市バスで終点まで .. 安平海岸散歩と高雄六合夜市
[台南高雄安宿紀行]

奇美博物館と安平バーバーショップホステル

2016/9/3(土)18:32
8月27日(土)
このラブホでは朝食券をくれ、横の簡易食堂で使用する。
券面には60元分食えるとある。

60元(=200円)で何が食える?

慎重に組み合わせ、ぎりぎりピタリくらいのメニューを考案。
見にくいがメニュー↓

この簡易食堂は朝食専門と言うのが分かる。
三明治=サンドイッチ25元、土司=トースト15元等がメインメニュー。

↑これでございます。190円の朝食。
涼麺25 肉包20 菜包12 計57元 で充分抱腹。
涼麺はパックされ即テイクアウト仕様。

ちっこい簡易食堂だが、飲み物パックに密閉シールを張り付ける自動機械(写真中央)が二台設置され、フル回転。

部屋に帰り、本日の行動計画をネットで。
安平のゲストハウス2230円予約。
全4室、本業床屋のゲストハウスとか。
下宿(ホームステイ)はベトナムで既に経験済、台湾のはどうか?

初日に台南郊外の奇美博物館の入場をネットで予約、昨日は満員だったので本日の12:15を予約してあった。

12時15分はいかにも中途半端な時間。
お昼は博物館で食べられるだろう。
ネットで台南市バス網検索。
台南駅から紅3番に乗ればいいようだ。
では、まず台南駅まで.

西門地区で見かけた店
日本ならBeard Papaみたいにおかしな英語で
でもディスプレイするところだが、
こちらでは日本語をあしらうケースが圧倒的。
この店は明確に日本趣味だが。
中正路のバス停まで行き、適当に台南駅行きのバスを待つ。
バス停のある歩道に店の掃除をしているおバさんが出てきたので少し場所を空ける。

しばらくして店の前の歩道を掃除していたおバさんが声をかけてくる。
こちらが中国語を話せないので「しまった!」と思ったようだが、なんとか親切な助言を身振りで伝授してくださる。

このバス停は来るバスが少ない。
もうすこし向こうの西門(シーメン)交差点まで行けばバスの連絡は多い。
・・・というアドバイズを双方必死でコミュニケート。

「どうもありがとう御座いました」と礼をいうと、もう西門まで歩くしかない。
私は他人にモノを尋ねるのがイヤなのは、不都合でもその方の言う通りにするしかなくなるからだ。
しかし向こうから親切に教えてくれるのはもう拒否できない。
西門交差点まで行く間に、バス停の時刻で確認したバスが通過、更に西門バス停からはいつもの一番バスが出ていったところ。

まあいいや。そんなに急いでいるわけでもない。

台鉄台南駅着。

バス停で紅3路線の時刻表確認。
ありゃ、2時間に一本で次は12時までない。
これじゃ、予約時間に間に合わない。
結局タクシーか。

駅のコインロッカーにリュックを預ける。20元
多分博物館でも預けられるハズだが、夕方まで庭で過ごすつもりなので。

駅前の黄色タクシーに乗るが車内にメーターなしだった。
奇美博物館正面入り口前の道路に降り、いくら? 200?
200元、まあ妥当な線か。

奇美博物館

どうしょうもない暑さだが、それはそれとしてどうだろう、この不思議な建物は?

公共の博物館ではなく、奇美グループ創始者がまったく自分の趣味で作った。
現在は借与されて台南市が管理運営している。

このもっともらしいギリシャ風噴水は?
新世界のスパ・ワールドの一発目の浴槽を思い出してしまう(^^;

個人が趣味で作った美術館というと澁澤龍彦「幻想美術館」で読んだフランスの郵便配達夫シュバルの「理想宮」がその筋では有名だ。


ま、アソコまで極端なコレクションじゃないが、素人が自分の好みで勝手に作り上げた博物館、私は大好きです。


B級アートグルメの私だが、うるさい小人共に足元にまつわり付かれて、さすがにうんざり(^^;

この直射する日光の暑さ。なんとかしてくれ。

予約時間はまだだが、11時30にたまらず入場。
館内は涼しかった(^^)v

入場予約時間は館内入場者数を分散させるためのもので、大雑把にその辺りに来てください、というような意味合いのようだ。
当日入場者は別の列で、館内人数が規定数に減るまで待たされている。

私はタブレット画面の入場予約票を示すと即玄関入り口から入場可。
チケットカウンターに「大人200、シニア150」の料金標示。

シニア料金で、というとシニア入場券を購入できた。
年齢自己申請でOK。

館内は撮影禁止。
一階右翼は動物の剥製展示室。
剥製といっても生きて一方向に向かって行進しているように設計展示され、実際の動物園のような臨場感がある。
鼻を振り上げた巨大な象、シマウマに喰らいついているライオン等。
私は陸上最強動物は巨大なシロクマだと思う。
水陸両用、二足歩行可で手も自由に振り回せる。

で、まあ一応熱心に一階右翼を見て回ったらもうそれだけで疲れてしまった。
館内の広さの割にはベンチが少なく、背もたれのある円形ソファーではぐったりと眠り込んでいる老若男女が専有中。

一階左翼は世界の武器の展示。
日本の甲冑・日本刀・鍔のコレクションを見ていると世界的にもかなり異色な国のようだ。

どこかで休憩、と思ったがやはりカンカン照りの中庭にでるしかない。

涼し気な写真だが、なんせカンカン照り。
このあたりには誰もいない。

かろうじて僅かな日蔭のある中庭出入り口付近の売店でパン50元を買い、ベンチで昼食。

二階は左翼が世界の楽器展示。
古ヴァイオリンのコレクション等。
自動楽器演奏実演もあったが、富士のオルゴール博物館と同巧異曲。
右翼が西欧美術史を鳥瞰する総花的コレクション。

しかし、だらだら歩き疲労でもう限界。
最後にもう一度動物剥製庫をひと回りし、二階出口へ。

二階にレストランがあったが、スノッブ的に高級そうなのでゾウリばきの私は遠慮。

一階の土産物売店の後方にカフェテリアあり。

コーヒー一杯で結局閉店までねばる。
なかなか切り上げて外に出ていく勇気がない。

やがて午後4時カフェも閉店。
覚悟して夕刻の外に出る。



しかし陽は少し和らいでいて、緑の空間がまずまずさわやか。

緑の芝生の心理的効果か。

博物館正面とは逆の裏側の方に歩いていくと一般駐車場があり、紅系統バス停発見。

次のバスは40分待ちだったが、しかし別に急いで帰る必要もない。
バス停で呆ける。少しは風もある。

紅4番のバスが来て、台南駅には大回りルートだがそれでもいいので乗り込む。

欧米系も含む学生グループが先に乗り込み、運転席料金箱前で小銭のやりとりで難航している。
「そんなの、中に入ってからしてくれ」と早く冷房車内で座りたい私。
出発してわずか3分次のバス停で学生グループは降りてしまう。
「ここから(保全駅)電車に乗り換えて台南駅に」と案内役の女子学生が説明している。
別に紅3ではなく紅4でも乗ってれば台南駅に着くのに、と私は思う。

しかし、やはり地元学生は正しかった。
なんとタクシーで15分の行程をバスは一時間以上かけ、台南郊外の町をめぐっていく。

郊外といっても住宅団地もあり大きなショッピングエリアもあって、交通はしばし渋滞。

やっと台鉄台南駅着。 

午後18時4分現在温度32.0度、湿度72%。

本日の宿舎安平地区へのバス99番を探す。
ところがバス停の電光案内表示では99番はいつまでたっても「準備中」。
さらに宿舎所在地の地図を確認しようとしたが、インターネットが通じない。
予約したとき、住所や地図くらいは確認し保管しておくべきだった。
タクシーをつかうとしても住所は必要だ。

台南駅周辺でぐずぐずしていても始まらない。
初日のホテルに歩いていき、そこのロビーでWIFIに接続することにする。

空腹で駅近くの新光三越前に出ていた屋台でチキンカツ40元。
カリカリに揚げてくれ、食べやすい大きさにカットされ、添付のタレによくからんで、さすがのテイクアウト文化圏の実力。

ホテルのロビーで首尾よく情報確認。
しかし、午後7時に遅れる場合は電話せよ、と。

表で即タクシーをつかまえ、安平路まで150元。
あまり情報確認がうまくいかず、バスの時間組みも上手くいかず、かなり焦りだしていたのだが、タクシーで良かった。
Google地図でマークした場所とは一ブロック違っていた。
市バスでやってきて自分で探すとまたかなりの時間をロスするところだった。
「ここだよ。」と運転手に言われ、見ると確かに宿舎の床屋の看板。

さっそく、店の前にタクシーが停まったのに気が付いたオヤジが店から出てくる。
HGバーバーショップホステル。
床屋の2階の全4室だけで下宿屋をやっている。

当家の高校生くらいの娘が英語で詳しく案内してくれた。
まだ営業中の一階店舗のカウンターで、木瓜エキス茶を出される。
なかなか明るいはきはきした娘で、丁度英語会話レベルが私と似たり寄ったり(^^)。
ホステルの説明から安平の観光案内、さらに当方がディナー前だというと近辺のチェックすべきレストランまで。
更に日本語の安平案内本を一冊貸してくれた。

客室のベッドは古い床屋イスの再利用。
部屋自体は綺麗に飾られてあるので、別にコスト面でケチっているわけではない。
宿泊体験として面白かろう、というノリのようだ。

確かに面白い。
ただし、トイレ・シャワー共用なのであまりプライバシーはない。

食事に出ようと外に出ると、此屋娘が自転車を持ってきた。
自転車の鍵・下宿部屋に上がるシャッターの鍵・シャッターの電動スイッチを一束にして腰につるし、夜の安平に乗り出す。

此家娘が推薦していた台南運河沿いの台湾牛専門店に。

牛関係メニューがいろいろあったが、牛肉炒飯100元と浸青菜50元。
さすがの牛肉の風味。
これなら単品の肉炒めと白飯の方がよかったか。

此家娘に借りた台南本を読みながら。

当初、駅から遠い安平路に宿をとってしまい、結局タクシーも使ってしまって失敗感にさいなまれていたのだが、床屋一家と娘のホスピタリティ、それに意外と手軽なレストランも多い便利な地区に自在に走れる自転車も手に入れ、台南滞在で一番落ち着いた気分になった。

セブン・イレブンでビールとおつまみかって自転車で運河沿いに出る。

安平老街への橋まで行って、住宅地の中を走って帰る。

途中の公園で土曜の夜にバスケットボールに興じる中・高校生達を見る。
うわー、こんな蒸し暑いのに!
と私は思うのだが、少年少女は笑いながらずっとスポーツに興じていた。
なんとねぇ。

床屋に帰ると娘と母親がまだ店先にいて、母親が缶ビールでも飲んでいけと。
今川原で飲んできたばかりだけど、Why not ?

今度は三人でカウンターで会話。
もっとも母親とは娘の通訳で。
「いくつ?」「お仕事は?」の類。
「結婚されてます?」との問いに「日本で一人、台湾ではまだ一人も。」と、50がらみのちょっと小粋な母親にウインクしながら解答。

娘が「ときどき宿泊に来る若い日本人としゃべるが、殆ど日台関係について何も知りませんねぇ」と漏らし、初めて台湾人と日本の植民地政策についての会話になる。
台湾以外にも帝国日本は植民地経営をしていたが、林百貨店や安平日本家屋等(呉園もそうだが)のように、台湾ではその記憶を返って懐かしいものとして保存している。
「そうです。」と娘。
帝国日本の教育・鉄道・産業といった政策とそれがもたらしたものに台湾は今でもプラスの評価を与え、ことによると感謝の念まで抱いているように思えるのだ。
私自身はむしろ日本に居たくないくらいの人だが、ここで急に純日本人になってしまい、日本人総代としてこの台湾の一方的な好意とホスピタリティに謝意を表明するに至る。
何らかの形で初めて直接台湾人に私の気持ちを伝えることがここにしてやっとできたようだ。

娘と喋っている間、母親は私の頭を観察していたが、「散髪しよう!タダでいいから。」と言い出す。
「いや、今日はいいですよ。今度また冬に来るので、その時。」と逃げる。
やはり台南の夏はムリ、やはり観光は冬だね、とか娘と話していたのだ。
いくらタダとはいえ、台湾風に頭の側面をすっきり刈上げられてはかわんよ。
もう殆ど残りがないのに(^^;

市バスで終点まで .. 安平海岸散歩と高雄六合夜市