コルマールに行く.. 日曜日は公園に行く..
[ストラスブール通信1]

    バーゼルに行く

2008/2/3(日) 午後 10:36


コルマールの駅のビストロでサンドイッチジャンボン(ハムはさみバゲット)をかじっていると、バーゼル行き列車のアナウンスが入る。
そのままバゲットのシッポを口にくわえてホームに急ぐ。

バーゼルまで30分くらいか。


ストラスブールに来て翌日にはドイツ(KEHL)に行っているが、もちろん国境はない。
しかし、ここでは駅のホームに国境があり、パスポートのコントロールがある。


スイスはEU加盟国ではなく、通貨もユーロではないのである。

実をいうと、われわれ旅行者にとってはやはり国境がある方が、いかにも違う国に行くという気がして楽しい(^^;

バーゼルには借りがある。
フランスから近すぎ、いつも通過するだけでまともに観光したことがない。
どこが中心街かも知らないのである。

特に前回ウチのヨメと来たとき、間違えて駅の横の方を少し歩いたが、あまに何もないので、「なんだ、つまらん」とほざいて通過してしまった。
バーゼルのイメージは以前の仕事の関係でバスフやヘキストという大化学・薬品会社であり、工業都市という頭がある。
たいして面白くも無かろうという先入観も常にある。

今回もよく似たもので、どういうわけか来てしまったのだ(^^;
地図も何も用意していない。

バーゼル駅でトイレを探すと、あるにはあるのだがコイン挿入式のバーの奥である。
まさかトイレに入る為だけにスイスフランを買うのもばかげている。
VISAではトイレに入れない。

ええい、と駅前をずっとたどり、KUNST MUSIUMの交差点でスターバックス発見。

コーヒーでも飲んでトイレに行くことにする。
もちろん、VISAで支払えるし、スタバならチップも要らない。
コーヒーを飲みながら担いできたパソコンを開き、試しにワイヤレスLANのスキャンをすると、おどろいたことにSTARBUCKSという網が引っかかる。
接続してみるとスタバのサイトに繋がった。

なになに?スタバでは30分無料でワイヤレスLANが使用できます、と?

カウンターのお姉さんに「インターネットに接続したいんだけど?」とフランス語・ドイツ語・英語のどれかで言った(^^;
言われた方は「ん?」という顔をした(^^;
が、横で聞いていた美人の方のお姉さんが、何も言わずサッとこのカードを渡してくれニコリとする。

ログインコードとパスワードが印刷されているカード。

もちろんパスワードはサイトのデフォルトのままのstarbucksである。

いいなあ。スイスに来てタダでメールチェックできるとは思ってなかった。

ついでに「バーゼルの中心街」と日本語で検索すると、驚いたことにストラスブール在住の方のブログが引っかかった。

http://strasbourglife.at.webry.info/200812/article_1.html

とりあえず挨拶コメントを送信(^^)/
しかし、そのブログでも「バーゼルの中心街の行き方はよくわからん」と書いてあって、まったく役には立たなかったのだが(^^;


しかし、やっと今回のバーゼル探訪でとにかく中心街に達したのである。

これがライン川。


中心街の賑わい。


ちょっとした坂道。

というか、坂道だらけの町である。


いやあ、バーゼル、まぎれもなくスイスだね。

ストラスブールからわずか一時間ちょっと列車に乗るだけでもうスイス気分だからね。

もう夕方になったので帰ろうとしてKUNST MUSIUMの中庭を覗くと、ロダンの「カレーの市民」がある。

そこで突然思い出した。
以前にも確かここに来ていたのだ。
そしてバーゼル大学で教鞭をとったニーチェのことを考えたことも。

人間の記憶とは不思議なものだ。
ある特定の場所に行くと、そこで考えたことまで引きずり出されてくるのである。
何十年前の記憶だろうか?

人間はか弱く小さい。その人間が宇宙全体のことさえ考え記憶してしまうのだ。
とパスカルはいう。
皮肉なP・ヴァレリーのバージョンはもうひとつひねりが利いている。
「『人間は考える。故に我あり』と宇宙が言った。」(P.Valery "Tel quel")

宇宙なんて全く主観的なものだ。
ちなみに私が自分自身の人生を終え、宇宙のことを考えるのを止めたとき、客観的に存在していると思っている君達(=宇宙の全体)がすべて消えてしまうことを君達は思い知るだろう。
というのがポール・ヴァレリーの孫弟子たる私の注釈である。

私がヴァレリーの孫弟子を自称するのは、25年前にここの大学のフランス語講座で私がヴァレリーを教わった教師が、パリのコレッジュ・ド・フランスでヴァレリーの講義を聴いたことがあるからである(笑)。

同様にして言うと、私は何と、あのゲーテさんの大学の後輩でもある。
ゲーテは一時期ストラスブール大学に学んでいたのだ。


            (ストラスブール大学前にあるゲーテ像)

なんていいながら、バーゼル駅にあるスーパーMIGROSで「ヤキソバ」その他を買う。

8時までにはストラスブールに戻れないかも知れない。
明日は日曜日でスーパーが閉まってしまう。
今日中に買出ししとかんと、と焦った。

しかし、さすがにスイスから貧弱な野菜をフランスに輸入までする気にはならなかった。

バーゼル駅ホームの「誰もいないフランス国境」を超え、18時15分発でストラスブール着19時半。
スーパーの閉まる8時に何とか間に合った。

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