[ストラスブール通信シーズン2] |
ノイシュタットの週末(2) |
2013/03/05
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3・2(土)
朝食は9時だそうで、それはそれでかまわない。
夜明けのノイシュタットの町を散歩する。
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ホテルの2階から。
いい按配に雪をかむって眠っている町。
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シュバルツバルトの斜面の町で坂が多い。
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イスラム寺院ではないぞ。
ラートハウス(市役所)の屋根が見えている。
天理市役所の方がもっとイスラムモスク風だと思う(^^;
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雪の信州も日本の原風景だろうが、このような西欧冬の景観も何故か原風景と呼びたいような懐かしさを感じる。
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前回もノイシュタットに宿泊し夏の早朝の光景の中を散歩した。
静かな町のたたずまいを感じるには早朝でないとだめだね。
やはり宿泊してもらわないと。
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白樺から透けて見える雪原。
シュバルツバルトの冬。
最後にホテル・駅の反対側の斜面に少し登り、最初に見たノイシュタットの光景に近いアングルで撮影。
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ホテルの朝食では係りのオッちゃんが、「宿泊客は2組だけなので朝食ビュッフェはしないが、何でも注文してくれ」という。
仕方がないので英語とドイツ語取り混ぜ一式注文し、例に寄って盛りだくさんな朝食摂取に励む。
ドイツの何気ない無骨なパンがおいしい。
特に表面に穀物の種をまぶしたヤツが香ばしくてうまい。
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さて、本日も曇天だが、やはり地方路線バスで山中の村、ザンクト・マーゲンかザンクト・ペーターに行くことにする。
時刻表を確かめると残念なことに土曜日はノイシュタットからの便はない。
どこでもいいので、駅前のバスターミナルからやってきたゼーブルグ行きに乗る。
自動的にシュルヒゼー、ゼーブルグに行くことになり、それもいいかと思う。
しかし、次のターミナル停留所のチチゼーで全員降りてしまい、私もやはり付和雷同を決め降りることにする。
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(すっかり凍っているチチゼー)
一人でバスに乗るのもいいが、時々バスでは思わぬトラブルがあるので(^^; 大勢に従うに越したことはない。
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列車でザンクト・マーゲン方面のバス停がある次の駅、ヒンターツァルテンに。
次のバスの連絡まで、駅前のクーアハウスで過ごす。
本来は湯治場なんだろうが、観光案内所・公民館・レストラン等が一緒になった施設。無料休憩所としても便利である。
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駅のベーカリーでパン一個買って食べているうち、バス到着。
一昨年の夏に初めてこの路線に乗り、いかにも南シュバルツバルトらしい、なだらかな丘陵の広がりに、陽気な夏休みという気分が満ちてきた。
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そのときスマートフォンで撮影した窓外の光景は「南シュバルツバルトの夏」と題してYouTubeに挙げてある。
今回は冬、あの緑の丘陵が雪に覆われているはずだ。
さあ、「南シュバルツトバルトの冬」を始めるとするか。
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思い通り、一面の雪野原だったのだが、ただ相変わらずの曇天、陣取った座席の窓ガラスが汚くてあまりはっきりした画像にならず残念。
今回はダメだな、と思っていたら何だか空に色が着いて来ている。
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はるか遠くにザンクト・マーゲンが望める谷にさしかかり空が急に晴れてきた。
ここぞとばかりムービーを取りまくる。
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外国のバスは実に利用しにくい。
細かい時刻表を見つけたとしても、地名が細かすぎ実際にどのようなルートの路線なのかは地元の人でないとわからない。
乗ってしまっても停車場の案内は運転手がアナウンスするだけで、そういうのは聞き取れないのが常だ。
都市交通なら次の停車場の表示はあるのだが、田舎のバスにそういうのはない。
終点まで行くのでない限り、よほど注意していないと目的の停車場には降りられないと覚悟する必要がある。
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私はこのバス路線はもう2・3度乗っている。
それどころかこの近辺の町や村の名前はすべて地図上で解っている。
これで全線無料パスを持ってるんだから完璧だね。
もちろん、ホテルからこの地方の路線の時刻表は持って来ているのだ。
期待通り「南シュバルツバルトの冬」は撮影できたのだが。
しかし、私の印象では冬の方がスキー客が多く、車内がざわざわしすぎだ。
それにやはり天候が万全ではなく、折角の雪原があまり映えないのが残念。
でも、まあそのくらいは我慢しなくちゃ。
2年前と同じところで、夏と冬の両方の光景が見られたことだけでも上出来じゃないか。
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ザンクト・ペーターまで行き、
聖堂の内部を見学。
大都市にある大聖堂の金ぴかは重苦しいのだが、この可憐な聖堂は白が清潔で実に軽く華奢な印象を与える。
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表のピザレストランで昼食。
やっとこの辺りでドイツ語だけの会話が成立。
いや、トマトサラダを注文したら「ヨーグルトか何かと一緒に?」と訊ねられた。
別にデザートなんぞいらんぞ。
「無しで」と言うと「えっ?」という表情。
あ、デザートの話しやないな。あわてて「あ、そのヨーグルトソースがけで」と修正(^^;)
しかし、やはり一人でレストランは落ち着かない。
なんとなくセカセカ食べてしまう。
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時刻表を見れば急げば次のバスの連絡に間に合う。
さもなければまた一時間待つことになる。
ここで遂に急いで勘定を済まし、走りだしてしまうということになる。
そしてレストランに被ってきたスキー帽(→)を忘れるということになる、やれやれ(^^;
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これで一応本日の目的は終了。
またバスで最寄のキルヒツァルテン駅に行き、ひとまずフライブルグに出ることにする。
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フライブルグに付く頃にはまた完全に曇天の相変わらずの冬の空に回帰。
まるで私のためにシュバルツバルトは少しだけ陽光を小分けしてくれたようだった。
フライブルグ大の語学研究所のある建物前。 →
ひと夏ここで過ごしたのは、つい一昨年のことなので別に懐かしいという程のことはない。
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小さな市の小規模な旧市街だが、ふと入った路地の奥に「世界の屋台」風のアーケードがあるのを発見。
一月暮らしても、まだ知らなかった場所があったようだ。
一度、きっちり「観光」しておかないと申し訳ないかな(^^;
ここにもSUSI屋が入っていたのだが、表の魚のサンドイッチ専門店NORT SEEでも今や寿司弁当を売っている時代である。
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NORT SEEの寿司弁当か。
食べてみたかったが少々高い。
定番のニシンのサンドイッチにする。
もう一つ魚フライのサンドイッチを買い、これで本日の夕食ということにする。
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本当は皆が歩きながら、ハシでつまむようにして食べているFISH&TIPSのほうにしたかったが、どうも持ち運びが不便な三角錐の容器だったのでやめておいた。
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フライブルグから、また列車でノイシュタット方向に。
まだ時間があるので、チチゼーから分岐するシュルヒゼーの方に行く列車に乗り、終着のSEEBURG。 →
今までよく出てきたゼー(SEE)というのは英語のSEAと同じ語源。
ドイツ語では海(女性)もしくは湖(男性)ですからね。
メジャー観光地のチチゼー を過ぎると急に人が減り、もう写真を撮るには暗いし、閑散とした車内で次第に暮れていく窓外を眺めているしかない。
黒森と称される深い森林を雪が覆い、冬の湖は荒涼として暮ていく曇天の下に沈みこんでいる。
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深い冬の黒森の暗がりに私は彷徨い、漂っていく。
どことも知れず、あてもなく。
・・・そこまで美化しちゃウソか。
この鉄道の終着駅は知っているし、いわばここも私の"いなか"(テリトリー)のひとつなわけだ。
しかし、なんとなくあてもなくさまよった若い日の憧れが黒森の奥に見え隠れし、久しぶりで胸が締め付けられるような懐かしいような寂しいような・あの・感覚が蘇った。
圧倒的な孤独とかすかな憧れ。
WinterReise 冬の旅
又は 夢のように過ぎていった人生
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