グエンフエ通りに行く .. ホーチミンから関空へ
[ヴェトナムで暮すということ]

ホーチミン7区下町生活

2016/4/21(木)15:32
3月3日(木)

昨夜は一応ホーチミンに敬意を表して中心街に行き観光客をやったし、夜の風俗街も見学したが、所詮私には無縁の場所だった。
もう都心市街地に行くことはない。
ホーチミン最後の一日はホテルのある7区の下町でのんびり過ごすだけ。

午前中、部屋でブログ評論「炎上の現象学」(3)執筆。

部屋の窓から裏のホテル(**)のベランダが見え、人影が現れるとソチラを観察(^^;
ちなみに、裏のホテルの玄関にもSPA/Massageの看板が出ていた。
そっちも試してみたいが、まあ、今日はウチのホテルのヤツに行く予定。

昼前、日中のこの地区を探索することにして外出。
一昨日夜の散歩とはホテルの逆サイド、違うブロックへ。

ホテルの面している通りは幹線道路で、逆ブロックはそこまで賑やかではない。
普通の店と普通のオープン食堂。

露地2本に入るがいずれも袋小路だった。

この関西電気保安協会管轄風空中架線のおかげでまったく大阪下町風。

2本目の露地は建て売り住宅地のような小規模開発区域で街区が切れると全くの空き地。

空き地の一軒の作業場で脇目もふらず作業する男。
そこだけサイゴンの喧騒から切り離されたような真夏の温度の中の点景。

大きく街区を一回りしようと思っていたが、35度では歩行がこころもとない。

道路の反対側のビルにスーパーの表示。
上が住宅で下層3階までがショッピングセンター。
入ると下町にしては意外と新しくて立派な施設。

三階にスパーマーケット。
しかし殆ど客はいない。
この時間だからか?

昨日ドンコイのラッキースクエアで買った土産用の豆菓子を探す。土産用なのにビールの肴にして平らげてしまった(^^;

似たようなものはあるが、同じものはない。
しかしあれを買いにタクシーで中心街に行くなんてことはない。
これでいい。
豆菓子5個。25kVND平均。

なんとバラエティ豊かな寿司売り場。
これ、ベトナムの7区下町のスーパーの品ぞろえだよ?
別に日本人相手とかではなく。

食品売り場の各種惣菜パックを見ていると、昼食はそれでいい、と思ってしまう。
春巻き入りの冷麺セット16kVND。

スーパーから出、二階のフードコートの類のコーヒーショップでエクスプレス。
ホットコーヒー・エクスプレスなのに氷入りのグラスが付いてくる。
やはり最後はアイスにして飲むんだろうか?
ホイアンのカフェではコーヒーを頼んでも必ず水代わりにお茶が付いてきた。
お茶は熱いが、ガラスコップ入りが普通。まあ、湯呑はないだろうが。
涼しいし、こうして下町の閑散としたショッピングセンターでのたりと時間を潰していると、何にもしなくてもいいし、何にも考えなくともいい、という気分。
私はベトナムではこんなに簡単にスーパーマンになれるのだ。

注)スーパーマン:
イオンモール等の大型スーパーマーケットの休憩スペースで一日中ただボケーっとしている超越的老人のこと。




しかし、日本では
「こんなことをしていていいんだろうか?」とか何故か心理的に自分を追い立ててしまい、私は人間の枠を逸脱し超人に飛翔することができない。

この地区に観光客は来ない。
まったく地元の日常にアイデンティティを消して紛れ込んでいる幽かな愉悦。
これでいいのだ。
あとは夕方ホテルのスパでマッサージ、夜は屋台のバインセオでいい。
一日ホーチミン7区の住民で暮らす。

スーパーから出て、表通りではなく、裏通りを試すつもりでサイゴン川の方に。
かなりの規模の開発が進んでいて高級アパート風がたっている。
表通りのど下町からは考えられない逆張りぼて構造。




看板は大規模高級アパートの分譲広告→

一区の都心ではない、という意味で今まで「下町」と言ってきたのだが、ネットで調べると7区は住宅地で、日本からの駐在者はこの辺りのアパートに住むようだ。
裏がサイゴン川なのでこの地域はもう建てこまないだろう。




サイゴン川まで行くと作ったまま放置されているような緑地になる。
木陰で涼んでいる男一人。

そこにスーパーのレジ袋を下げた私が暇そうに通りがかる。
下町の忘れられた一角の真夏の真昼。

そのまま行けるのかどうかわからないような建設中の道路をGoogle地図で抜けられると確認してたどる。

表通りの幹線道路が陸橋になって頭上を通っている。
高架道路下の荒れた空き地と野外駐車場。
ふと見ると左手は打ちっぱなしのアジアゴルフの入り口だった。

高架下を通り抜けると別の街区の露地が連なっている。


露地を抜けると猫町だったが、地図を確認するとホテルの斜め向かいの道路の歩道だった。

大阪生野や西成の見慣れた町工場の雰囲気。


バインミーの屋台価格はどこでも10ドン。
え?8K(40円)も?
ホーチミン下町の物価はホイアンの半分の印象。




部屋に帰り、買い食い昼食。
今回では唯一の惣菜の買い食い。

夕方まで仮眠しようとしたが眠れない。
マッサージで交渉用の軍資金現金を下ろす必要がある。
また手ぶらでATMを探しに外出。
昼間歩く表通りにも二つスーパー様の商店があるのを発見。
前回は夜なので閉まっていたか?
ヴィエトマートの前のATMではソニーのVISAデビットは使えなかった。
戻りつつ別の大規模商店で尋ねるがあまりラチあかず。
ホテル前を通り越し、朝のショッピングセンターに行く。
途中でVietcomバンクのATM発見。
100000ドン引き出し。

ホテルに帰り2階のスパへ。
受け付けカウンターの女将、何となく覚えている風、に300。

個室に通され、ややあって女の子登場。
この前の子より細身で体型はいい。
しかし、なんとなくプロ風にそっけない感じ。
こちらがスチーム・サウナに入っている間、部屋のテレビを見ている。
あまり熱心でない印象。
テレビ見ながらマッサージするのは止めてくれ、と言わないとな、とか。

しかし、マッサージに入ると、もちろんテレビは消し、かなり念入で熱心さを発揮。
技術は明らかに前回の子より上。
技としてはホイアン第一回目のおバさん施術師と同レベルの印象。
案外の念入りな施術なので最後に「いいマッサージだったよ」と言ってしまう。
言った手前、どうしてもチップの上乗せでお釣りを要求できないハメに(^^;

このSPAでの二回の経験で良く分からないなりにオプション内容、交渉の勘所や相場がうっすらと。なんとなく(^^;
しかし、残念ながら本日が最終日、もう実地確認することはできない。

部屋にかえって最後の時間に日記の整理。
ベトナムでただ暮していただけだが、書くことだけは毎日できた。
単なる日記だとしても書いていさえすれば老いたるクジャクの羽は開く。
オレはまだ生きているぞと。

しかしもう明日は日本。書くこともうっとおしい偽善の包囲網の中へ。

夜、「行きつけの」バインセオ屋に。


本日は4個食べることにする。

簡易イスに座り、手で4を示せばいい。
相手は一昨日の兄ちゃんである。
ちらり、と笑顔を見せうなずく。

食べ終わると20ドン札を出して渡せばいい。
すべて無言で完了。

これでするりとサイゴン下町の夜に滑り込んでいく。

















一昨日のコースで裏町の夕涼みの人々に混じる。
マンゴージュースのつもりで「マンゴーシントー」と言うが通じず、「シントーマッカ?」とかいってくるので肯定。

ちょっとした住宅地の空地の夕涼みの人々。
夜遅くまで飲み物片手に喋っている。
アルコールを飲んでいる者はない。
蒸し暑くはなく、夜の戸外は快適だ。



できればいつまでもこのようにして、何も考えず、何もせず、ただ生きて、それにも飽きたらふと死にたい。















Mon enfant, ma soeur,
Songe a la douceur
D'aller la-bas vivre ensemble !
Aimer a loisir,
Aimer et mourir
Au pays qui te ressemble !
Les soleils mouilles
De ces ciels brouilles
Pour mon esprit ont les charmes
Si mysterieux
De tes traitres yeux,
Brillant a travers leurs larmes.

La, tout n'est qu'ordre et beaute,
Luxe, calme et volupte.



BAUDELAIRE "L'Inviation au Voyage"

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