イスタンブールへの長い道(1) イスタンブールへの長い道(3)
[ストラスブール通信シーズン2]

イスタンブールへの長い道(2)

2013/03/15
イスタンブールは雨だった。
それも良かろう。
小雨にけぶるダーダネル海峡か。
 
もちろん「ウシュクダラに雨が降る」というフレーズが既に耳元で鳴っている。
え?ウシュクダラだよ。 知らない? 江利チエミとか? そか。
・・・
昔、トルコ人の前で歌ったことがある。
なんせ、子供の頃なら2,3度聴いたら直ぐ覚えてしまうものだ。
トルコのビルゲ君は「・・・ん、古いトルコ語かな・・・、ウシュクダラの町に雨がふる・・」と言った。
他にも「遠い昔のトルコの国の・・」というのもあったよな。
 
「月の砂漠を・・」というのは、あまりにもおとぎ話めいて遠いのだが、トルコにはどことなく親近感があった。
塩野七海の「ローマ人の物語」でシュレイマン大帝が金角湾の奥から上陸、山越えでコンスタンチノープルに攻め入るくだりとか。
コンスタンチノープル、つまりビザンチン帝国、西ローマ帝国の首都ですね。
それがなんと、唐の北方を騎馬で徘徊していた匈奴・突厥の末裔達のオスマン帝国の首都になるのだ。
突厥(トックツ)・・トルコだよ。
イエニチエリ軍楽隊の「ズンタカタッタ」というリズムがウィーンを包囲し、モーツアルトが「トルコマーチ」を作る。
それが和歌山沖で遭難し、大島の記念碑前でトルコアイスを売っているのである。
 
それが私のトルコだ(^^; 
 
もちろん「トルコのもう一つの顔」(中公新書)他の小島剛一本に言及しないワケにはいかんのだが、あの人の本はイスタンブール観光にはもちろん何の役にもたたない。
 
イスタンブール・アタチュルク空港
ターミナルAタクシー乗り場→
 
アタチュルク(ケマルパシャ)と歴史の時間に習ったのだが、アタ・チュルクは「トルコの父」という称号で、本名ムスターファ・ケマル。
パシャは(将軍、とか総督とかいう)階級名。
この改革者は明治日本を手本にし、落ちぶれたオスマン帝国を一気に近代化した。
おかげで、この私にも今イスタンブールの地名が読めるのだ。
それまでのアラビア文字を廃止し、アルファベットを採用するという、敗戦日本にもできなかった抜本的な改革を成し遂げたのだ。
ちなみに、ドイツのヒゲ文字を廃止したのはヒットラーですからね。
 
空港の両替所に列。
あ、そうか。 先ず、お金が要るんだな。 ←オイオイ、ちょいと甘すぎないかい。
銀行のキャッシュディスペンサーを探し、VISA、つづいてMASTERSのカードを食わせるが食ってくれない。
まあ、これはヨーロッパでもそういうことがあった。
では、とりあえずユーロ小額紙幣の余り30Eを交換しておくか。
あまり多くTL(トルコリラ)持ってしまうと、余るともったいない。
ホテル代はもちろんカード払いでいい。
 
空港前のタクシー乗り場でざっと見回すが、イスタンブール・ヒルトンのシャトルバス乗り場はあっても、私の予約したホテルの表示はない。
そういうことだ。
いつぞやのベルリンと同じく、ホテルに電話して迎えに来てもらわんといかんのだ。
 
旅行最終日だし、初めての都市だし、一日だけだし、で空港周辺のシャトルバス有の高い目のホテルを予約したのである。
 
なんと、わが生涯最高の五つ星!
(最安値保証81ユーロ(^^;)
 
ホテルに電話。
しかし、フロント氏の英語は何を言ってるのかよーわからん。
フランス語!と叫ぶと別の男が出るが、これはトルコ語だった。
じゃ英語!と叫ぶともう一度前の男が出、よーわからん英語をまくし立てる。
ホテルマンの英語。決まり文句をすらすら垂れ流していい気になっている。
お客さん、どうですか。私は英語流暢に喋れるでしょう。
 
それは解った。では英語がニガテな他の国の外国人にはゆっくり喋れ!
どうも、そういう配慮ができない。そのレベルのホテルマンがフロントにいるホテルである。
 
まあ、いい。とにかく、シャトルバスはあるようなので自力で探すことにする。
しかし、夜である。雨である。
タクシー乗り場を采配しているオッちゃんにHOTEL GONENのシャトルバスはどこ、と訊ねる。
「さぁ。ないよ。」
「いや、ホテルではシャトルがあると言っている。」
ホテルの予約票の画面をスマートフォンに出して見せる。
 
ただし、これが日本語になっている。
別に日本語画面に私がしたわけではない。
アプリをダウンロードした途端に、ユーザー情報を検索して日本語化されてしまう。
 
こういうのも一種のありがた迷惑である。
せめて英語表示に統一すべきだ。
 
オッちゃんからホテルに電話して詳しいことを訊ねて貰う。
「シャトルバスはあるが、一時間に一本。
一時間待て、と言ってる」
あ、そうだったのか。
 
「じゃ、タクシーで行くよ。」 
どのみち、空港周辺のホテルである。 
さっきの30ユーロで充分間に合うだろう。
オッちゃんは目の前のタクシーの運転手に行き先をいい、こちらにぐだぐだ言っている。
チップか? あ、そういうこともあるな。
「あいにく、小銭がないので・・」とサイフを見せると、目ざとく先ほど両替した中の小額紙幣を指さし「それは?」
まあ、いいか。電話かけてもらうのに5TL(250円か)ふんだくられた。
 
タクシーでホテルまで。
外は夜・雨・郊外の無国籍な商業地帯。
まだイスタンブール風ではない。
↓翌朝のホテルの部屋からの眺め。
無国籍というか・・・
いきなり空港で初めて外国に来たような困惑に出くわしてしまった。
クレジットカード不備、両替、よーわからん言語、チップ、乗りたくもないタクシー。
タクシーで行くぐらいなら、シャトルバス有のホテルにはしなかったよ。
まあ、いずれも想定内なのだが、やはり事前の情報収集が甘かった。
 
ホテルの部屋に入ってから、フロントでもらってきた地図を開けて懸命にWIFIでイスタンブール観光事情を検索する。 せめてこの作業をしてからイスタンブールに来るべきだったよな。
別にお腹も空いていないのでタダと確認したテーブルの菓子、リンゴ、インスタントコーヒーだけで夜食とする。
ま、朝になれば朝食バイキングだし(^^;
 
懸命の探索で、ホテルの選択を間違えてしまっていることも明らかになった。
空港からは旧市街まで、タクシー乗り場で見かけた運行会社のシャトルバスで10TLでいけるのだ。
このホテルまでタクシーで11TL取られてしまっている。
 
市内交通で便利なのはトラムウェーだが、密かに期待していたトラムの駅はホテル周辺にはない。
ホテルはSTARCITYショッピングセンター前なので、そのくらいはあると考えたのだが、バス停しかない。
言葉のわからない初めての町でバス路線の利用は無理。
最寄の地下鉄駅まで歩いていけない距離ではないが、そこまでするほどのホンモノの学生でもないのだ。
ま、駅までタクシー代500円はしゃーないか。
 
イスタンブールへの長い道(1) blog upload: 2013/3/15(金) 午後 9:12イスタンブールへの長い道(3)