錬所だけが観光名所としてネットに上がっていた。
なんせ産業施設としては世界最初の世界遺産認定である。
ザールブリュッケンからは地方列車で3駅ほど。
団体割り引きで一人往復2ユーロ70という格安ツアー。
ちなみに、遠足の類はタダ。すべて授業料に含まれている。
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赤茶けたドイツの嘗ての基幹産業の遺産はフェルクリンゲン駅ホームからすぐ見えている。
1873から稼働している工場自体は既に廃墟になっているが、しかし辺りにはボタ山や石炭発電所があり、ザール地方の石炭産業はまだ現役という雰囲気は残っている。
石炭労働者の町である。
駅周辺にもやたらゴミが多く、汚かった。
しかしこれも今日のドイツの現実の姿である。
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「ドイツの町は綺麗でゴミ一つ落ちていない」なんてしたり顔でいう方がいたら腹の中で笑ってやろう。
ザールブリュッケンに行ってドイツを見てこい。
フェルクリンゲン駅の階段→
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←近所のドッドバイラー駅構内。
私の住むドッドバイラーの目抜き通りの姿↓(下)
ザールブリュッケン市内自体は観光資源が乏しいので、あまり観光的磨き込みをせず美しくはないが、それほど汚いわけはない。
ドッドバイラーも山の手ではまあまあの住宅街にもなっているのだが、私の住居の辺りの貧民屈ではやはり汚い。
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それにどこかの飼い犬が夜吠えてうるさい。
どうですか?
ヨーロッパではどこでも犬のしつけがきっちりしていて、非常におとなしいなんて思ってませんか?
私もなるべくなら憧れの美しいドイツの町や村を紹介したいのはやまやまなんだがね。
私は観光ドイツに来ているわけではないのだ。
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フェルクリンゲン精錬所はまったくは実質本位の建物で、美的感覚なんてものが一切配慮されていない設計にちがいない。
しかし、全体として迫ってくるのは一頭の巨大なオルガニシェホメオスタシスシェンアウフゲホーべネンゲシュタルトの壮絶な美でゲゼッセンスミダ。
私が語っても意味わからんと思うので、仔細は写真に語ってもらうことにする。
エジプトのピラミッドが世界遺産になるのなら、もちろんコレも同様に世界遺産の価値がある。
しかもわずか100年足らずで廃棄されてしまう建造物である。
人間の営為についてはピラミッドよりも雄弁に語っているのである。
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フェルクリンゲン自体は廃坑の町ではなくて現役の産業地帯である。
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遠くには原発らしきようなものが見えて、蒸気をあげていた。
マリウス君に尋ねると「石炭式発電所」ということだ。
日本では石炭が未だ産出できるのに、輸入石油にすべて切り替えてしまったのだぞ!・・と憤慨するAさん。
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フェルクリンゲン。
嘗てドイツにあり、今もドイツにある。
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